第八章 守る、守られる
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随分と束ねやすくなってしまった髪を結び、袖が邪魔にならないようたすきがけをする。
そして、今日の昼餉と夕餉に食べるための煮物を作る。ごろごろと切った野菜はしっかり面取りして、煮崩れしないように。
きりの良い所で切り上げて火から離し、囲炉裏に引っ掛けておく。
まだ日は真上まで来ていないし…お茶でも飲もう。
1人分のお茶や食事を用意するのももう慣れたものだ。慣れたくはないけど…。
生きている、帰ってくると分かった日からもう十日が経つ。
重症と言っていたし、いくら回復が早くても一月 は帰ってこないかもしれない。
……あぁ、寂しい。
「お茶…飲んだら何しよう…」
何か気を紛らわせる事が出来るもの…。
甘味も色々作ってしまったし、毎回蝶屋敷に届けてもらうのも申し訳ないし…。
ご飯を食べたら散歩でもしようか。
燃える薪をぼーっと見つめながら、お湯が沸くのを待っていた時。
「おーい、帰ったぞ」
寂しすぎて幻聴が聞こえてるみたいだ。
まさかこんなに早く帰ってくるわけが…。
「よぉアキ、久しぶりだな」
「…え?」
幻聴じゃない。声の方には、お父さんがいた。
その後ろから、雛鶴さん、まきをさん、須磨さんと順に出てきて口々に「ただいま」と言っている。
帰って、きた…?
みんな、みんな…生きてる…?
ふらふらと体が動き、雛鶴さんの前に立って手を握る。じんわりと温かい。
今度はまきをさんの前に立って、手首を掴む。ちゃんと動いてる。
次は須磨さんに近付き、首の付け根あたりに手を置く。まきをさんと同じく、確かに脈を感じる。
…最後に、お父さんの前に立つ。
左手がない、左目には眼帯。きっと戦いの際に…。
黒い羽織の上から、ぎゅっと抱き着く。
どうした?と戸惑うようなみんなの声を聞きながら、お父さんの着物に顔を埋めた。
とく、と微かに鼓動を感じる。
だんだんと伝わってくる体温は、確かに生きているとちゃんと教えてくれる。
じわっと涙が溢れそうになるけど、耐えないと。
笑って、ちゃんとおかえりって、言わないと。
唇を軽く噛んで、息を整えた。
大丈夫、言える。
お父さんから離れて、しっかり顔を見上げてから。
「おかえりなさい、お父さん、お母さん」
そして、今日の昼餉と夕餉に食べるための煮物を作る。ごろごろと切った野菜はしっかり面取りして、煮崩れしないように。
きりの良い所で切り上げて火から離し、囲炉裏に引っ掛けておく。
まだ日は真上まで来ていないし…お茶でも飲もう。
1人分のお茶や食事を用意するのももう慣れたものだ。慣れたくはないけど…。
生きている、帰ってくると分かった日からもう十日が経つ。
重症と言っていたし、いくら回復が早くても
……あぁ、寂しい。
「お茶…飲んだら何しよう…」
何か気を紛らわせる事が出来るもの…。
甘味も色々作ってしまったし、毎回蝶屋敷に届けてもらうのも申し訳ないし…。
ご飯を食べたら散歩でもしようか。
燃える薪をぼーっと見つめながら、お湯が沸くのを待っていた時。
「おーい、帰ったぞ」
寂しすぎて幻聴が聞こえてるみたいだ。
まさかこんなに早く帰ってくるわけが…。
「よぉアキ、久しぶりだな」
「…え?」
幻聴じゃない。声の方には、お父さんがいた。
その後ろから、雛鶴さん、まきをさん、須磨さんと順に出てきて口々に「ただいま」と言っている。
帰って、きた…?
みんな、みんな…生きてる…?
ふらふらと体が動き、雛鶴さんの前に立って手を握る。じんわりと温かい。
今度はまきをさんの前に立って、手首を掴む。ちゃんと動いてる。
次は須磨さんに近付き、首の付け根あたりに手を置く。まきをさんと同じく、確かに脈を感じる。
…最後に、お父さんの前に立つ。
左手がない、左目には眼帯。きっと戦いの際に…。
黒い羽織の上から、ぎゅっと抱き着く。
どうした?と戸惑うようなみんなの声を聞きながら、お父さんの着物に顔を埋めた。
とく、と微かに鼓動を感じる。
だんだんと伝わってくる体温は、確かに生きているとちゃんと教えてくれる。
じわっと涙が溢れそうになるけど、耐えないと。
笑って、ちゃんとおかえりって、言わないと。
唇を軽く噛んで、息を整えた。
大丈夫、言える。
お父さんから離れて、しっかり顔を見上げてから。
「おかえりなさい、お父さん、お母さん」