バレンタインデー。好きな男の子の為に手作りをして、そのついでというか端みたいな部分を地元の男共に「できたから取りに来て！」と電話をして配っていた時代が私にもあった。中学時代は私自身が女の子にモテモテだったので、後輩や同級生から山程のチョコを貰い、隣の席の男子に羨ましがられていた。なんで男の俺より貰ってるんだと聞かれたが、その答えとして思い当たるのは、運動ができて女の子に優しく、相葉雅紀に似ていると言われていたからに他ならない。自慢だが当時付き合っていた彼氏よりもモテていた。
そんなイタい「昔はモテていた」自慢はここまでにしておき、バレンタインデー。大人になってからというもの、ただの面倒で憂鬱な日になった。水商売では海老で鯛を釣る為に一番安いチョコを大量買いして来た客に配らなければならなかったし(絶対用事ないのに見栄を張って当日を外して来るオヤジ多数)、会社では義理チョコを配らなければならなかった。しかしながら、役員にチョコを渡すと出来た奥様がOLが好きそうなハンドクリームやマドレーヌといったオシャレなお菓子のお返しをくれるので、それは楽しみではあった。奥様にとってもとんでもなく面倒だったことだろう。おそらく今は会社での義理チョコ文化は廃れているはず。

現在私がチョコをあげる相手といえば親方しかいないのだが、それが本当に面倒だ。某ファミチキことノリ氏のように、三度の飯よりお菓子作が好きならよかったのに、残念ながら私はもっぱら食う専門。よしんば作ったとしても、出来上がった瞬間から食べたいし、何よりあげる相手にモチベーションが上がらない。
そんな時、スベル氏の助言を思い出した。ご飯を作るモチベーションが上がらない私に掛けてくれた魔法の言葉は以下の通りである。

“陽太郎に作ってあげるって思えばいいんだよ”

一瞬で苦が去った。食べているのは何故か別人ではあるが、私はこの魔法の言葉を思い出すことによって乗り切っている。

今回もそれでいこうと意気込んだ結果、ふわふわの寝巻きことジェラピケを検索し、ハートが散りばめられた可愛いふわふわの寝間着を注文していた。絶対似合う〜はい決済！しかしながら陽太郎に着てもらいたくて注文したのに、実際に着るのは親方。だが心配は無用。私には強い幻覚を見る能力がある為、陽太郎が着ているところを容易に想像できる。そしてこれを洗い、たたむ際には陽太郎がまた気持ち良く着れますようにとだいぶハッピーになれる。ただここで思い込み過ぎると、何故お前がそれを着ている？と尋ねてしまいかねないので注意が必要だ。

それはそうと、バレンタインデー本番がいよいよ明日だというのに夢小説を完全させていない。陽太郎ハウスの間取りに気を取られすぎて、途中までは書いてあるものの全く手付かずになっている。今夜はそれを書き上げるまで寝てなるものか。スマホでチマチマチマチマ書くしかないが、今度こそイベントに間に合わせて、余裕を持って当日を迎えたい。