壱頁完結物


「誰がこんな…」
「良いじゃない、何時もやってるんだし」
「良くないよ!見られてるんだよ!?」
天井に取り付けられた監視カメラを指差し狼狽える翡翠を愉しそうに眺める乱歩。
「あっ、そう云えば追加ルールがあるんだって」
首を傾げる翡翠に、乱歩はニッコリと笑う。
「翡翠からする事、だってさ」

「嘘吐かないで!」
「吐いてないよ。ほら」
拾い上げた紙を見るとお題が書かれており、其の下に小さく
“※女性からする事”
と追記があった。
「なっ…!!」
「翡翠からキスしてくれること滅多に無いから全部覚えてるけど、ディープまでされた事は一度も無かったよね」
「そんな事まで覚えとかないでよ!!」


*****


「ほら、早くしないと出られないよ」
「…ぅぐ」
真っ赤な顔を隠すべく乱歩に抱き着きはするものの、キスをする気配はなく。
「そうだ、僕良いもの持ってるから遊戯ゲームしようよ」
「ポケットの飴玉?」
「流石は僕の妹兼彼女だね!」
「…乱歩があーんしてくれたらやる」
「可愛いこと云ってくれちゃって」


*****


開いた口に苺味の飴玉がコロリと入り込む。
「美味しい?」
「ん」
「どんな味がするの?僕にも頂戴」
近付いてくる唇に自分の其れを合わせ、舌で控え目に舐める。
焦らすように開く乱歩の口に飴玉を移し、其の侭口内で二人して味わう。
「んっ…ふぅ…」
歯に触れば歯列をなぞり、舌に触れれば絡めとる。


*****


飴玉が殆ど無くなった辺りで漸く二人がゆっくりと離れた。
「はぁ、はぁ…」
「もう終わり?二人で舐めるとあっという間だね」
肩で息をする翡翠と対称的に飄々とする乱歩は楽しそうに翡翠を抱き締めた。
「今日は新たな発見があったよ」
「発見…?」
「深いの、意外と激しくしてもついて来るんだね」


*****


「そっ…!それは…」
「厭がるかなと思って控えてたけどねぇ」
「だ、駄目だから!今日だけだから!!」
「ふぅん。じゃあ今日なら幾らでもしていいんだね?」
「…へ?」
乱歩は翡翠を姫抱きにし、スタスタと出口へ向かう。
「帰ったらたっぷり堪能させてね」
ニヤリと笑う口元を見る事が出来なかった。



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