壱頁完結物
「ねねしゃん、うさたんだー!かわいー!」
復活祭の衣装に身を包んだ紅葉を見て、中也の娘が目を輝かせた。
手で兎の耳を真似てピョコピョコと動かす。
「ふふ、お主も着てみるかえ?」
「いいの!?」
「勿論じゃ。用意してやろうの」
紅葉は娘の手を取り、スカートを翻した。
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「愛いのぅ、本に愛いのぅ」
「わぁー!ありがとねねしゃん!」
娘はパニエたっぷりのエプロンドレスに身を包まれていた。
頭には兎のカチューシャを着け、籠バッグを持ってクルリと回ると橙の髪がふわりと舞う。
「おにんぎょさんみたい!」
「父に見せに行くか?」
「うん!」
*****
「ぱぱみてー!おにんぎょさん!」
「何だ、人形貰ったの…か」
執務室で仕事をしていた中也は顔を上げた途端持っていた万年筆を落とした。
「ふふ、愛いじゃろ?」
「姐さんが作ったんですか…?」
「私の衣装を気に入ってくれてのう」
感想待ちの娘を中也は高々と持ち上げた。
*****
「世界一可愛い…」
「ほんと!?」
嬉しくてはしゃぐ娘に頬擦りまで始める父。
「もうずっと此の儘で居てくれ!」
「まいにちこのおようふくきるの?」
「否、ずっとパパの子で居てくれって事だ」
「ぱぱのこだよ?」
「彼氏なんて作んなよ」
「お主の愛情はたまに重すぎるぞ中也…」
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