書類係の誘拐
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「やだ…お願い、止めて…」
「ほぉ、女物の下着を着けてますぜ兄貴」
ブラウスが只の布切れに成り下がった辺りでナイフの動きが止まり、澄は上半身が下着姿になった。
羞恥から胸元を隠そうとするが枷が邪魔をして隠せず、澄は顔を真っ赤にして俯く事しか出来ない。
彼女は上司の様に蹴りで鎖を壊すような真似はまだ出来ないのだ。
そんな彼女を男達は息を荒くして見下ろしている。
「この際だ、隅々まで調べろ」
「やっ!いやぁ!!」
今度はスカートにナイフが刺さる。
何時だったか雑誌で見て一目惚れし、兄に「可愛いよね!?」と同意を求めた時は微妙な顔をしていたのに贈呈品に入れられており、澄が着た時には「お前が着ると可愛い」と褒めてくれた物だ。
フワリとしたデザインがナイフによってどんどん萎れて行き、粉々になる。
「龍兄…」
知らない男に肌を見せている羞恥と、兄からの贈呈品をボロボロにされた絶望とで気付けば瞳からは涙が零れ落ちていた。
「兄貴、矢張り此奴女ですぜ」
「そうみたいだな」
そんな澄にお構いなく男達は下品な笑みを更に深める。
近付いて来る彼等に怯え後退るが直ぐ後ろは冷たい打ちっ放しのコンクリート壁。
枷のせいで其処から横に逃げる事も出来ない。
「い、嫌…助けて龍兄…銀姉…」
「もうあの凶暴な異能を使う事も出来まい」
「兄貴、人違いですぜ」
「おっとそうだったな…っがぁ!?」
澄が目の前に迫る男の脛を躊躇なく蹴り飛ばした。
脛を押さえ蹲る男に隣の男が慌てて駆け寄る。
「大丈夫ですか兄貴!」
「随分と威勢が良いじゃねえか…嫌いじゃねえぜ」
「来ないで…嫌、中也さん…」
気をしっかり持たなきゃと思えば思う程視界がぼやけていく。
またじりじりと近付いて来る男達に足を振り回しては遠ざけるを繰り返すしかない。
「怖いよ…鏡花ちゃん…」
「よっし、捕まえた。此れでもう蹴られないぞ」
「はぁ…もう何回蹴られたか。きっと凄い痣になってるぞ此れ…」
「!!」
抵抗虚しく、遂に振り回していた足を封じられてしまった。
手に付けられた枷は男達を遠ざけるにはリーチが短すぎる。
「止めて!離してっ!!」
「ヒョロヒョロだし肉もついてねえと思ったけど、こうして見ると良い体かもな」
「成長の余地あり、って感じですかい?」
「そんな感じだな」
「離してってば!!」
暴れる澄に構う事なく下品な会話を繰り広げる二人。
足を掴む手が徐々に付け根に上って来るのを感じ、澄は堪らず悲鳴を上げた。
「嫌ぁ!!触らないで!!!」
「やっぱ若いと肌が柔らかいっすね」
「さて、お楽しみと行くか」
隠すことなく興奮した顔を晒し息を荒げる二人に澄の血の気が引いて行く。
仮にも夜の世界を生きるポートマフィアの構成員、こう云う展開がどんな結末を迎えるかは知識として持っている。
然し其れはあくまでも戦場に出向く戦闘員の話で自分にはほぼ関係の無い事だと上司から聞かされていた。
関係のある事に携わるのはもっと後だと。
「下着も脱がしちまいましょうか」
「や、やめ…」
「お前は上、俺は下だ」
「了解っす」
「やだ…」
もう澄は恐怖のあまり声が出なくなっていた。
男達の手が下着に伸びるのを呆然と見つめる事しか出来ず、体が震えるのを止める事すら出来ない。
「嫌だよ…、太宰さん…」
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