第八章 守る、守られる
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朝早くに起きて、まずはお米を炊いた。
おむすびを作って食べながら行こう。そうすれば、長い時間お話出来るよね。本当は行儀良くないけど…。
残ったご飯は後でお煎餅にしよう、と考えながら、おむすびを二つ握る。
その後は、昨日決めた着物を着るだけ。
白地に藍色の籠目柄の着物に、黒い帯を締めて、腰まである髪は緩く結んで、手前に持ってきた。
手首に香油を少量擦り付けると、金木犀の香りがふわっと漂ってくる。
「よし!準備できた!」
巾着とおむすびを持って、玄関の戸を開けた。
足を止めて、振り返る。しんと物音のしない家の中に向かって「いってきます」と呟いた。
「おはようございまーす!」
すぱーん!と音が鳴るほど勢い良く玄関の戸を開けた。誰か来るかな、と待っていると、ぱたぱたと近付いてくる足音が聞こえてくる。
「アキさん!そんな勢い良く大きな声で入ってこなくても聞こえますから!」
怒りながら姿を見せるアオイさんに、初めて蝶屋敷に来た時のしのぶさんが重なる。
ふふっと笑うと、アオイさんは訝しげな目を私に向けた。
「アオイさん、しのぶさんに似てきてますね」
「…そんなわけないじゃないですか!行きますよ!」
はーい、と返事をしてアオイさんの後ろをついていく。その背中は、少しだけ嬉しそうに見えた。
ついていった先では、みんなが縁側でお茶を囲んでいた。
「アキさん!おはようございます!」
「今日はいらっしゃるのがお早いですね!」
「着物とっても似合ってます!」
3人に囲まれながら、おはよう、ありがとう、と返事をしてカナヲちゃんの隣に腰を下ろす。
「おはよう、カナヲちゃん」
「…おはよう」
微笑むその顔を見て、なんだか安心する。
アオイさんになほちゃんたちは、洗濯や掃除があると言ってすぐ行ってしまった。
久しぶりに、カナヲちゃんと2人きりになる。この沈黙が心地良い気がして、お茶を啜ってフーっと息を吐いた。
「アキ、もう来てたんですね」
振り返ると、しのぶさんが笑いながら私たちを見下ろしていた。
綺麗な紫色の目に、しっかり私が映っている。
「おはようございます、しのぶさん。心配かけちゃったみたいですみません…」
「いえ、いいんですよ。宇髄さんからも『胡蝶にはよく懐いてるから気にしてやってくれ』って言われていたんです」
「お父さん、が…」
いつでも私の事を考えてくれて…。
でも懐いてるって犬じゃないんだから…合ってるけどさ…!
「優しい人にばっかり囲まれて、平和惚けしちゃいそう…」
「あら、いい事じゃないですか」
ゆっくりしていってくださいね、と言って、しのぶさんは診察室のほうへ歩いていってしまった。
私の様子を見に来てくれたのかな。
「…カナヲちゃん!忙しくなかったら後でお出かけしよう!」
「…!」
こくこくと頷くカナヲちゃんを、可愛いなぁと思いながら見つめていた。
おむすびを作って食べながら行こう。そうすれば、長い時間お話出来るよね。本当は行儀良くないけど…。
残ったご飯は後でお煎餅にしよう、と考えながら、おむすびを二つ握る。
その後は、昨日決めた着物を着るだけ。
白地に藍色の籠目柄の着物に、黒い帯を締めて、腰まである髪は緩く結んで、手前に持ってきた。
手首に香油を少量擦り付けると、金木犀の香りがふわっと漂ってくる。
「よし!準備できた!」
巾着とおむすびを持って、玄関の戸を開けた。
足を止めて、振り返る。しんと物音のしない家の中に向かって「いってきます」と呟いた。
「おはようございまーす!」
すぱーん!と音が鳴るほど勢い良く玄関の戸を開けた。誰か来るかな、と待っていると、ぱたぱたと近付いてくる足音が聞こえてくる。
「アキさん!そんな勢い良く大きな声で入ってこなくても聞こえますから!」
怒りながら姿を見せるアオイさんに、初めて蝶屋敷に来た時のしのぶさんが重なる。
ふふっと笑うと、アオイさんは訝しげな目を私に向けた。
「アオイさん、しのぶさんに似てきてますね」
「…そんなわけないじゃないですか!行きますよ!」
はーい、と返事をしてアオイさんの後ろをついていく。その背中は、少しだけ嬉しそうに見えた。
ついていった先では、みんなが縁側でお茶を囲んでいた。
「アキさん!おはようございます!」
「今日はいらっしゃるのがお早いですね!」
「着物とっても似合ってます!」
3人に囲まれながら、おはよう、ありがとう、と返事をしてカナヲちゃんの隣に腰を下ろす。
「おはよう、カナヲちゃん」
「…おはよう」
微笑むその顔を見て、なんだか安心する。
アオイさんになほちゃんたちは、洗濯や掃除があると言ってすぐ行ってしまった。
久しぶりに、カナヲちゃんと2人きりになる。この沈黙が心地良い気がして、お茶を啜ってフーっと息を吐いた。
「アキ、もう来てたんですね」
振り返ると、しのぶさんが笑いながら私たちを見下ろしていた。
綺麗な紫色の目に、しっかり私が映っている。
「おはようございます、しのぶさん。心配かけちゃったみたいですみません…」
「いえ、いいんですよ。宇髄さんからも『胡蝶にはよく懐いてるから気にしてやってくれ』って言われていたんです」
「お父さん、が…」
いつでも私の事を考えてくれて…。
でも懐いてるって犬じゃないんだから…合ってるけどさ…!
「優しい人にばっかり囲まれて、平和惚けしちゃいそう…」
「あら、いい事じゃないですか」
ゆっくりしていってくださいね、と言って、しのぶさんは診察室のほうへ歩いていってしまった。
私の様子を見に来てくれたのかな。
「…カナヲちゃん!忙しくなかったら後でお出かけしよう!」
「…!」
こくこくと頷くカナヲちゃんを、可愛いなぁと思いながら見つめていた。