第八章 守る、守られる
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額に何か冷たさを感じて、ゆっくり目を開ける。光と見慣れない天井が目に入り、寝台に寝かされているんだとすぐ理解した。
倒れた時にぶつけた肩が痛い。叩かれた頬も痛い。
視界は揺れずにしっかり見えているけど、まだ頭がぼーっとする。
「気が付いたんですね」
首だけ声の方を向くと、しのぶさんが微笑みながら部屋に入ってくる所だった。
私の横に来ると、額の手ぬぐいをよけて手を当てたり、手首から脈を測ったりして「特に異常は無し、と…」とほっとした様子を見せる。
「さて、何か言う事はありませんか?」
お父さんからも同じ事を言われた事あるなぁ、とぼんやり考えながらしのぶさんを見つめた。
「…私が勝手に間に立って、避けられたのに避けなかっただけです。あの隊士さんを責めないであげてください。あと…迷惑かけちゃって、ごめんなさい」
私の手を握ったままのしのぶさんは、はぁ、と大きめの溜息を吐いた。怒ったような、呆れたような、そんな表情で寝台の横の椅子に腰掛けて。
「負傷しているとは言え、鬼殺隊士の力は並より遥かに強いんです。脳震盪を起こしていました、今回は軽い症状だから良かったものの…わざと避けないなんて真似はしないように!」
「はい…」
「…でも、それは医療に携わる者としての意見です。あの子たちを守ってくれて、ありがとう」
見つめていたしのぶさんが、優しく微笑んでそう言った。
私が、守った…?
「私…何も守れてないです、何も」
「以前からこういう事があったんです。ですが、いつも私がいない所で起こって、彼女たちはそれを報告しません。本当の事だと思ってるんでしょう…だから今回、アキが体を張って言い返した事がどれだけ救いになったか」
私の手の甲をそっと撫でながら細められた目には、安堵や感謝が見える。しのぶさんの言葉に嘘はない。
それに、私が不安な時にお母さんたちがよくしてくれるように撫でられたその感覚が、涙腺を更に緩ませてくるんだ。
「っ…ごめんなさい…ありがとう…」
手を握り返して、私は涙を流した。
私でも誰かを守れた、守る事が出来た。
後でアオイさんやみんなにも謝ろう。
お父さんには…怒られちゃうなぁ。
「脳震盪ですから、しばらくゆっくり休まないといけません。今日は隠に送ってもらってくださいね」
激しい運動はしない事、無理はせずしっかり食事を取る事を約束させられ、アオイさん手作りの軽く食べられるお惣菜も持たせてもらった。
ぼろぼろと泣きながらお礼を言うアオイさんやきよちゃんたちにつられて、私もまた泣いてしまった。
「色々お手間かけさせてすみませんでした!ゆっくり休んで、また来ます」
「いえいえ、お礼を言うのはこちらですから。何日かに一度は隠が行くと思うので、何かあれば彼らに伝えてくださいね」
「わかりました、本当にありがとうございます」
おやすみなさい、とみんなに挨拶をして、待機していた隠の人に駆け寄る。
しばらくは休ませてもらおう、元気にならないと。
そう思いながら、自分を背負う人と世間話をして家へ向かった。
倒れた時にぶつけた肩が痛い。叩かれた頬も痛い。
視界は揺れずにしっかり見えているけど、まだ頭がぼーっとする。
「気が付いたんですね」
首だけ声の方を向くと、しのぶさんが微笑みながら部屋に入ってくる所だった。
私の横に来ると、額の手ぬぐいをよけて手を当てたり、手首から脈を測ったりして「特に異常は無し、と…」とほっとした様子を見せる。
「さて、何か言う事はありませんか?」
お父さんからも同じ事を言われた事あるなぁ、とぼんやり考えながらしのぶさんを見つめた。
「…私が勝手に間に立って、避けられたのに避けなかっただけです。あの隊士さんを責めないであげてください。あと…迷惑かけちゃって、ごめんなさい」
私の手を握ったままのしのぶさんは、はぁ、と大きめの溜息を吐いた。怒ったような、呆れたような、そんな表情で寝台の横の椅子に腰掛けて。
「負傷しているとは言え、鬼殺隊士の力は並より遥かに強いんです。脳震盪を起こしていました、今回は軽い症状だから良かったものの…わざと避けないなんて真似はしないように!」
「はい…」
「…でも、それは医療に携わる者としての意見です。あの子たちを守ってくれて、ありがとう」
見つめていたしのぶさんが、優しく微笑んでそう言った。
私が、守った…?
「私…何も守れてないです、何も」
「以前からこういう事があったんです。ですが、いつも私がいない所で起こって、彼女たちはそれを報告しません。本当の事だと思ってるんでしょう…だから今回、アキが体を張って言い返した事がどれだけ救いになったか」
私の手の甲をそっと撫でながら細められた目には、安堵や感謝が見える。しのぶさんの言葉に嘘はない。
それに、私が不安な時にお母さんたちがよくしてくれるように撫でられたその感覚が、涙腺を更に緩ませてくるんだ。
「っ…ごめんなさい…ありがとう…」
手を握り返して、私は涙を流した。
私でも誰かを守れた、守る事が出来た。
後でアオイさんやみんなにも謝ろう。
お父さんには…怒られちゃうなぁ。
「脳震盪ですから、しばらくゆっくり休まないといけません。今日は隠に送ってもらってくださいね」
激しい運動はしない事、無理はせずしっかり食事を取る事を約束させられ、アオイさん手作りの軽く食べられるお惣菜も持たせてもらった。
ぼろぼろと泣きながらお礼を言うアオイさんやきよちゃんたちにつられて、私もまた泣いてしまった。
「色々お手間かけさせてすみませんでした!ゆっくり休んで、また来ます」
「いえいえ、お礼を言うのはこちらですから。何日かに一度は隠が行くと思うので、何かあれば彼らに伝えてくださいね」
「わかりました、本当にありがとうございます」
おやすみなさい、とみんなに挨拶をして、待機していた隠の人に駆け寄る。
しばらくは休ませてもらおう、元気にならないと。
そう思いながら、自分を背負う人と世間話をして家へ向かった。