壱頁完結物

買い出しの帰り、荷物が多くて前が見えず人にぶつかってしまった。
「御免なさい!」
「悪ぃ、大丈夫か?」
散らばった荷物を拾ってくれるその人の情報が見える。
中原中也、ポートマフィア幹部。
しまった、偶然とは云え敵勢力に出会ってしまった。

気付かない振りをして自分も荷物を拾う。


*****


「此れで全部か?」
「はい、有難う御座いました」
結局親切に全部拾ってくれた中原さんに深々とお辞儀をして立ち去ろうとすると
「一寸待て」
「はい!」
「危なっかしいから持ってやる」
「そんな!其処までお手数をお掛けする訳には」
「佳いから貸せ、何処まで運ぶんだ」

隠し通さなきゃ…!


*****


結局対策も立てられず、探偵社の前まで来てしまった。
「手前探偵社の人間だったのか」
「す、済みません…」
「其の反応は俺を知って…そうか、情報収集の異能力者か」
「あ、あの…」
「俺も探偵社に肩入れしちまったし、今日の事は二人の内緒にしとこうぜ」

しーっ、何てお兄ちゃんみたい。



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