及川徹
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誰かが部屋へ入ってくる気配に、ふと意識が浮上する。その誰かは静かにベッドへと近づきそして、そっとのしかかってきた。心地よい重みと鼻を掠めた香りで、ここにいるのが誰なのか確信する。夢うつつに閉じた瞼の裏、見慣れた面影を朧げに描く。
とおる、発したつもりの呟きは音にならず、吐息だけが零れた。暖かな掌が頬に触れ、愛おしむように指で撫でられる。
「壬都」
鼓膜を震わせる大好きな声。耳元で名前を囁かれる、ただそれだけがこんなにも心地よい。
「寝てる間はほんっと可愛いね。」
起きてても可愛いけど、なんて。そんな保障はないのに、それでも徹がそう思うのなら、それでいいけれど。唇にやんわりと触れた温もりがあまりに優しくて、夢のようだ。もしかしてこれは夢なのではないだろうか、きっとそうだ、私はまだ夢を見ているんだ。なんて幸せな夢だろう。神様ありがとう、自分よくやった、こんないい夢、獏に大金を積まれたって譲ってやるもんか。
「ねえ、脱がせていい?」
囁きが麻酔のように全身へと響く。
「全部脱がせて、お前のことじっくり眺めたいんだけど、いいよね?」
始めから選択肢なんてないくせに、相変わらず狡い男だ。でも夢なら、もうどうなったっていいや。好きにしてよ。ねえ、徹。
「安心して、挿れてほしいって言うまではシないから。」
どういうことだろう。これは夢で、私は寝ているはずなのに、まるで意識がある相手に呼びかけているような。曖昧な思考の中、思う。しかし考えたところで意味はないのだ。答えが出たところで、為す術などない。自分のものではない体温に包まれながら、愛しい手にされるがまま、溺れていくしかないのだから。
20150512
20220521
とおる、発したつもりの呟きは音にならず、吐息だけが零れた。暖かな掌が頬に触れ、愛おしむように指で撫でられる。
「壬都」
鼓膜を震わせる大好きな声。耳元で名前を囁かれる、ただそれだけがこんなにも心地よい。
「寝てる間はほんっと可愛いね。」
起きてても可愛いけど、なんて。そんな保障はないのに、それでも徹がそう思うのなら、それでいいけれど。唇にやんわりと触れた温もりがあまりに優しくて、夢のようだ。もしかしてこれは夢なのではないだろうか、きっとそうだ、私はまだ夢を見ているんだ。なんて幸せな夢だろう。神様ありがとう、自分よくやった、こんないい夢、獏に大金を積まれたって譲ってやるもんか。
「ねえ、脱がせていい?」
囁きが麻酔のように全身へと響く。
「全部脱がせて、お前のことじっくり眺めたいんだけど、いいよね?」
始めから選択肢なんてないくせに、相変わらず狡い男だ。でも夢なら、もうどうなったっていいや。好きにしてよ。ねえ、徹。
「安心して、挿れてほしいって言うまではシないから。」
どういうことだろう。これは夢で、私は寝ているはずなのに、まるで意識がある相手に呼びかけているような。曖昧な思考の中、思う。しかし考えたところで意味はないのだ。答えが出たところで、為す術などない。自分のものではない体温に包まれながら、愛しい手にされるがまま、溺れていくしかないのだから。
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