第八章 守る、守られる
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屋敷に帰った次の日だった。
休めと言われたけれど、とりあえず洗濯でも…と、盥 と洗濯板を用意していた時。
「上弦ノ陸撃破ァ!重傷者多数!蝶屋敷ニテ治療中!」
すごい勢いで飛んできた虹丸くんは、塀の縁に止まって叫ぶ。そこに死亡者の言葉と名前はない。
みんな無事だ、大丈夫だ、と言うような力強い声に、思わず涙が出てしまう。
「みんな、生きてるんだ…良かった…!」
塀のそばでへたり込んで、拭う事もせずただ泣いた。
まだ本調子じゃないせいか、少しくらくらと視界が動いている気がする。
虹丸くんは、きっと忙しいのに私が泣き止むのをじっと待っていてくれた。
「…私はここで待ってる。会いたい、すごく会いたいけど、おかえりって言いたいから」
何とか涙を止めて、虹丸くんを見上げる。
彼は何も言わずにしばらく私と目を合わせ、静かに飛んでいった。
それを見送って、自分の右の掌を見た。
あの時、短刀を握って出来た傷。結局は消えなかったこの傷も、肩に残っている傷跡も、もう懐かしいと思える。
4人に、私は笑って『おかえり』と言えるだろうか。
どうにも気が昂って、泣いてしまいそうだ。
「…そうだ、洗濯」
やろうとしていた事を思い出して、ようやく動き出す。
明日は確か隠の人が来るはず…文を書いて持っていってもらおう。
今日は洗濯をして、その次は…。
会いたい、という気持ちを抑えるため、その日私は手を休めることなく屋敷の中を歩き回っていた。
休めと言われたけれど、とりあえず洗濯でも…と、
「上弦ノ陸撃破ァ!重傷者多数!蝶屋敷ニテ治療中!」
すごい勢いで飛んできた虹丸くんは、塀の縁に止まって叫ぶ。そこに死亡者の言葉と名前はない。
みんな無事だ、大丈夫だ、と言うような力強い声に、思わず涙が出てしまう。
「みんな、生きてるんだ…良かった…!」
塀のそばでへたり込んで、拭う事もせずただ泣いた。
まだ本調子じゃないせいか、少しくらくらと視界が動いている気がする。
虹丸くんは、きっと忙しいのに私が泣き止むのをじっと待っていてくれた。
「…私はここで待ってる。会いたい、すごく会いたいけど、おかえりって言いたいから」
何とか涙を止めて、虹丸くんを見上げる。
彼は何も言わずにしばらく私と目を合わせ、静かに飛んでいった。
それを見送って、自分の右の掌を見た。
あの時、短刀を握って出来た傷。結局は消えなかったこの傷も、肩に残っている傷跡も、もう懐かしいと思える。
4人に、私は笑って『おかえり』と言えるだろうか。
どうにも気が昂って、泣いてしまいそうだ。
「…そうだ、洗濯」
やろうとしていた事を思い出して、ようやく動き出す。
明日は確か隠の人が来るはず…文を書いて持っていってもらおう。
今日は洗濯をして、その次は…。
会いたい、という気持ちを抑えるため、その日私は手を休めることなく屋敷の中を歩き回っていた。