第八章 守る、守られる
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「本当に良いんですか?」
「はい、肩につくぐらいまでばっさりと!」
髪を切って欲しい、とアオイさんにお願いした。
アオイさんは器用だし手際も良い。人の髪を切った事はないらしいけど、仕上がりは期待出来ると思う。
「父が危険な仕事をしてると知った日から、ずっと伸ばしていたんです。願掛けみたいなものですかね…今が切る時だと思って」
目を瞑りながら、じゃき、じゃきと規則的な音を聞く。
切られた髪が下に落ちるのを感じ、そのまま祈るように息を止めた。
「せっかく綺麗な髪なのに…宇髄さんが見たら驚かれますよ」
「そうですね…きっと『短くてもど派手に似合ってる』とか言ってくれます」
2人でその光景を思い浮かべながら、ふふ、と笑いあっていた。そのうちに終わったようで、首から巻かれた布を取り払われる。
首に風の当たる感じがして、落ち着かない。頭も軽い気がする。
「どうですか?」
「こんなに短くしたの、もうずっと前だから…何か不思議な感じですね」
ありがとうございます、と言いながら立ち上がり、肩についた短い髪を落とす。
その後ろで、アオイさんは膝をつきながら髪の落ちた布をくるくるとまとめていた。
「片付けたら、改めて屋敷の案内と、薬と包帯の場所や処置以外の事も教えますね」
「はい!よろしくお願いします」
髪紐でなんとか結べるほどになった髪を結う。
気休めにしかならないけれど、もしこの祈りが届くなら、お父さんもお母さんも無事に帰ってきますように。
きよちゃんたちが着ているのと同じ物を案内前に渡され、それを着て蝶屋敷の中を回る。
途中で3人に会って、これからたまに手伝うよ、と言えば一様に喜んでくれた。
処置室、患者部屋、薬や包帯の予備の場所、あんまり重症の人はしのぶさんが直接診る事。
そして、正しい処置の仕方や場合によっての治療法まで教えてもらって、実際に治療に来た隊士を相手にすることになった。
「この方は切り傷と打撲です。使う物は?」
「この傷薬と包帯、あとはこの軟膏と布です」
「正解です、ではやってみてください」
教えられた通りの手順で進める。
私を見た事がない隊士は、不安そうにアオイさんを見ている。
元々応急処置は出来ていたから、特に滞りなく終える事が出来た。
予想に反してちゃんとしていると思ったのか、関心したように私を見るその人は、笑ってお礼を言ってくれた。
「ありがとう、蝶屋敷に新しく来たんですか?」
「いえ…ただのお手伝いです」
「そっか…怪我をした隊士はたくさん運ばれてくるから大変だろうけど、頑張ってくださいね」
それじゃ、と言って立ち上がった隊士さんは、次の任務があるからとすぐ出ていってしまった。
こうやって関わっていくしかないって、誇らしくもあるけど、とても辛い。アオイさんもきっと同じだろう。
「…さあ!次は何をしたら良いですか?」
暗い雰囲気にならないよう明るく喋りだすと、はっとして「次は…」と教えてくれる。
あの人ともまた会えますように、と小さく願いながらアオイさんの言う事を聞いた。
「はい、肩につくぐらいまでばっさりと!」
髪を切って欲しい、とアオイさんにお願いした。
アオイさんは器用だし手際も良い。人の髪を切った事はないらしいけど、仕上がりは期待出来ると思う。
「父が危険な仕事をしてると知った日から、ずっと伸ばしていたんです。願掛けみたいなものですかね…今が切る時だと思って」
目を瞑りながら、じゃき、じゃきと規則的な音を聞く。
切られた髪が下に落ちるのを感じ、そのまま祈るように息を止めた。
「せっかく綺麗な髪なのに…宇髄さんが見たら驚かれますよ」
「そうですね…きっと『短くてもど派手に似合ってる』とか言ってくれます」
2人でその光景を思い浮かべながら、ふふ、と笑いあっていた。そのうちに終わったようで、首から巻かれた布を取り払われる。
首に風の当たる感じがして、落ち着かない。頭も軽い気がする。
「どうですか?」
「こんなに短くしたの、もうずっと前だから…何か不思議な感じですね」
ありがとうございます、と言いながら立ち上がり、肩についた短い髪を落とす。
その後ろで、アオイさんは膝をつきながら髪の落ちた布をくるくるとまとめていた。
「片付けたら、改めて屋敷の案内と、薬と包帯の場所や処置以外の事も教えますね」
「はい!よろしくお願いします」
髪紐でなんとか結べるほどになった髪を結う。
気休めにしかならないけれど、もしこの祈りが届くなら、お父さんもお母さんも無事に帰ってきますように。
きよちゃんたちが着ているのと同じ物を案内前に渡され、それを着て蝶屋敷の中を回る。
途中で3人に会って、これからたまに手伝うよ、と言えば一様に喜んでくれた。
処置室、患者部屋、薬や包帯の予備の場所、あんまり重症の人はしのぶさんが直接診る事。
そして、正しい処置の仕方や場合によっての治療法まで教えてもらって、実際に治療に来た隊士を相手にすることになった。
「この方は切り傷と打撲です。使う物は?」
「この傷薬と包帯、あとはこの軟膏と布です」
「正解です、ではやってみてください」
教えられた通りの手順で進める。
私を見た事がない隊士は、不安そうにアオイさんを見ている。
元々応急処置は出来ていたから、特に滞りなく終える事が出来た。
予想に反してちゃんとしていると思ったのか、関心したように私を見るその人は、笑ってお礼を言ってくれた。
「ありがとう、蝶屋敷に新しく来たんですか?」
「いえ…ただのお手伝いです」
「そっか…怪我をした隊士はたくさん運ばれてくるから大変だろうけど、頑張ってくださいね」
それじゃ、と言って立ち上がった隊士さんは、次の任務があるからとすぐ出ていってしまった。
こうやって関わっていくしかないって、誇らしくもあるけど、とても辛い。アオイさんもきっと同じだろう。
「…さあ!次は何をしたら良いですか?」
暗い雰囲気にならないよう明るく喋りだすと、はっとして「次は…」と教えてくれる。
あの人ともまた会えますように、と小さく願いながらアオイさんの言う事を聞いた。