第八章 守る、守られる
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1人でご飯を食べる、洗濯をする、掃除をする、寝る。
十日ほどそういう生活をして、ようやく慣れてきたかという頃。
そういえば、蝶屋敷に行ってないな…と考えていると、烏が一羽、縁側に座る私の横に降りてきた。
この子は…しのぶさんの烏かな?
「こんにちは、どうしたの?」
喉を鳴らしながら近寄ってくる烏は、こつこつと自分の足をつついていた。文が結ばれている。
受け取って中を見ると、それはしのぶさんからのものだった。
『変わりはありませんか?今週、まだ来ていないとみんなが心配していました。カナヲも寂しそうにしています、思いつめる前に遊びにいらっしゃい 胡蝶しのぶ』
「…ありがとう、届けてくれて」
当然よ、というように目を細めて首を上げる烏に、可愛らしいなぁと口角が上がる。
「お返事、書くね」
部屋に戻って、『ありがとうございます、早速明日お邪魔しようと思います』と短くまとめ、結びやすいよう折りたたんだ。
「あぁそうだ、確かこの前買ったあれがあったはず…」
炊事場に寄って、枇杷(びわ)をいくつか風呂敷に包んだ。
文と風呂敷を持って縁側に戻ると、しのぶさんの烏は大人しく日向ぼっこをしていたようだ。
「お待たせ、ごめんね遅くなっちゃって」
足に文を結び、風呂敷を前に置いた。何だこれは、という視線を私に向て首を傾げている。
「中身は枇杷だよ。艶ちゃんだっけ?文を運んでくれてるお礼に一つどうぞ!あとは蝶屋敷のみんなで食べてって言っておいてほしいな」
お願いできる?と言うと、嬉しそうにカァと大きく鳴いて、私の肩に飛び乗ってきた。
頭をすりすりと頬に擦り付けてきて、くすぐったい。
「喜んで貰えて良かった、じゃあよろしくお願いします!」
もう一度鳴いて、艶ちゃんは風呂敷を掴み飛んでいった。
「明日は少しお洒落して行こうかな」
久しぶりに少しだけ、わくわくして夜を過ごした。
「カァ!アキカラ返事!オ土産!」
窓から入ってきた艶は、足に紙を結わえ、更に風呂敷包みを持って帰ってきた。
「ありがとう」
まずは紙を外して広げる。いつもはもう少し何か書いているのに、淡々とした短い文なのは、やっぱり気が滅入っているんだろう。
「その風呂敷は?」
「枇杷!オ土産!」
アキが持たせたのか…気の遣える子だ。
風呂敷を広げると、橙色の熟れた枇杷がころころと入っていた。
艶はその中の一つをくわえると、外に出ていってしまった。
普段そんな事をしない子だから…アキが一つ食べてと言ったのかもしれない。
「本当、良い子ですね」
良い子すぎて心配になるわ。
そう思いながら、明日はアキが来ると蝶屋敷のみんなに伝えるため部屋を出た。
十日ほどそういう生活をして、ようやく慣れてきたかという頃。
そういえば、蝶屋敷に行ってないな…と考えていると、烏が一羽、縁側に座る私の横に降りてきた。
この子は…しのぶさんの烏かな?
「こんにちは、どうしたの?」
喉を鳴らしながら近寄ってくる烏は、こつこつと自分の足をつついていた。文が結ばれている。
受け取って中を見ると、それはしのぶさんからのものだった。
『変わりはありませんか?今週、まだ来ていないとみんなが心配していました。カナヲも寂しそうにしています、思いつめる前に遊びにいらっしゃい 胡蝶しのぶ』
「…ありがとう、届けてくれて」
当然よ、というように目を細めて首を上げる烏に、可愛らしいなぁと口角が上がる。
「お返事、書くね」
部屋に戻って、『ありがとうございます、早速明日お邪魔しようと思います』と短くまとめ、結びやすいよう折りたたんだ。
「あぁそうだ、確かこの前買ったあれがあったはず…」
炊事場に寄って、枇杷(びわ)をいくつか風呂敷に包んだ。
文と風呂敷を持って縁側に戻ると、しのぶさんの烏は大人しく日向ぼっこをしていたようだ。
「お待たせ、ごめんね遅くなっちゃって」
足に文を結び、風呂敷を前に置いた。何だこれは、という視線を私に向て首を傾げている。
「中身は枇杷だよ。艶ちゃんだっけ?文を運んでくれてるお礼に一つどうぞ!あとは蝶屋敷のみんなで食べてって言っておいてほしいな」
お願いできる?と言うと、嬉しそうにカァと大きく鳴いて、私の肩に飛び乗ってきた。
頭をすりすりと頬に擦り付けてきて、くすぐったい。
「喜んで貰えて良かった、じゃあよろしくお願いします!」
もう一度鳴いて、艶ちゃんは風呂敷を掴み飛んでいった。
「明日は少しお洒落して行こうかな」
久しぶりに少しだけ、わくわくして夜を過ごした。
「カァ!アキカラ返事!オ土産!」
窓から入ってきた艶は、足に紙を結わえ、更に風呂敷包みを持って帰ってきた。
「ありがとう」
まずは紙を外して広げる。いつもはもう少し何か書いているのに、淡々とした短い文なのは、やっぱり気が滅入っているんだろう。
「その風呂敷は?」
「枇杷!オ土産!」
アキが持たせたのか…気の遣える子だ。
風呂敷を広げると、橙色の熟れた枇杷がころころと入っていた。
艶はその中の一つをくわえると、外に出ていってしまった。
普段そんな事をしない子だから…アキが一つ食べてと言ったのかもしれない。
「本当、良い子ですね」
良い子すぎて心配になるわ。
そう思いながら、明日はアキが来ると蝶屋敷のみんなに伝えるため部屋を出た。