新たな一面
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「知らなかったわ、ゲヱムって色んな種類があるのね」
「そうだな」
其の後も八雲の気の向く儘に様々なゲヱムを試した。
女がゲヱムをするのが珍しいのか何処に行っても多少の人だかりが出来、俺の巻いた上着は随分と役に立ってくれたようだ。
「一気に疲れた…なあ、そろそろ出ようぜ」
「あれ何かしら」
「話を聞け」
八雲の指差す先には人の背丈よりも高い箱が幾つも並んでいた。
どの箱にも女性の写真がデカデカと張り付けてある。
「あの子たち何か持ってるわ…写真?」
「写真機か何かか?」
「行ってみましょうよ」
八雲に手を引かれ、俺達はゲーセンにしては珍しく女性客ばかりの場所に足を踏み入れた。
一つの箱の中に八雲が顔を突っ込む。
「やっぱり写真機だわ」
「此処で写真が撮れるって事か」
「そうみたいね。ねぇ、最後に写真撮りましょ。記念に」
「何の記念だよ」
「初めてゲヱムセンターに来た記念よ」
もう店から出る気でいた俺は気が進まなかったが、既に操作方法を探っている彼女に嫌だと云う事も出来ず俺は小さく溜め息を吐いて箱の中に潜り込んだ。
「メイク崩れてないかしら」
「おう」
「髪の毛乱れてない?」
「何時も通りだぞ」
「…もう、写真撮るんだからちゃんと見てよ!」
「何云ってんだ、手前何時も綺麗にしてんだろ?」
機械が喋るのを横で聞き乍ら容姿を気にする八雲にそう云うと、何故か顔を真っ赤にして抱き着いて来た。
「中也の天然タラシ!!」
「はぁ!?何だよ急に!」
『ポーズを決めてね♪』
「こうしてやるんだから!!」
「おい!暴れんじゃねえよ!!」
『3、2、1…』
業とらしいシャッター音と共に、俺達の唇が勢い良く重なった。
「あはは、中也ったら酷い顔!」
「手前のせいだろうが!!」
此の写真には落書きが出来るらしい。
大笑いしながら先刻取った写真を眺める八雲に怒りが込み上げて来る。
「凄いわね最近の写真機って。目が大きくなるし肌も白くなるわ」
「文明の利器だな」
「中也の目が…ふふっ」
「笑うな!」
なかなか笑いが収まりそうに無い八雲に諦めてペンを持つ。
文字を書いてみるが紙とペンの様には書けず断念する。
ふと下を見れば「スタンプ」と書かれたボタンがあったので押してみると、短い文章がスタンプとして貼れる機能があった。
此れなら何とかなりそうだ。
「手前先刻から何してんだ?」
「ラブラブな感じがするでしょ?」
「おい、エラいメルヘンじゃねえか…」
「良いじゃない。誰に見せる訳でも無いんだし」
八雲は枠をハアトで囲んでいた。
日付をスタンプし、俺と八雲の名前をアルファベットが筆記体で書かれている。
「俺は其処まで凝った事は出来ねえぞ」
「凝った落書きをしろって云ってる訳じゃないわ」
楽しそうに落書きを続ける八雲の横で俺は一枚の写真を選択し、スタンプのボタンを押すと画面の中央に少し大きめに乗せた。
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