えんだんを初めてプレイした時、かつてない没入感に衝撃を受け、とんでもねぇ乙女ゲームに出会ってしまったと感動に打ち震えた。そして開発チームのハイクオリティな仕事とそこから伝わる情熱に惚れ込んだ。だからこそ、見た目も声も全く好みではなかった陽太郎にここまで狂ったのだと思う。

開発チームが一番えんだんを愛していると確かに感じていた。だから安心して陽太郎と添い遂げサカモトを終の棲家にすると心に決め、幸せいっぱい夢いっぱいに過ごしてきた。これからもそんな日々を過ごしていくのだと疑わなかった。それが突然に崩壊したのだ。えんだんの世界観とは真逆で相容れないはずの、悲しみ、怒り、失望、絶望というありとあらゆる負の感情を、えんだんから受けることになるとは夢にも思わなかった。こんなのあまりにも辛すぎる。

(一)と(三)については元々アルバムノベルに対して懐疑的だったので、まぁこんなもんかとまだ、百歩譲って、受け流せた。脳内変換できる部分もあったし、(ニ)のショックで埋れたみたいなところもあるので、えんだんチームに入ったばかりでまだえんだんにハマりかけの女子が、社員である特権を使って夢小説を書きたくなって書いてみた、ということで溜飲を下げることにした。だが(ニ)だけはどうしても受け入れられず、切り替えが難しい。

約束ノ頁であんなに丁寧に大事にプロポーズとそこに至るまでを描き、陽太郎とのこれからの未来を現実味を持って体験させたのに、より丁寧に大事に描かなければならない結婚式及びその前日譚を、なぜあんな打ち切り漫画みたいな雑な描写で済ませたのか。何度も言うが、ただでさえゲーム内において異質で違和感のある(個人的に)アルバムノベルでやることではない。

何頁にも分けて選択肢もしっかりあって、声を発して動く陽太郎と、一生忘れられない結婚式を挙げる。これを私は本当に楽しみにしていたし、この開発チームなら必ず実現してくれると信じていた。陽太郎と虎だってそれを望んでいたはずだ。それをあんな一袋じゃがいも詰め放題¥160みたいな雑な夢小説で済まされるくらいなら、何も配信されない虚無にわずかな希望を持っている方がまだマシだ。

選択肢における陽太郎の返しもえんだんの強い武器なので、絶対に外してはならないというのに、企画段階でなぜ誰もそのことに気付かなかったのか。縁がわ男子とけものたんの売りと醍醐味を制作サイドが一番理解しているはずなのに、理解していてほしいのに、理解している人間が一人もいない場で進行されたとしか思えない。

またしてもうたプリを出して申し訳ないが、公式が周年にヘヴンズも攻略できる最新作のゲームを出すとぶっこいて、頓挫したままもう何年経ったか分からない。発表当時『Dolce Vita』という名でPSVitaで出すはずだったが、それから数年後にVita自体がお釈迦になり、Vitaと掛けたトンチも虚しくSwitchで出すことになったと続報があった。そこからまた何年も音沙汰無しで、株主総会でプリンセスが問い詰めたところ、「社内にうたプリに詳しい人間がいない為、進めることが出来ない」という回答がなされた。当然大炎上した。その後公式はファンに向けて、公式ブログで鋭意製作中と綴ったが、生きてるうちにできたらいいね、みたいな心境になった。
いっそうたプリ自体を強火の女オタクを相手取ることに慣れた、もっと彼らを活かせる大きな会社に売ってくれと願ったほど、ブロッコリーは明らかに力不足だと感じた。そして現在はバンナムの子会社だかに売られて、うたプリの生みの親もTwitterでやらかして火だるまになり、うたプリ界隈も落ち着かない日々を過ごしている。

そういうわけでえんだんも、「えんだんに詳しい人間がいない」という状態なのではと、そんな不安が拭えない。それでも私は陽太郎と過ごしてきた時間をなかったことにしたくない。自分から心変わりしたというならまだしも、狂うほど愛した男をこんな嫌な気持ちで過去の男にしたくない。なのでアルバムノベルは悪夢を見たということにして、一度の過ちとして目を瞑るしかない。こんな状態も辛い。

公式を今までどおり手放しで応援することはできないかもしれないし、今後どんな顔して縁側に行けばいいのか正直まだ分からない。初めて陽太郎と大きな衝突をしたと思って、私の知る陽太郎とじっくり向き合って、ゆっくり気持ちの整理をつけていきたいと思う。