短編
「お兄ちゃんは名探偵なんだよ!軍警からも頼りにされてるんだー」
「龍兄はね、すっごく強いんだよ!沢山部下を従えててね!」
「何時もお菓子くれるし」
「ご飯作ったら喜んでくれるし」
「「自慢のお兄ちゃんなんだよ太宰さん!」」
「う、うん…知ってる…」
「「妹が可愛すぎて辛い」」
*****
「お腹痛い…」
「えっ!?」
仕事中、妹がお腹を押さえて机に突っ伏してしまった。
国木田が何か話し掛けているが全く耳に入って来ない。
「大丈夫?与謝野さんに診て貰お、ね?」
「お兄ちゃん…」
「立てる?ほら抱っこしてあげるから」
「お兄ちゃん」
「毎月の事だからそろそろ慣れて…」
*****
「国木田君って本当お母さんみたいだよねぇ」
「誰が母親だ!」
国木田さんがまた太宰さんに遊ばれている。
国木田さんは頼れる上司でお腹痛い時は全部準備してくれてお兄ちゃんの事も気に掛けてくれてご飯作れて家事も出来て…
「お前からも何か云ってやれ」
「…ママ」
「フォローしてくれ」
*****
「お兄ちゃん髪結うの上手になったね」
鏡越しに褒めてくれて嬉しくなる。
「結納の時もお兄ちゃんにして貰おうかな」
「え、結納…?」
「忘れちゃったの?私もうすぐ結婚するって言ったじゃない」
「そんな莫迦な!」
「ん~…お兄ちゃん…?どしたの夜中に…」
「…夢だよね。夢だよね…」
*****
「見てお兄ちゃん、マフィン焼いたの」
ナオミちゃんから教わった洋菓子を家で作ってみた。
「良い匂いだね」
「味見して」
はい、と手渡すと口を開ける兄。
「何してるの?」
「食べさせてくれないの?」
ほら、と甘える兄はまるで子供だ。
「二十六歳には見えないなぁ」
「ん、美味しい」
*****
「お兄ちゃん見て!」
夜のパレードに大はしゃぎの妹。
繋いだ手を離さないか心配だが、其れ以上に一寸した不満がある。
「デェト中はその呼び方しないでって云ったでしょ」
膨れっ面の僕に動きが止まった。
「御免なさい、乱歩さん」
肩に凭れる彼女に僕はやっと満足した。
*****
「今日はキスの日なんだって」
「…仕事中だよお兄ちゃん」
背中にのし掛かる乱歩に困り顔の妹。
「ねぇ、今日は…」
「聞いてるよ!」
もう!と振り返ると零距離に乱歩の顔が。
「やれやれ、お前は本当に進歩しないね」
「今のは避けれないよ…」
「国木田さん、今の…?」
「忘れろ敦」
*****
「ナオミちゃんと映画に行ってくるね」
仕事終わり、ナオミと腕を組んで上機嫌の妹。
「妹さんをお借りしますわ乱歩さん」
同じ様に笑うナオミに谷崎と顔を見合わせる。
「何時に終わるの?」
「迎えに行くから入り口で待ってるんだよ」
「其の後お茶するので結構ですわ」
「「えっ」」
*****
「太宰さん、兄に叱られるので此れは一寸」
「駄目!今日は私に構ってくれるって約束したじゃない!」
自分の席なのに太宰さんの膝に乗せられながら仕事をする。
「何時も乱歩さんの監視が厳しくて甘えさせてくれないんだもの」
膨れる太宰さんはまるで子供。
「はぁ、兄が二人いるみたい…」
*****
「あ~妹が居ない詰まんない。ねえ谷崎」
「乱歩さん…」
男性社員だけで来た温泉宿で乱歩は膨れていた。
「明日には会えますから」
国木田が宥めるのも聞かず床を転がり回る。
「僕、妹が同じ布団に居ないと眠れないんだけど」
真顔で云い放つ乱歩に部屋がどよめいた。
「何さ、普通でしょ」
*****
「今日は終日名前で呼んでね!」
朝起きた第一声に些か驚いている。
「…なんで?」
「今日は恋人の日だよ?兄妹である事は一日忘れて恋人気分を堪能しなきゃ!」
そう云いながら顔中に接吻する乱歩さんは如何やら本気らしい。
「じゃあデエトに連れてって、乱歩さん」
「お望み通りに」
*****
福沢が所用を終わらせ家に帰ると、普段より豪勢な食事が並んでいた。
「お帰り福沢さん」
先に座っていた乱歩が声を掛ける。
「これは?」
「今日は父の日だから」
台所から新しい料理を持った妹も出てくる。
「何度も云うが俺は父親代わりでは…」
「何回も聞いた」
「でも感謝ぐらいさせてよ」
*****
「せんせ…」
「目が覚めたのか?」
乱歩の妹が眼を擦りながら寄って来た。
読んでいた本を机に置き手招きする。
「とうさまのゆめみた…」
「乱歩は?」
「おきない…」
ぐす、と鼻を鳴らす幼子を膝に乗せ、頭を撫でてやる。
「とうさま…」
「父親代わりでは無いと云うのに」
その声は優しい。
*****
社長をガチで怒らせるワードは何だと社内で話題になった。
「怒られたくないから不参加」
と云う乱歩に社員が唸っている。
買い出しから帰って来た乱歩の妹が事情を訊き社長室に入って
「パパ!」
と叫んだ直後社長が凄い形相で出て来たのを
口を開けて見守る社員たち。
*****
携帯のインカムをじっと眺め、徐に自分に向ける乱歩。
「これでこうして…あ、撮れた」
カシャ、と機械音がして自分の顔が画面に写し出される。
「ふーん。こんなの何時使うの…」
「え、お兄ちゃん今自撮りした?」
気付けば後ろに妹の姿。
「使い方試してただけだから!!」
「わぁ怒った!」
*****
『いらっしゃいませ』
「うおっ」
目の前を通った瞬間喋り出した自販機に社長が珍しく驚く。
「最近のは喋るよね」
「…買ってみるか」
『お金を入れて下さい』
「今入れてる」
『ボタンを押して下さい』
「どれが良い」
「これ」
「押すぞ」
ガシャンと落ちてきた缶を見て二人は得意気に笑った。
*****
お題「相手を犯してください」
「ふぅん、犯す…ねえ」
呟きながら妹の腰を引き寄せる乱歩。
「何時も優しくしてるし、たまには自分勝手に犯すのも悪くないね」
「や、やだやだ!」
逃げようとする妹を壁に押し付け、荒々しく口内を犯す。
「…これだけじゃ駄目か」
既に抵抗する力を失った妹を今度は床に押し倒した。
*****
「ほら、お水」
「んん…」
肩に凭れて小さく唸る妹。
たまに一緒に飲むと直ぐ此れだ。
「二日酔いになるよ」
「や…」
「じゃあ飲んで」
「んー…」
「もう、しょうがないなぁ」
コップの水を含んだ口で妹の其れを塞ぐと漸く飲んでくれた。
「え、乱歩さん…?」
「何、見せ物じゃないよ」
*****
「見てお兄ちゃん!海!」
「この前行ったでしょ」
車窓から見える海にはしゃぐ妹を落ち着かせるがそれ処では無い様子。
「太陽が当たってキラキラしてる…綺麗だなぁ」
終始笑顔の妹は可愛いけど、放っておかれるのは嫌いなんだよね。
「乱歩さん、ヤキモチ?」
「人の心を勝手に読まない!」
*****
「龍兄はね、すっごく強いんだよ!沢山部下を従えててね!」
「何時もお菓子くれるし」
「ご飯作ったら喜んでくれるし」
「「自慢のお兄ちゃんなんだよ太宰さん!」」
「う、うん…知ってる…」
「「妹が可愛すぎて辛い」」
*****
「お腹痛い…」
「えっ!?」
仕事中、妹がお腹を押さえて机に突っ伏してしまった。
国木田が何か話し掛けているが全く耳に入って来ない。
「大丈夫?与謝野さんに診て貰お、ね?」
「お兄ちゃん…」
「立てる?ほら抱っこしてあげるから」
「お兄ちゃん」
「毎月の事だからそろそろ慣れて…」
*****
「国木田君って本当お母さんみたいだよねぇ」
「誰が母親だ!」
国木田さんがまた太宰さんに遊ばれている。
国木田さんは頼れる上司でお腹痛い時は全部準備してくれてお兄ちゃんの事も気に掛けてくれてご飯作れて家事も出来て…
「お前からも何か云ってやれ」
「…ママ」
「フォローしてくれ」
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「お兄ちゃん髪結うの上手になったね」
鏡越しに褒めてくれて嬉しくなる。
「結納の時もお兄ちゃんにして貰おうかな」
「え、結納…?」
「忘れちゃったの?私もうすぐ結婚するって言ったじゃない」
「そんな莫迦な!」
「ん~…お兄ちゃん…?どしたの夜中に…」
「…夢だよね。夢だよね…」
*****
「見てお兄ちゃん、マフィン焼いたの」
ナオミちゃんから教わった洋菓子を家で作ってみた。
「良い匂いだね」
「味見して」
はい、と手渡すと口を開ける兄。
「何してるの?」
「食べさせてくれないの?」
ほら、と甘える兄はまるで子供だ。
「二十六歳には見えないなぁ」
「ん、美味しい」
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「お兄ちゃん見て!」
夜のパレードに大はしゃぎの妹。
繋いだ手を離さないか心配だが、其れ以上に一寸した不満がある。
「デェト中はその呼び方しないでって云ったでしょ」
膨れっ面の僕に動きが止まった。
「御免なさい、乱歩さん」
肩に凭れる彼女に僕はやっと満足した。
*****
「今日はキスの日なんだって」
「…仕事中だよお兄ちゃん」
背中にのし掛かる乱歩に困り顔の妹。
「ねぇ、今日は…」
「聞いてるよ!」
もう!と振り返ると零距離に乱歩の顔が。
「やれやれ、お前は本当に進歩しないね」
「今のは避けれないよ…」
「国木田さん、今の…?」
「忘れろ敦」
*****
「ナオミちゃんと映画に行ってくるね」
仕事終わり、ナオミと腕を組んで上機嫌の妹。
「妹さんをお借りしますわ乱歩さん」
同じ様に笑うナオミに谷崎と顔を見合わせる。
「何時に終わるの?」
「迎えに行くから入り口で待ってるんだよ」
「其の後お茶するので結構ですわ」
「「えっ」」
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「太宰さん、兄に叱られるので此れは一寸」
「駄目!今日は私に構ってくれるって約束したじゃない!」
自分の席なのに太宰さんの膝に乗せられながら仕事をする。
「何時も乱歩さんの監視が厳しくて甘えさせてくれないんだもの」
膨れる太宰さんはまるで子供。
「はぁ、兄が二人いるみたい…」
*****
「あ~妹が居ない詰まんない。ねえ谷崎」
「乱歩さん…」
男性社員だけで来た温泉宿で乱歩は膨れていた。
「明日には会えますから」
国木田が宥めるのも聞かず床を転がり回る。
「僕、妹が同じ布団に居ないと眠れないんだけど」
真顔で云い放つ乱歩に部屋がどよめいた。
「何さ、普通でしょ」
*****
「今日は終日名前で呼んでね!」
朝起きた第一声に些か驚いている。
「…なんで?」
「今日は恋人の日だよ?兄妹である事は一日忘れて恋人気分を堪能しなきゃ!」
そう云いながら顔中に接吻する乱歩さんは如何やら本気らしい。
「じゃあデエトに連れてって、乱歩さん」
「お望み通りに」
*****
福沢が所用を終わらせ家に帰ると、普段より豪勢な食事が並んでいた。
「お帰り福沢さん」
先に座っていた乱歩が声を掛ける。
「これは?」
「今日は父の日だから」
台所から新しい料理を持った妹も出てくる。
「何度も云うが俺は父親代わりでは…」
「何回も聞いた」
「でも感謝ぐらいさせてよ」
*****
「せんせ…」
「目が覚めたのか?」
乱歩の妹が眼を擦りながら寄って来た。
読んでいた本を机に置き手招きする。
「とうさまのゆめみた…」
「乱歩は?」
「おきない…」
ぐす、と鼻を鳴らす幼子を膝に乗せ、頭を撫でてやる。
「とうさま…」
「父親代わりでは無いと云うのに」
その声は優しい。
*****
社長をガチで怒らせるワードは何だと社内で話題になった。
「怒られたくないから不参加」
と云う乱歩に社員が唸っている。
買い出しから帰って来た乱歩の妹が事情を訊き社長室に入って
「パパ!」
と叫んだ直後社長が凄い形相で出て来たのを
口を開けて見守る社員たち。
*****
携帯のインカムをじっと眺め、徐に自分に向ける乱歩。
「これでこうして…あ、撮れた」
カシャ、と機械音がして自分の顔が画面に写し出される。
「ふーん。こんなの何時使うの…」
「え、お兄ちゃん今自撮りした?」
気付けば後ろに妹の姿。
「使い方試してただけだから!!」
「わぁ怒った!」
*****
『いらっしゃいませ』
「うおっ」
目の前を通った瞬間喋り出した自販機に社長が珍しく驚く。
「最近のは喋るよね」
「…買ってみるか」
『お金を入れて下さい』
「今入れてる」
『ボタンを押して下さい』
「どれが良い」
「これ」
「押すぞ」
ガシャンと落ちてきた缶を見て二人は得意気に笑った。
*****
お題「相手を犯してください」
「ふぅん、犯す…ねえ」
呟きながら妹の腰を引き寄せる乱歩。
「何時も優しくしてるし、たまには自分勝手に犯すのも悪くないね」
「や、やだやだ!」
逃げようとする妹を壁に押し付け、荒々しく口内を犯す。
「…これだけじゃ駄目か」
既に抵抗する力を失った妹を今度は床に押し倒した。
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「ほら、お水」
「んん…」
肩に凭れて小さく唸る妹。
たまに一緒に飲むと直ぐ此れだ。
「二日酔いになるよ」
「や…」
「じゃあ飲んで」
「んー…」
「もう、しょうがないなぁ」
コップの水を含んだ口で妹の其れを塞ぐと漸く飲んでくれた。
「え、乱歩さん…?」
「何、見せ物じゃないよ」
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「見てお兄ちゃん!海!」
「この前行ったでしょ」
車窓から見える海にはしゃぐ妹を落ち着かせるがそれ処では無い様子。
「太陽が当たってキラキラしてる…綺麗だなぁ」
終始笑顔の妹は可愛いけど、放っておかれるのは嫌いなんだよね。
「乱歩さん、ヤキモチ?」
「人の心を勝手に読まない!」
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