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一、鬼殺隊雪柱

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「「お館様がお成りです」」

…姿が見えた瞬間、私は膝をついて頭を下げた。
纏う雰囲気がこの組織の長だという事を感じさせる。

「やぁみんな、息災のようで何よりだよ。今日も来てくれてありがとう」

柔らかい声に、懐かしさを覚える喋り方。
慈愛に満ちた声色のせいか、胸の奥にじっと染み渡るような慣れない感覚にぎゅっと手を握り締める。

「みんな顔をお上げ。今日の会議は知らせがあるんだ」

みんなが一斉に顔を上げると、お館様は微笑みながら私の隣…しのぶさんを見ていた。

「しのぶ、君は自分が作った毒で鬼を滅する事が出来るそうだね」

「はい、お館様。私は丈も力もなく姉のように鬼は斬れません。ですが、その毒で鬼と戦うことが出来たのです」

そうだったんだ。しのぶさんは、自分で自分の戦い方を見つけて、鬼と対峙してきたんだ。
すごい、と同時に羨ましいとも思う。

「自分の武器を見つけて戦いに生かす事が出来たのは、何よりもしのぶの努力の賜物だよ。その努力と成果は柱になるに相応しい、どうだろうか?」

「謹んでお受け致します」

しのぶさんなら、柱になっても後輩を引っ張っていけるだろう。
蝶屋敷のみんなも安心して暮らしていける。

アキ

「…はい、お館様」

私には、何があるだろう?
後輩や市民の人たちを守る以外に、何もない。

アキの育手はみふゆだったね。みふゆは息災かい?」

「はい、月に二度ほど文のやり取りをしていますが、恙無く過ごしているようです」

「そうか…。みふゆはね、アキの事をいつも嬉しそうに報告してくれていたよ。見込みがないと少しでも思えば匙を投げていたあの子が認めた、初めての弟子だからね」

…知らなかった。何かが出来るようになれば笑って褒めてくれた師範の、初めての弟子?
確かにいい加減な所もある人だったけど、初めて聞く事に戸惑いと少しの嬉しさを覚えた。

「さて、烏からの報告によればアキが斬った鬼の数は六十ニ、そしてその中に下弦の肆もいる。鬼殺隊に入って一年と少しで、これはすごい事なんだよ」

だから、とお館様は表情を崩さず続けた。

「柱になって、前線にいて欲しいんだ。どうだい?」

柱に…私が?

「…お褒めに預かり、光栄に思います」

似ても似つかないはずの、父の姿が重なる。
込み上げる何かをぐっとこらえて、私は次の言葉を発した。

「ですが、そのお役目はお受け出来ません」
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