第八章 守る、守られる
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週に一度の事だけれど、行けば誰かが歓迎してくれて、暇を作って私と出かけてくれる。
カナヲちゃんは甘味処が好きみたいで、一緒に行くと品書きをきらきらした目で見ていた。
今度、何か甘味作りに挑戦しようと思う。
なほちゃんたちは小間物屋に興味があるようで、組紐を見つめていた。普段お世話になっているし高い物でもない、と3人お揃いの組紐を贈ると、3人とも足首に結んで嬉しそうにお礼を言ってくれた。
アオイさんとは昼餉の買い出しを一緒にした。
蝶屋敷で療養している隊士の人たちも食べるから、と色々考えて悩んでいた。アオイさんの料理は何でも美味しい。
何度も遊びに行く中で、柱の人たちとも出会う機会が多かった。
悲鳴嶼さんは炊き込みご飯、冨岡さんは鮭大根、不死川さんは相変わらずおはぎ、それに甘露寺さんからは蜂蜜まで頂いてしまった。
何故か会うたびに何か貰ってしまう事が多く、申し訳ないなぁと思うけど。
貰ったものは全部美味しくて、何をお礼しようかと考えると、押し込めていた寂しさが少し薄れるような気がしていた。
…しばらくそうして、お父さんにもお母さんにも会わない日が続いて。
文が届かなくなった時、きっと自分は耐えられないからやり取りはしない。
そう私が決めたはずなのに、寂しい。
読んでいた本を閉じて、溜息を吐く。
「…アキ」
私を呼ぶ声にはっとして振り向くと、襖に手をかけてこっちを見るお父さんが。
「おと、うさん…」
耐えきれず、駆け寄って抱き着く。
お父さんは何も言わずに、私の頭を撫でていてくれた。
…あれ。
「…お母さん、は?」
そう言って見上げると、お父さんは眉を寄せて唇を噛んでいた。
まさか、そんな。
「っ…私は、いいから、早く行って…!みんな約束した、絶対帰ってくるって!」
「…あぁ、わかってる。ちょっと顔が見たくなっただけだ、任せろ」
痛いぐらいぎゅっと私を抱き締めるお父さんの腕が、少し震えてるような気がして。
「またしばらく、寂しい想いをさせちまうな」
「いいの…帰ってきてくれたら…」
「…そうか」
よし、と呟いて、お父さんは体を離した。
私は不安を浮かべたまま、見つめるしか出来ない。なんて無力なんだ、何も出来ない、いっその事あの時…。
「こら、また変な事考えて…待っててくれるんだろ?俺らを」
口をきゅっと結んで、涙を堪える。そのまま静かに頷いた。
それを見て、もう一度私の頭を撫でると「ありがとな」と言って消えるように行ってしまう。
「…どうか、無事で。みんなとまた笑えますように」
外の太陽を見上げて、静かに祈った。
カナヲちゃんは甘味処が好きみたいで、一緒に行くと品書きをきらきらした目で見ていた。
今度、何か甘味作りに挑戦しようと思う。
なほちゃんたちは小間物屋に興味があるようで、組紐を見つめていた。普段お世話になっているし高い物でもない、と3人お揃いの組紐を贈ると、3人とも足首に結んで嬉しそうにお礼を言ってくれた。
アオイさんとは昼餉の買い出しを一緒にした。
蝶屋敷で療養している隊士の人たちも食べるから、と色々考えて悩んでいた。アオイさんの料理は何でも美味しい。
何度も遊びに行く中で、柱の人たちとも出会う機会が多かった。
悲鳴嶼さんは炊き込みご飯、冨岡さんは鮭大根、不死川さんは相変わらずおはぎ、それに甘露寺さんからは蜂蜜まで頂いてしまった。
何故か会うたびに何か貰ってしまう事が多く、申し訳ないなぁと思うけど。
貰ったものは全部美味しくて、何をお礼しようかと考えると、押し込めていた寂しさが少し薄れるような気がしていた。
…しばらくそうして、お父さんにもお母さんにも会わない日が続いて。
文が届かなくなった時、きっと自分は耐えられないからやり取りはしない。
そう私が決めたはずなのに、寂しい。
読んでいた本を閉じて、溜息を吐く。
「…アキ」
私を呼ぶ声にはっとして振り向くと、襖に手をかけてこっちを見るお父さんが。
「おと、うさん…」
耐えきれず、駆け寄って抱き着く。
お父さんは何も言わずに、私の頭を撫でていてくれた。
…あれ。
「…お母さん、は?」
そう言って見上げると、お父さんは眉を寄せて唇を噛んでいた。
まさか、そんな。
「っ…私は、いいから、早く行って…!みんな約束した、絶対帰ってくるって!」
「…あぁ、わかってる。ちょっと顔が見たくなっただけだ、任せろ」
痛いぐらいぎゅっと私を抱き締めるお父さんの腕が、少し震えてるような気がして。
「またしばらく、寂しい想いをさせちまうな」
「いいの…帰ってきてくれたら…」
「…そうか」
よし、と呟いて、お父さんは体を離した。
私は不安を浮かべたまま、見つめるしか出来ない。なんて無力なんだ、何も出来ない、いっその事あの時…。
「こら、また変な事考えて…待っててくれるんだろ?俺らを」
口をきゅっと結んで、涙を堪える。そのまま静かに頷いた。
それを見て、もう一度私の頭を撫でると「ありがとな」と言って消えるように行ってしまう。
「…どうか、無事で。みんなとまた笑えますように」
外の太陽を見上げて、静かに祈った。