ちっともめでたくない出来事ばかりが立て続けに起きていてさすがに滅入っているが、初夢の話はしておこうと思う。

陽太郎の夢がどうしても見たくて、枕カバーの下におにぎり型のアクリルキーホルダーを三つとも仕込んで寝た。頭はすっからかんなので軽く枕は低反発。寝て起きたら陽太郎様のアクリルキーホルダーが木っ端微塵に砕け散っているという可能性は限りなくゼロに近いので、これはいけるとコソコソいそいそと仕込んだ。この手法は当時の女子小学生の間で大流行していたものだ。我々はおまじないと呼んでいたが、現代のJSは呪術とでも呼ぶのだろうか。
やり方は至って簡単。好きな人の写真を、枕の下もしくは枕元に置いて寝ると夢に出てくるというもの。勿論現役時代に試したことがあるが、夢に出て来なかった挙げ句、貴重な写真が若干くしゃっとなっていたのでそれ以来しなくなった。

他にも消しゴムに名前を書いてバレずに最後まで使い切ると両想いになるとか、ハンカチにバニラエッセンスを垂らすとモテるとか、放課後縦笛をこっそり舐める(禁術)とか、そういったおまじないが流行していた。発信源はおそらくりぼんやなかよしの類だったような気がする。

その当時、公衆トイレには必ずと言っていいほど縦線の入ったニジュウマルの太陽の壁画が描かれていたし、アベックの相合傘も刻まれていた。まだ幼かった私にはそれが何を意味しているのか皆目見当が付かなかったが、あの文様は淫紋の走りだったのではないだろうか。相合傘はその個室で致したアベックが、盛り上がって記念に刻んでいったものだと考えられる。そうでなければわざわざそんな汚い場所に願いを刻む理由がない。もしくは場所が場所なので、それをビニ本代わりにして抜いたのかもしれない。そんなことはどうでもいい。話を初夢に戻そう。

おまじないという名の執念の甲斐あって、なんと陽太郎の夢を見ることに成功した。ところが、だ。出てきたのは周年のカウントダウンの陽太郎の顎のアップよろしく、緑の作業服を何故か肘まで腕まくりしている陽太郎の腕のみだった。それを見ながら延々陽太郎の魅力について語っていた。ホワイ？何故？

ということで乙女の皆様、今年もどうぞよろしくお願い致します。