壱頁完結物
「あかちゃんってどうやってできるの?」
幼子の無邪気な質問に場の空気が固まる。
牛で例えようとする賢治を止め、
兄との関係を暴露しようとするナオミを止め、
男と女がね…と真実を教えようとする太宰を止め、
国木田が一息ついた頃、幼子は乱歩の前にいた。
「めーたんてーはしってるの?」
*****
「ふぅむ、それがねぇ僕にも判らないんだ」
顎に手を当て真剣に悩む乱歩に幼子が目を丸くする。
「めーたんてーでもわからないの!?」
「此れは難事件なんだよ」
顎に当てていた手を幼子の頭に乗せ撫でてやる。
「此の事件を解けたら君も名探偵の仲間入りだ!」
「ほんと!?」
「頑張って調査するんだよ」
*****
めーたんてーになる!と云い乍ら去っていった幼子に手を振った乱歩は上機嫌で、妹を呼び膝の上に乗せる。
「子供は純粋だねぇ」
「お兄ちゃんがあんな返しすると思わなかったよ」
「当然。うっかりお前との事話しちゃったら大変でしょ?」
妖艶に上がる口角に妹は顔を覆った。
「もう此の話やめよ…」
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