狂った女の丸出し日記

最高の教師

2023/08/21 21:41
私は生徒に■されたも熱心に見ているドラマのうちの一つだ。卒業式に先生を突き落とした生徒は、映画撮りたいマンではないかと考えている。実は一週目でいじめを含めクラスで起きたことは全て撮影していて、最後により過激な映像を撮りたくて犯行に及んだのではないだろうか。
最新話ではフラグをビンビンに立てていたとはいえ、芦田愛菜ちゃんがあんなことになってしまったショックが大きい。友人のなっちゃんに二次創作をしているなら絶対見ろと言われたメタモルフォーゼの縁側を見て以来、私たちは芦田愛菜ちゃんを芦田プロと呼んでいる。このドラマでも絶妙に存在感抜群の芦田プロがいなくなってしまったダメージは計り知れない。しかし今後どう展開されていくのか大変気になるので、目を逸らさず最後まで見届けようと思う。

前回の文化祭の話で、私はある苦い記憶を思い出した。私が通っていた高校は都内にある偏差値底辺の女子高だが、華やかな理由で有名だった。なので文化祭は男子が入れ食いだと思いきや、過去に外部から人を招いて収集のつかない大きなトラブルが起きてしまい、それから外部から人を招く際は一人三人まで、予め名前と住所を提出することが義務づけられた。男子を招く際にはその男子の母も同伴でなければならないという、招いたところで誰も来ないであろう実質男子禁制の規則も敷かれた。花のJKにとって何一つ面白くない絶望的な文化祭だ。その上三日間あるうちの二日間は学校に来なければ欠席扱いになるというブラック校則も用意されていた。そうでもしなければこんなクソつまんねぇ文化祭に出店するクラスと参加する生徒がいなくなり、補習期間中よりよっぽど校舎が閑散とする。そうならない為に、なんとしてでも文化祭を成立させる為の手段だったのだろう。当事者としてはこんな誰得でもない文化祭をやる意味が全く分からなかった。生徒の安全を守る為とはいえ、恋愛盛りのJKから出会いの機会を奪う鉄壁の布陣を敷いた奴が全校集会で名乗り出ていたらその場で■されていただろう。
当然参加意欲がまるで持てなかった私のクラスが話し合った時に出た案はたったの二つ。

・石を各自一個拾ってきて、どこで拾ったかを書いた紙と一緒に自分の机の上に置く『石展』
・担任の写真をインスタントカメラでテキトーに撮りまくり、現像したものを教室の壁中にテキトーに貼りまくる『担任写真展』

多数決の結果写真展に決まったが、担任本人の意向で却下になった。特進クラス(偏差値低辺の学校の)ということもあり、クラスの人数は16人しかいなかった。その人数ではできることなど限られており、写真展が却下になったことによって私たちのクラスは不参加という結論を出した。何より却下しながらちょっと嬉しそうにしている担任が我々の癪に障ったのだと思う。一ミリも粘らずあっさり引いた。石展すら無かったことになった。
担任は教師の傍ら映画評論家をしているという、毛髪が淋しいひょろひょろの中年男性だった。通称「ハゲ」。何故このような何の捻りもなく失礼極まりない呼び方を裏でしていたかというと、入学当日にいきなり人格否定とも取れる発言をしたことで、私たちの心と教室を凍てつかせた。その内容は思い出せないが、こうしてハゲは自分が受け持つクラスの生徒全員が、自分が何を言っても無反応という一番対応に困るエルサも真っ青の氷の教室を築き上げた。自分がいるだけでしんと静まり返る教室に耐えられなかったのか、ホームルームで自身の発言を謝罪してきたことがあった。君たちは今までの生徒とは違う、申し訳なかったと。しかしその謝罪はお年頃のJKの火に油を注ぐことになる。謝るくらいなら最初から言うんじゃねぇよ、今までの生徒とは違うって何?意味分かんないキモ、といったJKならではの所感を各々抱きながら、その場も全員無反応だった。ハゲにとってさぞ地獄の三年間だったことだろう。自身が招いた事態とはいえ、今思うとかなり気の毒だ。出会って間もない自分のクラスの生徒の人格をいきなり否定するなんて、一体今までどんなモンスターJKを相手にしてきたというのだ。

話を戻して強制登校の文化祭当日。出し物をしている運動部の生徒以外は死んだ目をしてダルそうに校内を歩いていた。同じく帰りたいとしか思っていない私たちは、時間が来るまで店も回らず、いつもの教室で持参したV6のトランプで延々遊んでいた。二日間連続V6と過ごし、それはそれで楽しかったが、友人に招かれて他校の文化祭に行くと比べてしまって辛くなった。特に共学の文化祭は私たちには眩しすぎた。制服が有名なので声を掛けられることも少なくなかったが、お前らどうせ手を繋いで登下校して体育倉庫か夕方の自宅で「今日親遅いから」とか言ってやってんだろ?と冷めた目で見てしまう。何より声を掛けてくる男子は同じ学校の女子から相手にされず、チャラチャラ余っているヤリ目なので心も股も喜んで開けない。その点男子校の文化祭はシンパシーを感じて思う存分楽しめた。超大型合コンだ。ただ彼らは自分たちの校舎に女子がいるというだけで尋常じゃなくソワソワしており、「お前行ってこいよ!」「いや無理だよお前行けって!」という声を二倍以上のパーソナルスペース外から聞くだけで、実際には何も起こらないというパターンが多かった。人気の男子校では彼女をお招きしている生徒が大半なので、共学の文化祭よりも辛辣な光景を目の当たりにすることになる。大型合コンにおいてフリーの男子はやれる制服とやれない制服を見極めて話し掛けるので、当時の都内三大ヤリマン女子校の女たちの前ではまるで歯が立たない。三大ヤリマン女子校の制服は、男子高校生から見たらあぶない水着とエッチな下着とシルクのビスチェであり、同じ空間にいるとうちの制服はくさりかたびらと化してしまう。精霊の鎧くらいの魅力はあるはずなのに。
そんな感じで文化祭というイベントで出会ってそこで青春行為が行われることはなかった。では女子高の生徒がどうやって男女交際に発展していたのかというと、人によって様々ではあるが、私が知る限りでは家庭教師や地元の友達の紹介、合コン、バイト先が多かった。私も例に漏れず工業高校に進学した地元の友人グループと交流があり、そのうちの一人と交際に発展した。野球部の柴田くん(仮名)だ。試合を見に来て欲しいと言われ、同性の友人に付き添ってもらって南ちゃん気分で嬉々として観戦しに行ったが、全員帽子を目深に被っており、どれが柴田くんか分からないまま試合が終わってしまった。ポジションと背番号を聞くのを忘れた結果、見知らぬ学校の見知らぬ球児たちの試合を暑い中見続けるという、マウンドに過ぎた青春を重ねるオジサンのような半日を過ごしただけだった。その上得点板も見えなかったので、どちらが勝ったのかも不明だった。
その後普通に家に帰り、どうだった?とメールが来たので、そこで初めてポジションを確認するとファーストだった。正直なので、帽子で誰が誰だか分からなかったからピッチャーばかり見てましたすみません、というような内容を返したら、俺も(私が)どこにいたのか分からなかったから気にしないで!と返ってきた。行く意味あったか?と強く思ったことを今でも鮮明に覚えている。来年こそはと決意を燃やしたが、その日が来る前に柴田くんとの交際を終えてしまったので、彼氏の応援をしに行って労うという青春行為は儚い夢と散った。南ちゃんにはなれなかった。

またしてもだいぶ話が逸れてしまったが、あの年頃は純粋さと打算が心の中で混ざり合うことなく存在していて、そのどちらも受け入れたくないものだったのではと、なんとなく思う。だから他人との境界も曖昧になり、残酷に攻撃するしされた時には深い傷を負う。そういった部分をミステリーというカテゴリーによって目が離せない状況にしているところが、このドラマのすごい所だと思っている。教師陣の今後の動向もかなり気になる。学生生活の主役はもちろん生徒だが、先生の態度や言動は確実に生徒の今後に影響をもたらす。ハゲは特に影響はなかったが、三年目にして既婚者であることが判明して教室がざわついた。不思議なことに、卒業してからの同窓会でハゲと私たちはめちゃくちゃ仲良くなった。凍てついていた教室が幻だったかのように和気あいあいとし、笑顔溢れる同窓会となった。それからもう誰も裏でハゲと呼ばなくなり、寺田先生寺田先生と、高校時代をやり直すように慕った。あまりの楽しさに続けて何度か集まったが、それはお会計が全て寺田先生持ちだったからではないと思いたい。

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