壱頁完結物
朝起きてカーテンを開ける。
普段より少し開けにくい。
寝室を出る為に扉を開け…
「られねえ…」
枷に手が届かない。
いくら背伸びをしても。
「どうなってんだ…」
俺は走って姿見の前に立ち、自分の姿を確認した。
「な…あ、はああああああ!?」
俺の身長が、半分以下になった。
*****
「どうすりゃいいんだ…」
何とか異脳を駆使して扉を開けたは良いが、嫁は既に仕事に出ている。
(其の時は俺はまだ縮んでなかったのか?)
残るは娘だ。
此の姿で如何やって世話すりゃ良い。
「んん…おはよ…」
悩んでる内に娘が起きて来た。
「おとと?」
「せめておにいちゃんにしてくれ…」
*****
「えー!?ぱぱなの!?」
「そうだ」
説明すると娘は直ぐに信じた。
子供は純粋で助かる。
「ぱぱちっちゃい」
「おれもなんでこうなったのかわかんねえんだ。げんいんをいっしょにさがしてくれ」
「わかった!」
我が娘は本当に良い子だ。
「なにしたらいい?」
「まずはままにでんわしてくれ」
*****
「ままーあのねー」
『あら如何したの』
「ぱぱがちっちゃいの」
『パパは何時でもちっちゃいわよ』
「あたしとおなじくらいなの」
『今日は随分ちっちゃいのね。午前中に帰るから二人で仲良くお留守番して頂戴』
「わかったー!」
「ぱぱはいつもちっちゃいって」
「あいつ…」
*****
次に癪だが太宰に電話させてみた。
「あおしゃばしゃん」
『電話使えるようになったのかい?子供は成長が早いねえ』
「あのね、ぱぱがちっちゃいの」
『中也は何時でもちっちゃいよ』
「ままとおんなじこという」
『其れはママが正しいよ。覚えておくと良い』
「あおさばてめぇいつかしなす」
*****
「あおしゃばしゃんみにくるって」
「でんわしろっつったおれがばかだった」
端末を渡され俺は溜め息を吐く。
此れに嫁が加われば大惨事になるだろう。
「ぱぱ、おなかすいた」
「ああそうだな。めしにするか」
と云いつつ自分の手を見て悟った。
「…こなのすーぷでいいか?」
「うん!」
*****
「ぱぱ」
「ん?」
「おようふくおっきいね」
スープを飲み乍ら娘が昨夜着た儘の大人用パジャマを見る。
「きゅうにちいさくなったからふくがねえんだ」
「あたしのかしたげる!」
嫁の血を引く娘が何を勧めてくるか察した。
「…こうえんにきてくふくかしてくれ」
「とっときかしたげるのに」
*****
何とかパンツスタイルを手に入れた俺はシンクに腰掛けカップを洗う。
「あたしもおてつだいするー」
「これはわれるとあぶないからぱぱがする」
「ぱぱもちっちゃいのに」
膨れる娘は可愛いがなかなかに傷付く事を云われ、カップを落としそうになった。
「はやくかえってきてくれ…」
*****
「やだ、本当にちっちゃいわね」
「だからでんわさせたんだ」
「自分で電話すれば良かったじゃない」
先に家に着いたのは嫁だった。
説明する俺を軽々と抱き上げ居間へと向かう。
「一瞬二人目を産んだかと思ったわ」
「なんでおれのほうがとししたのせっていなんだよ…」
*****
「却説、如何しようかしら」
「いちおうだざいにもれんらくをいれてあるからいのうむこうかをためす」
「本当に来るかしら」
「おれをわらいにぜってぇくる」
癪だが、と付け足すと嫁が楽しそうに笑い始めた。
「なにわらってんだ」
「娘の服、似合ってるわよ」
「ほっとけ!!!」
*****
「本当に可愛いわ。中也の昔を見てるみたい」
「やめろ、もちあげんな!」
「良いじゃない、今日の抱き枕にしようかしら」
「…てめぇ」
「怒る姿も可愛いわよ」
「うるせぇ!!」
ギューっと抱き締められ、胸の膨らみで窒息しそうになるのを何とか阻止する。
「なにすんだ!」
「役得でしょ?」
*****
「え、二人目?」
「そうよ、可愛いでしょ?」
「まんま中也じゃん…可愛くなーい」
「てめぇらちゃばんしてんじゃねえよ」
暫くして到着した太宰は小さくなった中也を見てドン引きした。
「其れで、異能無効化を試せば良いんだね?」
「ああたのむ」
「駄目よ。今夜の抱き枕は渡さないわ」
*****
「ねー、ぱぱだきまくらなの?」
すると娘が嫁の裾を引っ張った。
「そうよ、ママが抱っこして寝るの」
「あたしもだっこしたい」
「貴女はくまさんがあるでしょ?」
娘のくまを撫でるとこれでもかと頬を膨らませた。
「ぱぱがいいー!」
「此れ私居る?」
「かきゅうてきすみやかにたのむ」
*****
「戻った…」
「ぱぱもどっちゃった」
「あら残念」
如何やら遅効性の異能だったらしく、太宰が触れた瞬間に元のサイズに戻った。
「お約束の全裸も期待してたのに」
「すんな!」
「あたしのこうえんのふくー?」
「此処に在るよ」
「わーい!」
「何か一気に疲れが…」
「お疲れ様」
*****
其の夜。
「ぱぱだっこするのー!」
「ママが抱っこするの!」
「だめー!!」
二人の大声が部屋に響く。
両側から引っ張られ腕が千切れそうだ。
「俺が真ん中に行きゃ良いだろ?」
「そう云う問題じゃないの!」
「ないのー!!」
「そうか…」
二人が疲れて寝るまで引っ張られ続けた。
.
普段より少し開けにくい。
寝室を出る為に扉を開け…
「られねえ…」
枷に手が届かない。
いくら背伸びをしても。
「どうなってんだ…」
俺は走って姿見の前に立ち、自分の姿を確認した。
「な…あ、はああああああ!?」
俺の身長が、半分以下になった。
*****
「どうすりゃいいんだ…」
何とか異脳を駆使して扉を開けたは良いが、嫁は既に仕事に出ている。
(其の時は俺はまだ縮んでなかったのか?)
残るは娘だ。
此の姿で如何やって世話すりゃ良い。
「んん…おはよ…」
悩んでる内に娘が起きて来た。
「おとと?」
「せめておにいちゃんにしてくれ…」
*****
「えー!?ぱぱなの!?」
「そうだ」
説明すると娘は直ぐに信じた。
子供は純粋で助かる。
「ぱぱちっちゃい」
「おれもなんでこうなったのかわかんねえんだ。げんいんをいっしょにさがしてくれ」
「わかった!」
我が娘は本当に良い子だ。
「なにしたらいい?」
「まずはままにでんわしてくれ」
*****
「ままーあのねー」
『あら如何したの』
「ぱぱがちっちゃいの」
『パパは何時でもちっちゃいわよ』
「あたしとおなじくらいなの」
『今日は随分ちっちゃいのね。午前中に帰るから二人で仲良くお留守番して頂戴』
「わかったー!」
「ぱぱはいつもちっちゃいって」
「あいつ…」
*****
次に癪だが太宰に電話させてみた。
「あおしゃばしゃん」
『電話使えるようになったのかい?子供は成長が早いねえ』
「あのね、ぱぱがちっちゃいの」
『中也は何時でもちっちゃいよ』
「ままとおんなじこという」
『其れはママが正しいよ。覚えておくと良い』
「あおさばてめぇいつかしなす」
*****
「あおしゃばしゃんみにくるって」
「でんわしろっつったおれがばかだった」
端末を渡され俺は溜め息を吐く。
此れに嫁が加われば大惨事になるだろう。
「ぱぱ、おなかすいた」
「ああそうだな。めしにするか」
と云いつつ自分の手を見て悟った。
「…こなのすーぷでいいか?」
「うん!」
*****
「ぱぱ」
「ん?」
「おようふくおっきいね」
スープを飲み乍ら娘が昨夜着た儘の大人用パジャマを見る。
「きゅうにちいさくなったからふくがねえんだ」
「あたしのかしたげる!」
嫁の血を引く娘が何を勧めてくるか察した。
「…こうえんにきてくふくかしてくれ」
「とっときかしたげるのに」
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何とかパンツスタイルを手に入れた俺はシンクに腰掛けカップを洗う。
「あたしもおてつだいするー」
「これはわれるとあぶないからぱぱがする」
「ぱぱもちっちゃいのに」
膨れる娘は可愛いがなかなかに傷付く事を云われ、カップを落としそうになった。
「はやくかえってきてくれ…」
*****
「やだ、本当にちっちゃいわね」
「だからでんわさせたんだ」
「自分で電話すれば良かったじゃない」
先に家に着いたのは嫁だった。
説明する俺を軽々と抱き上げ居間へと向かう。
「一瞬二人目を産んだかと思ったわ」
「なんでおれのほうがとししたのせっていなんだよ…」
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「却説、如何しようかしら」
「いちおうだざいにもれんらくをいれてあるからいのうむこうかをためす」
「本当に来るかしら」
「おれをわらいにぜってぇくる」
癪だが、と付け足すと嫁が楽しそうに笑い始めた。
「なにわらってんだ」
「娘の服、似合ってるわよ」
「ほっとけ!!!」
*****
「本当に可愛いわ。中也の昔を見てるみたい」
「やめろ、もちあげんな!」
「良いじゃない、今日の抱き枕にしようかしら」
「…てめぇ」
「怒る姿も可愛いわよ」
「うるせぇ!!」
ギューっと抱き締められ、胸の膨らみで窒息しそうになるのを何とか阻止する。
「なにすんだ!」
「役得でしょ?」
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「え、二人目?」
「そうよ、可愛いでしょ?」
「まんま中也じゃん…可愛くなーい」
「てめぇらちゃばんしてんじゃねえよ」
暫くして到着した太宰は小さくなった中也を見てドン引きした。
「其れで、異能無効化を試せば良いんだね?」
「ああたのむ」
「駄目よ。今夜の抱き枕は渡さないわ」
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「ねー、ぱぱだきまくらなの?」
すると娘が嫁の裾を引っ張った。
「そうよ、ママが抱っこして寝るの」
「あたしもだっこしたい」
「貴女はくまさんがあるでしょ?」
娘のくまを撫でるとこれでもかと頬を膨らませた。
「ぱぱがいいー!」
「此れ私居る?」
「かきゅうてきすみやかにたのむ」
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「戻った…」
「ぱぱもどっちゃった」
「あら残念」
如何やら遅効性の異能だったらしく、太宰が触れた瞬間に元のサイズに戻った。
「お約束の全裸も期待してたのに」
「すんな!」
「あたしのこうえんのふくー?」
「此処に在るよ」
「わーい!」
「何か一気に疲れが…」
「お疲れ様」
*****
其の夜。
「ぱぱだっこするのー!」
「ママが抱っこするの!」
「だめー!!」
二人の大声が部屋に響く。
両側から引っ張られ腕が千切れそうだ。
「俺が真ん中に行きゃ良いだろ?」
「そう云う問題じゃないの!」
「ないのー!!」
「そうか…」
二人が疲れて寝るまで引っ張られ続けた。
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