動き出す
第7話 対話
街の広場に着くと朱朱様御一行は既にいらっしゃっていた。
「朱朱様!」
「あっ、お二人共、おはようございます。」
それぞれ挨拶を交わしたところで、ヘルシンキ行きの船が出ているストックホルムまで、汽車とバスを乗り継いでいく。
道中ののどかな風景や街並みを見ながら、私は朱朱様やそのフェデーレの方々とお話をした。
「えっ、朱朱様って13歳なんですか!?」
ざわざわと騒がしい汽車の中で私は大きな声を出して驚いてしまった。大人っぽい見た目でありながら、身長が小さいことから自分より若いと考えていたが、まさかの13歳という若さに驚いた。とてもしっかりしているので、信じられないと言った感じだ。
それから香扇さんとやはり年齢が近いことが分かると、話も弾み、ストックホルムが近くなる頃には、「ゼルちゃん」「香扇ちゃん」と呼び合う仲になり、ハイデンも朱朱様とデュー同士での話で盛り上がっていたようだ。それをニコライさんとローランさんが微笑ましく見守ってくれていて、とても和む時間を過ごすことができた。私は初めてのディアボロと戦った時にアフロディーテ様のフェデーレの人に声を掛けたが、あの子はあの子で人を寄せ付けないようなオーラを出していたし、アルテミス様の孤児院ではフェデーレとして契約すると孤児院を出て行くことになるので、フェデーレになった感想だとか経験談を聞くことは出来なかった。
それに孤児院での私たち子供たちのお世話は基本的にフェデーレでもなんでも無い、普通の人間の大人がしてくれていた。でもある程度成長してきたらフェデーレとして生きていけるように情報収集の仕方だとか、戦いの際の身のこなし方など、アルテミス様が指導してくれることもあった。でも一度もアルテミス様のフェデーレに出会ったことがなかった。
噂ではお世話してくれていた大人の中にフェデーレが紛れているという話を聞いたことはあったが、確かめる勇気がなかった。
そんなこんなで、私はフェデーレの友達を作ったことがなく、交流するのもほぼ初めて。だからか、香扇ちゃんと最初話していた時は緊張していたが、ジアモット市長への話し合いの帰り道で朱朱様を思って心配していた香扇ちゃんを見て、そして汽車やバスの中での会話ですっかり打ち解けた。
香扇ちゃんの故郷の話や朱朱様との出会いを聞いているとあっという間にストックホルムに着いた。
ここからは船旅となる。
あらかじめオーディン様からの手紙にヘルシンキ行きの船のチケットまで同封されていたので、用意周到というべきか、準備の良すぎるオーディン様に感服した。
「では私たちの分の船のチケットを取ってきますね。」
「私は軽食を買ってきますね。」
手際良くニコライさんが朱朱様たちの分の船のチケットを港近くの窓口で買ってくることになり、その時間で香扇ちゃんが手早くご飯を買ってきてくれることになった。
残された私とハイデン、朱朱様とローランさんは船の停留所近くのベンチに腰掛けた。
「そう言えば、ローランさんに聞きたかったんです、"絆の技"ってどのくらいデューとの信頼関係が築ければ扱えるようになるんですか?」
「そうですねぇ…、ハイデン様とゼルチアーノさんには“絆の技"の片鱗が見えていましたよ。」
「えっ!?」
"ふむ"と考え込んだローランさんはその後ケロッとした顔で驚くべきことを言った。
「わ、私たちついこの間契約したばかりなのに…!?」
「"絆の技"の前にフェデーレの輝石が及ぼす力をお教えしますね。ゼルチアーノさんは輝石というものがどういうものかご存知ですか?」
「あ、はい…。輝石はフェデーレの核となる、石のことですよね。私の体にも輝石があります。それを破壊されるとほぼ不死のフェデーレにも命の危険があると…。」
「アルテミス様の孤児院でちゃんと教えてもらっていたようですね、その通りです。ですが、輝石にはまだ秘められた力があります。それがデューと契約した後にデューの身体能力の向上や不思議な力を扱えることにあります。」
「身体能力の向上…。」
「特異体質というべきでしょうか。常人では扱えない力が扱えるようになるということです。それがフェデーレと契約したデューが受ける、"輝石の恩恵"です。ハイデン様、ゼルチアーノさんと契約してから心当たりは?」
「私はフェデーレと契約する前から体を鍛えていたからそれなりの身体能力はありましたが、ゼルチアーノと契約してからは、武器での攻撃の際、スピードとパワーが上がったと思っています。」
「あっ…!」
ローランさんの説明でハイデンが少し思案してから発言すると私もその言葉に心当たりがあった。アルテミス様の孤児院での初戦闘の時も、ついこの間の朱朱様との連携戦闘の時も、ハイデンの攻撃には常人離れしたレイピアでの突き技のスピードとパワーがあった。一瞬で距離を詰めることに関しては、あれが"輝石の恩恵"というものなのだろう。
「ハイデン様のそのスピードとパワーこそ、"輝石の恩恵"。"絆の技"の片鱗です。そこから派生したものこそ、デューとフェデーレの"絆の技"に繋がります。普段からデューとフェデーレが一緒に過ごしたり戦ったりすることで信頼関係が深まり、"絆の技"が使えます。使えるタイミングや感覚はそのフェデーレとデューによって異なります。」
そこまで話すとローランさんはチラッと朱朱様を見て、申し訳なさそうに眉をハの字にして話した。
「私と朱朱様の場合、まだフェデーレとして契約したばかりで、"輝石の恩恵"である、炎の揺らめきを扱えるようになって、そこからは朱朱様がどうしてもという時にご自身のデューとしての力を使って炎へ姿を変えて移動を可能にしました。ですが、これは朱朱様の力を大きく消耗してしまいます。私がまだ朱朱様との信頼関係を築けていないことが理由です。誰しも命を預けるような信頼関係を簡単に築ける訳ではありませんが…、私は朱朱様が無理をなさる姿は見たくなくて…。」
最後のローランさんの言葉は港の風の音で掻き消されそうだった。人が信頼するまで個人差はあるものの、言葉もなく信頼関係は築けない。壁を作っている意識はなくとも、人に自分の全てを打ち明けるのには抵抗がある。それが朱朱様とローランさんの"絆の技"が未完成である理由だ。
"絆の技"がそう簡単に発動できるものではないと分かったが、ベンチの空気は重くなってしまった。それを晴らすように朱朱様は空を見上げながら口を開いた。
「ローランはまだ私に話していないことがあります。私だってあります。全てを知る、話すには時間がかかります。無理に話す時間を取るのではなく日常を過ごし、一緒にいる時間を増やすことで自ずと知れるのです。ローランからの"輝石の恩恵"に縋って自分を蔑ろにして、力を無理に使うことで命を削ってしまうのは、私がまだ未熟だからです。13という年齢の若さから体の発達が中途半端ですし、ハイデン様のように身体能力もまだまだで…。自信の無さが自分の命を削ることになっているのです。私はローランやニコライ、香扇の力を最大限活かせるようなデューになるため、旅をしながら日々鍛錬をしております。そしてみんなと対話しています。それが四神朱雀の名前を与えられたデューである、私の使命です。」
誓いを立てるように太陽を見上げて語った朱朱様はとても強く、自信の無さなど感じないような立派なデューだと感じ取れた。
「(無理に話す時間は取らない…一緒に過ごすことで自ずと知れる…)」
朱朱様の言葉を自分の心の中で反芻し、"絆の技"がいくら強力だとは言え、それに頼ってはダメだと改めて思った。
「私もオーディン様に報告に行くことが目的ですが、この道中の会話にも信頼関係が築けるチャンスがあると思います!でも、焦っても良くないってことは分かりました。ゆっくり自分たちのペースで無理せずってことですよね。朱朱様も生き急いではなりませんよ?」
「ふふっ、分かっています。これからはローランとの"絆の技"を完全に発動できるタイミングまではあの技は使いません。」
「言質取りましたからね。」
「ニコライ!?」
朱朱様は慌てていたが、私は朱朱様に"生き急いでは"のところで既にチケットを持って戻ってきたニコライさんの存在に気付いていたので、ちょっとニコライさんを安心させるために誘導させてもらった。
みんなでクスクス笑っているところに両手に、ストックホルムの名物料理のグッブローラというアンチョビと卵のサラダとピッティパンナというジャガイモ、肉、玉ねぎの家庭的な炒め料理をケータリングしてきた香扇ちゃんが合流し、船の出発時間までにみんなでペロリと完食した。
軽食を食べてから少し海を眺めた後、船の乗船時刻となり、チケットの確認も済ませ、船に乗り込むと大型都市に向かうからか人も多く、結構豪華な船だった。
船での旅は案外長く、夕方の時間に出発し、翌日の朝に着くスケジュールだ。
豪華客船の中にはレストランもあるし、部屋も豪華だった。朱朱様たちとの部屋は離れてしまったが、食事の際は一緒になれるだろうと思い、船の展望デッキから夕日を眺めた後は、夕食の時間になるまでそれぞれの部屋で時間を潰すこととなった。
だが、船での旅も最後まで安全であるかどうかは分からない。常駐のデューとフェデーレがいるというアナウンスは聞いたが、ハイデンも私も船旅を楽しみつつも、警戒は怠らなかった。
夕食のレストランの営業時間になり、港で食べたのは軽食だったので、あっという間にお腹が減り、私たちはレストランに向かった。
既に船の乗客で賑わっていたレストランでは朱朱様の髪色は見つけやすかった。朱朱様たちに挨拶をして隣のテーブルが運良く空いていたので、そこに座り、直ぐにメニューを持ってきてくれたウェイターからメニューを受け取って美味しそうなスウェーデンとヘルシンキの名物料理をお腹いっぱい食べてその日は客室に戻った。
私とハイデンは軽くシャワーを浴びて、簡易ベッドに横になった。
朝には着くが、夜中のディアボロの襲撃に備え、私たちは寝巻きではなく、いつもの服のまま就寝した。ベッドに入ってからもハイデンと話をした。
何気ない話だ。レストランで食べたあの料理が美味しかったとか、夕日が綺麗だったとか。そういう話を共有できてることも信頼関係に繋がってくるんじゃないかと思って、私たちはどちらからともなく寝息を立ててしまうまで、お喋りを楽しんだのだった。
街の広場に着くと朱朱様御一行は既にいらっしゃっていた。
「朱朱様!」
「あっ、お二人共、おはようございます。」
それぞれ挨拶を交わしたところで、ヘルシンキ行きの船が出ているストックホルムまで、汽車とバスを乗り継いでいく。
道中ののどかな風景や街並みを見ながら、私は朱朱様やそのフェデーレの方々とお話をした。
「えっ、朱朱様って13歳なんですか!?」
ざわざわと騒がしい汽車の中で私は大きな声を出して驚いてしまった。大人っぽい見た目でありながら、身長が小さいことから自分より若いと考えていたが、まさかの13歳という若さに驚いた。とてもしっかりしているので、信じられないと言った感じだ。
それから香扇さんとやはり年齢が近いことが分かると、話も弾み、ストックホルムが近くなる頃には、「ゼルちゃん」「香扇ちゃん」と呼び合う仲になり、ハイデンも朱朱様とデュー同士での話で盛り上がっていたようだ。それをニコライさんとローランさんが微笑ましく見守ってくれていて、とても和む時間を過ごすことができた。私は初めてのディアボロと戦った時にアフロディーテ様のフェデーレの人に声を掛けたが、あの子はあの子で人を寄せ付けないようなオーラを出していたし、アルテミス様の孤児院ではフェデーレとして契約すると孤児院を出て行くことになるので、フェデーレになった感想だとか経験談を聞くことは出来なかった。
それに孤児院での私たち子供たちのお世話は基本的にフェデーレでもなんでも無い、普通の人間の大人がしてくれていた。でもある程度成長してきたらフェデーレとして生きていけるように情報収集の仕方だとか、戦いの際の身のこなし方など、アルテミス様が指導してくれることもあった。でも一度もアルテミス様のフェデーレに出会ったことがなかった。
噂ではお世話してくれていた大人の中にフェデーレが紛れているという話を聞いたことはあったが、確かめる勇気がなかった。
そんなこんなで、私はフェデーレの友達を作ったことがなく、交流するのもほぼ初めて。だからか、香扇ちゃんと最初話していた時は緊張していたが、ジアモット市長への話し合いの帰り道で朱朱様を思って心配していた香扇ちゃんを見て、そして汽車やバスの中での会話ですっかり打ち解けた。
香扇ちゃんの故郷の話や朱朱様との出会いを聞いているとあっという間にストックホルムに着いた。
ここからは船旅となる。
あらかじめオーディン様からの手紙にヘルシンキ行きの船のチケットまで同封されていたので、用意周到というべきか、準備の良すぎるオーディン様に感服した。
「では私たちの分の船のチケットを取ってきますね。」
「私は軽食を買ってきますね。」
手際良くニコライさんが朱朱様たちの分の船のチケットを港近くの窓口で買ってくることになり、その時間で香扇ちゃんが手早くご飯を買ってきてくれることになった。
残された私とハイデン、朱朱様とローランさんは船の停留所近くのベンチに腰掛けた。
「そう言えば、ローランさんに聞きたかったんです、"絆の技"ってどのくらいデューとの信頼関係が築ければ扱えるようになるんですか?」
「そうですねぇ…、ハイデン様とゼルチアーノさんには“絆の技"の片鱗が見えていましたよ。」
「えっ!?」
"ふむ"と考え込んだローランさんはその後ケロッとした顔で驚くべきことを言った。
「わ、私たちついこの間契約したばかりなのに…!?」
「"絆の技"の前にフェデーレの輝石が及ぼす力をお教えしますね。ゼルチアーノさんは輝石というものがどういうものかご存知ですか?」
「あ、はい…。輝石はフェデーレの核となる、石のことですよね。私の体にも輝石があります。それを破壊されるとほぼ不死のフェデーレにも命の危険があると…。」
「アルテミス様の孤児院でちゃんと教えてもらっていたようですね、その通りです。ですが、輝石にはまだ秘められた力があります。それがデューと契約した後にデューの身体能力の向上や不思議な力を扱えることにあります。」
「身体能力の向上…。」
「特異体質というべきでしょうか。常人では扱えない力が扱えるようになるということです。それがフェデーレと契約したデューが受ける、"輝石の恩恵"です。ハイデン様、ゼルチアーノさんと契約してから心当たりは?」
「私はフェデーレと契約する前から体を鍛えていたからそれなりの身体能力はありましたが、ゼルチアーノと契約してからは、武器での攻撃の際、スピードとパワーが上がったと思っています。」
「あっ…!」
ローランさんの説明でハイデンが少し思案してから発言すると私もその言葉に心当たりがあった。アルテミス様の孤児院での初戦闘の時も、ついこの間の朱朱様との連携戦闘の時も、ハイデンの攻撃には常人離れしたレイピアでの突き技のスピードとパワーがあった。一瞬で距離を詰めることに関しては、あれが"輝石の恩恵"というものなのだろう。
「ハイデン様のそのスピードとパワーこそ、"輝石の恩恵"。"絆の技"の片鱗です。そこから派生したものこそ、デューとフェデーレの"絆の技"に繋がります。普段からデューとフェデーレが一緒に過ごしたり戦ったりすることで信頼関係が深まり、"絆の技"が使えます。使えるタイミングや感覚はそのフェデーレとデューによって異なります。」
そこまで話すとローランさんはチラッと朱朱様を見て、申し訳なさそうに眉をハの字にして話した。
「私と朱朱様の場合、まだフェデーレとして契約したばかりで、"輝石の恩恵"である、炎の揺らめきを扱えるようになって、そこからは朱朱様がどうしてもという時にご自身のデューとしての力を使って炎へ姿を変えて移動を可能にしました。ですが、これは朱朱様の力を大きく消耗してしまいます。私がまだ朱朱様との信頼関係を築けていないことが理由です。誰しも命を預けるような信頼関係を簡単に築ける訳ではありませんが…、私は朱朱様が無理をなさる姿は見たくなくて…。」
最後のローランさんの言葉は港の風の音で掻き消されそうだった。人が信頼するまで個人差はあるものの、言葉もなく信頼関係は築けない。壁を作っている意識はなくとも、人に自分の全てを打ち明けるのには抵抗がある。それが朱朱様とローランさんの"絆の技"が未完成である理由だ。
"絆の技"がそう簡単に発動できるものではないと分かったが、ベンチの空気は重くなってしまった。それを晴らすように朱朱様は空を見上げながら口を開いた。
「ローランはまだ私に話していないことがあります。私だってあります。全てを知る、話すには時間がかかります。無理に話す時間を取るのではなく日常を過ごし、一緒にいる時間を増やすことで自ずと知れるのです。ローランからの"輝石の恩恵"に縋って自分を蔑ろにして、力を無理に使うことで命を削ってしまうのは、私がまだ未熟だからです。13という年齢の若さから体の発達が中途半端ですし、ハイデン様のように身体能力もまだまだで…。自信の無さが自分の命を削ることになっているのです。私はローランやニコライ、香扇の力を最大限活かせるようなデューになるため、旅をしながら日々鍛錬をしております。そしてみんなと対話しています。それが四神朱雀の名前を与えられたデューである、私の使命です。」
誓いを立てるように太陽を見上げて語った朱朱様はとても強く、自信の無さなど感じないような立派なデューだと感じ取れた。
「(無理に話す時間は取らない…一緒に過ごすことで自ずと知れる…)」
朱朱様の言葉を自分の心の中で反芻し、"絆の技"がいくら強力だとは言え、それに頼ってはダメだと改めて思った。
「私もオーディン様に報告に行くことが目的ですが、この道中の会話にも信頼関係が築けるチャンスがあると思います!でも、焦っても良くないってことは分かりました。ゆっくり自分たちのペースで無理せずってことですよね。朱朱様も生き急いではなりませんよ?」
「ふふっ、分かっています。これからはローランとの"絆の技"を完全に発動できるタイミングまではあの技は使いません。」
「言質取りましたからね。」
「ニコライ!?」
朱朱様は慌てていたが、私は朱朱様に"生き急いでは"のところで既にチケットを持って戻ってきたニコライさんの存在に気付いていたので、ちょっとニコライさんを安心させるために誘導させてもらった。
みんなでクスクス笑っているところに両手に、ストックホルムの名物料理のグッブローラというアンチョビと卵のサラダとピッティパンナというジャガイモ、肉、玉ねぎの家庭的な炒め料理をケータリングしてきた香扇ちゃんが合流し、船の出発時間までにみんなでペロリと完食した。
軽食を食べてから少し海を眺めた後、船の乗船時刻となり、チケットの確認も済ませ、船に乗り込むと大型都市に向かうからか人も多く、結構豪華な船だった。
船での旅は案外長く、夕方の時間に出発し、翌日の朝に着くスケジュールだ。
豪華客船の中にはレストランもあるし、部屋も豪華だった。朱朱様たちとの部屋は離れてしまったが、食事の際は一緒になれるだろうと思い、船の展望デッキから夕日を眺めた後は、夕食の時間になるまでそれぞれの部屋で時間を潰すこととなった。
だが、船での旅も最後まで安全であるかどうかは分からない。常駐のデューとフェデーレがいるというアナウンスは聞いたが、ハイデンも私も船旅を楽しみつつも、警戒は怠らなかった。
夕食のレストランの営業時間になり、港で食べたのは軽食だったので、あっという間にお腹が減り、私たちはレストランに向かった。
既に船の乗客で賑わっていたレストランでは朱朱様の髪色は見つけやすかった。朱朱様たちに挨拶をして隣のテーブルが運良く空いていたので、そこに座り、直ぐにメニューを持ってきてくれたウェイターからメニューを受け取って美味しそうなスウェーデンとヘルシンキの名物料理をお腹いっぱい食べてその日は客室に戻った。
私とハイデンは軽くシャワーを浴びて、簡易ベッドに横になった。
朝には着くが、夜中のディアボロの襲撃に備え、私たちは寝巻きではなく、いつもの服のまま就寝した。ベッドに入ってからもハイデンと話をした。
何気ない話だ。レストランで食べたあの料理が美味しかったとか、夕日が綺麗だったとか。そういう話を共有できてることも信頼関係に繋がってくるんじゃないかと思って、私たちはどちらからともなく寝息を立ててしまうまで、お喋りを楽しんだのだった。
