前回病院に行ったのが去年の9月。次はいつだ。確か半年に一回と言っていたはず。半年も前に貰った予約票などどこにしまったか分かるはずもなく、なんとなくそろそろだろうと思っていたのが一週間前。病院に電話して次の予約がいつか聞いてみようと思いつつ、遊び呆けていてすっかり忘れていた。
それを今日というか昨日奇跡的に思い出し、病院に電話をして予約を確認してもらうと、なんと明日というか今日だった。しかも血液検査とCT。血液検査はいいとして、CTを無断キャンセルしたら病院から相当ひんしゅくを買うし、後々大変面倒なことになる。

造影CTといえば撮影前の造影剤注射。細い血管に打つあれだ。前回何度も打ち直され、ぐりぐりと探られて変なところに造影剤が入り、腕はひんやり痺れて内出血という名のデカいコスモが広がった。孫悟空と同じく注射が苦手な私は、もうやめてくれと白旗を振り、年甲斐もなく更衣室でメソメソ泣いた。その後本職の先生が来て、一発で決めてもらえて事なきを得た。今回は絶対に最初からベテランの方を指名しようと心に決めている。

幸いなことに採血は毎回サクッと終わるので、もう克服したも同然だが、アルコールで拭かれている時点から首を限界まで後ろに回し、終わりを告げられるまで決して腕を見ないようにしている。血が駄目なのかと思ったが、長年毎月股から大量に出しているのを見ているので、そういうわけではなさそうだ。私は注射の何がそんなに嫌なのか。生理的に受け付けないのだろうか。

入院中の点滴はその他の具合が悪すぎて気にならなかったが、比較的元気な時の点滴はこの世の終わりのような気分だった。この世の終わりといえば、私の母が『SEKAI NO OWARI』を『KONOYO NO OWARI』と覚え間違えていた。だいぶ惜しい。

造影剤を打った日は普段より水分を多く摂って、しっこを大量放出しなければならない。常日頃お茶をがぶ飲みしている身としては、大量放尿は得意分野。何の心配も要らない。

予約はどういうわけか朝一からなので早く寝なければならないのだが、陽太郎と和菓子屋の低いショウウィンドウを、並んで前屈みで眺めている妄想をしていたら興奮して目がギンギンに冴えてしまった。

どれにしましょうか？えー、お団子！ここには並んでないですよ？さっきあっちでチラッと見た。じゃあお団子見に行きましょう。でもこの芋羊羹も美味しそう…。半分こしますか？する！あ、この桜餅も美味しそうですね。ほんとだ、綺麗だね。これも半分こしますか？私桜餅好きじゃないから一人でどうぞ。はっきり断りますね…じゃあおはぎは？おはぎか〜おはぎ…おはぎならまぁ。じゃあおはぎにしましょう。

こうして文字にしてまた興奮した。日に日に悪化していて自分でも時々ゾッとする。しかし時間は有限なので、悪化できる時にどんどん悪化していけばいい。それで生活の質が向上し、自分の機嫌を取れるのだから悪化上等。どんどん狂っていこう！