壱頁完結物


休みの前夜。
疲れた体を癒して貰おうと嫁に声を掛けたが
「今日はパス」
と拒否られてしまった。
中途半端に昂った熱を自分で処理し乍ら俺は拒否られた理由を探していた。
「アレは…先日終わったって云ってたしな。俺何かしたか?」

ベッドに戻ると嫁は既にグッスリと眠っていた。


*****


一週間後、再び声を掛けてみるがまた拒否られた。
「俺、手前に何かしちまったか?」
「否…中也のせいじゃないの」
「具合悪いのか?」
「そんな事無いわ、元気よ」
安心させる様に笑顔を見せる嫁に俺は不安に駆られた。

「真逆…浮気、何て事ねぇよな…?」


*****


其の後二週間程嫁を観察したが、浮気の気配なんて一切見られなかった。
其の間も再度誘ったが断られ、俺の心はそろそろ折れかけている。
「こうなったら強行突破しかねえ」
俺は心を落ち着かせる為に深呼吸をする。

そして寝る準備を始める嫁に後ろから抱き着いた。


*****


「ちょ…?!」
「なぁ、俺の欲が強いのは知ってんだろ。そろそろ限界なんだよ」
「待っ…」
慌てる嫁を異能でベッドに縫い付ける。
「異能は反則よ!」
「何が反則だ、手前の勝手に振り回されてやったんだぞ」
「待って…本当に」
「じゃあ理由を聞かせろ」

「そ、それは、その…」


*****


「さ、最近…太っちゃって…」
「…はぁ!?」
「一寸!今下らないって思ったでしょ!」
否、思うだろ。
俺の此処数週間の苦悩を返せ。
「痩せるまで待って貰おうと思ってたのに…」
「別に変わってねえじゃねえか」
腹周りを触ってみるが大して変わった気がしねえ。

「…悪かったわよ」


*****


「ま、許してやるよ」
「本当!?」
「おう、んで手前の減量とやらにも付き合ってやる」
「中也…!」
「だから…」
腹周りを触る手を徐々に上へと上げていく。
「運動、しようぜ?」
「へ?あっ…ゃ」
「手前が痩せるように特別メニューにしてやるよ。」

だからもうパスは無しな。



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