壱頁完結物
「お兄ちゃん」
「今お兄ちゃんって呼ばないで」
「じゃあ乱歩さん」
「なんか妹を盗られたみたいでヤダ」
「妹だってば」
「違う!」
「もう、信じてよお兄ちゃん!」
「だからその声でお兄ちゃんって呼ばないで!!」
「誰!?僕の妹を男にしたやつ!?」
*****
「今国木田さんと太宰さんが異能者の行方を追ってますから…」
敦が宥めるも暴れ続ける乱歩。
「抱き締めても柔らかくない…」
「仕方無いよ…男性の体だもん」
「顔は今まで通り可愛いけど声も低いしなんか背も伸びてるし!」
「異能だってば。すぐに戻るよ」
「国木田!太宰!早く!!」
*****
そろそろ発狂しそうな乱歩に慌てふためく探偵社。
「困ったな…」
流石の妹も如何していいか判らないらしい。
「お兄ちゃん、もうすぐ元に戻るから」
乱歩の腕を掴もうとして振り回した腕にバランスを崩す。
「わっ!」
「おっとと…」
気付けば妹は乱歩を壁に押し付けていた。
*****
「お兄ちゃん大丈夫?」
「何時もなら嬉しい状況なんだけど、目の前に居るのが男って一寸」
「そう云う問題じゃ…」
そこまで云って妹は何かを企んだ。
壁に付いた手を片方、乱歩の頬に滑らせる。
「ちょっ」
「何時もされてばっかりだから、お兄ちゃんにもしてあげる」
乱歩が珍しく慌てている
*****
「男にされても嬉しくないよ」
「中身は私なのに?」
頬を撫でながら少しずつ顔を近付けていく妹。
「や、止めてってば」
「何時もそう云って一回も止めてくれた事ないでしょ」
「いい加減にしないと怒るよ!」
「ふふ、お兄ちゃん可愛い」
その様子を固唾を飲んで見守る探偵社員。
*****
「おっ?」
ポン、と音がした。
何事かと周囲を見回す社員の中で乱歩が目の前を凝視している。
「…戻った?」
「戻ったね」
つまんないの、と踵を返す妹の肩をガッチリと掴んだ。
「お兄ちゃん痛いよ」
「何事もなかったなんて云わせないよ」
青筋を立てる乱歩は珍しいらしい。
*****
「只の冗談だもん」
「ふうん?口答えなんて良い度胸だね」
黒い笑みを浮かべた乱歩は徐に妹を担ぎ上げた。
「今日はもう帰るから」
「乱歩さん!?」
「明日も二人とも休むからよろしく」
「え、ちょ!?」
「お兄ちゃん下ろして~」
「僕を怒らせると如何なるか、しっかり教えてあげないとね」
*****
「ご免なさい」
「判ればよろしい」
ぐったりした妹の頭を乱歩が撫でる。
「見える処に跡付けて…数日隠すの大変なんだよ」
「お仕置きだもん」
飄々とする乱歩に頬を膨らませる。
「ほら、止めてって云っても止めてくれない」
「それだけお前が好きって事だよ」
「お前が女の子で良かった」
.
「今お兄ちゃんって呼ばないで」
「じゃあ乱歩さん」
「なんか妹を盗られたみたいでヤダ」
「妹だってば」
「違う!」
「もう、信じてよお兄ちゃん!」
「だからその声でお兄ちゃんって呼ばないで!!」
「誰!?僕の妹を男にしたやつ!?」
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「今国木田さんと太宰さんが異能者の行方を追ってますから…」
敦が宥めるも暴れ続ける乱歩。
「抱き締めても柔らかくない…」
「仕方無いよ…男性の体だもん」
「顔は今まで通り可愛いけど声も低いしなんか背も伸びてるし!」
「異能だってば。すぐに戻るよ」
「国木田!太宰!早く!!」
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そろそろ発狂しそうな乱歩に慌てふためく探偵社。
「困ったな…」
流石の妹も如何していいか判らないらしい。
「お兄ちゃん、もうすぐ元に戻るから」
乱歩の腕を掴もうとして振り回した腕にバランスを崩す。
「わっ!」
「おっとと…」
気付けば妹は乱歩を壁に押し付けていた。
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「お兄ちゃん大丈夫?」
「何時もなら嬉しい状況なんだけど、目の前に居るのが男って一寸」
「そう云う問題じゃ…」
そこまで云って妹は何かを企んだ。
壁に付いた手を片方、乱歩の頬に滑らせる。
「ちょっ」
「何時もされてばっかりだから、お兄ちゃんにもしてあげる」
乱歩が珍しく慌てている
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「男にされても嬉しくないよ」
「中身は私なのに?」
頬を撫でながら少しずつ顔を近付けていく妹。
「や、止めてってば」
「何時もそう云って一回も止めてくれた事ないでしょ」
「いい加減にしないと怒るよ!」
「ふふ、お兄ちゃん可愛い」
その様子を固唾を飲んで見守る探偵社員。
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「おっ?」
ポン、と音がした。
何事かと周囲を見回す社員の中で乱歩が目の前を凝視している。
「…戻った?」
「戻ったね」
つまんないの、と踵を返す妹の肩をガッチリと掴んだ。
「お兄ちゃん痛いよ」
「何事もなかったなんて云わせないよ」
青筋を立てる乱歩は珍しいらしい。
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「只の冗談だもん」
「ふうん?口答えなんて良い度胸だね」
黒い笑みを浮かべた乱歩は徐に妹を担ぎ上げた。
「今日はもう帰るから」
「乱歩さん!?」
「明日も二人とも休むからよろしく」
「え、ちょ!?」
「お兄ちゃん下ろして~」
「僕を怒らせると如何なるか、しっかり教えてあげないとね」
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「ご免なさい」
「判ればよろしい」
ぐったりした妹の頭を乱歩が撫でる。
「見える処に跡付けて…数日隠すの大変なんだよ」
「お仕置きだもん」
飄々とする乱歩に頬を膨らませる。
「ほら、止めてって云っても止めてくれない」
「それだけお前が好きって事だよ」
「お前が女の子で良かった」
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