ジェノス
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初めて見た瞬間、脳に電流が走ったような感覚がした。
多分これが一目惚れってやつ。
「・・・おーい、聞いてんのか?」
サイタマくんの声で我にかえる。
目の前にいるのは従兄弟のサイタマくんと今日から1週間家庭教師をしてくれるジェノスさん。
よく分からないけど、サイタマくんの弟子らしい。
サイタマくんとは年に数回合う程度の仲だけど、高校に入って授業に追いつけなくなった私を見かねたお母さんがサイタマくんに相談したら、ちょうどいいやつがいるって言ってジェノスさんを紹介してくれた。
男だって聞いたときは、1対1の個別指導だし少し不安だったけど、連れてこられた超絶イケメンを見たら不安なんかは一瞬にして消し飛んだ。
「よろしくお願いします!!」
私は精一杯の笑顔でジェノス先生を出迎えた。
初めはサイタマくんに頼まれたから渋々という感じだったけど、ジェノス先生の教え方はとってもうまかった。
「・・・〜だから、ここの答えは?」
「えっと、“3√5” ・・・?」
「そうだ」
(なんだ、簡単じゃん!)
授業では分からなかったものも、ジェノス先生に教わるとだんだん解けるようになっていった。
ただ問題点が1つ。
距離が近い。
教科書は1冊しかないし仕方のないことなんだけど、先生が動くたびにシャンプーの香りがしたり肩が当たったりしてドキドキするのなんの・・・
今日も肩が軽くぶつかった。
びっくりして過剰反応してしまう。
「っ、すまない」
「だっだだ大丈夫です!」
はぁ、と気づかれないように溜息をついた。
こんなんじゃ身が持たない。
今も国語の詩を朗読するジェノス先生の声にうっとりとしてしまう。
頬杖をつきながら、本当に綺麗な顔だな、なんて見つめていると、ちゃんと聞いているのかと怒られてしまった。
初めはお互い気を使っていたけど、3日もすればすぐに打ち解けて、色々なお話をするようになった。
先生はサイタマくんを本当に尊敬しているらしい。
サイタマくんの事を話し始めると止まらなくて、お母さんがおやつを持って部屋に来るまで話し続けた。
だからサイタマくんの事はあまり話題に出さないようにした。
その他の話も長いんだけどね。
「そういえば、先生って歳いくつなんですか?」
「19だ」
「え」
予想外の言葉に驚く。
(大人っぽすぎる・・・!)
きっと心はもう大人なんだろう。
私みたいな子供じゃなくて、綺麗な年上の女性が好きそうな感じがした。
でも3歳差ならまだチャンスはあるかな、なんて期待しちゃったり。
少しでも意識してもらおうと、スキンケアを頑張ったり男ウケの良さそうな香水をつけてみたりした。
努力する方向が間違ってるんじゃないのー?なんてお母さんには言われちゃったけど。
もちろん勉強も頑張った。
宿題は完璧にやったし、予習復習もした。
宿題がパーフェクトだと先生は褒めてくれた。
それがなんだかくすぐったいけど気持ちよくて、嫌じゃなかった。
だけど、ジェノス先生との関係は変わらないまま7日目の最終日を迎えた。
いつも通りに授業をして、お母さんの持ってきたおやつを食べる。
「今日で最後なんて嫌です」
ドーナツを食べながら、ボソリと呟いた。
今日が終わったらきっともうほとんど会うことはないだろう。
「さよなら」って言いたくない。
その呟きが聞こえてたみたいで、先生もポツリと言う。
「そうだな」
・・・知ってます。それは社交辞令みたいなものですよね?
本当はこんな子供に勉強を教えるのなんて面倒だったはず。
こんな事を考えてしまう自分が嫌。
だけど、きっとそう思ってる。
私は子供なんかじゃないよって伝えるために、最後に意地悪をしてしまった。
「好きです。ジェノス先生の事」
私は落ち着いて大人っぽく言った。
驚きの表情を浮かべる先生。
「そうか・・・・・・」
とだけ言って、黙り込んでしまった。
ほら、やっぱり。
こんな子供に言われても嬉しくないんだ。
困らせちゃうだけだった。
涙が出てきそうになるのを必死に堪えて、
「なんでもないです。ちょっと冗談言ってみただけ」
と笑った。
・・・顔、変だったかも。
「さ、帰りましょう!
サイタマくんも家で待っているだろうし」
口を開けて何かを言いかけたジェノス先生。
私はそれを聞きたくなくて、無理やり部屋から引っ張り出した。
廊下を2人無言で歩く。
階段を降りたらすぐ玄関だ。
靴を履くジェノス先生を、無言で見つめた。
先生は靴を履き終えると、ドアを開けずにくるりとこちらを向いた。
え、なに?
こっち見ないでよ。
いま絶対変な顔してるから。
「さっきの・・・・・・」
やめてよ。
泣きそうなんだからもう帰ってよ。
「あ、や・・・ほんとに冗談なんです。
子供なんかに言われても迷惑なだけですよね・・・」
帰って、お願い。
「いや、迷惑じゃない」
え・・・・・・?
「俺も花子が好きだから」
「・・・・・・・・・・・・え・・・?」
先生が私の頬に手を添えた。
かと思ったら、急に顔が近づいてきて─────
すごく柔らかいものが、私の唇に触れた。
「またな」
顔が離れると、ジェノス先生はそう言って微笑んで帰っていった。
ペタリとその場にへたり込む。
震える手で唇を触った。
あの感触、あれは間違いなく、ジェノス先生の唇。
てことは、
キ、ス・・・・・・???
「・・・・・・へ・・・?」
やっと私の口から出たのは、なんともマヌケな声だった。
座り込む花子の上の階で、机に置かれたスマートフォンが着信を告げた。
画面に表示されたのは、1件のメッセージ。
『今日の復習もちゃんとやっておくこと。
明日チェックするからな?』
┈┈┈┈┈┈┈┈❁あとがき❁┈┈┈┈┈┈┈┈
こんにちは黒猫です:-)
今回は年下の女の子がジェノスくんに恋をするお話でした♪
だけど個人的にジェノスくんは年上好きそうな感じがするんですよね。
敬語で話してくるのいいですよね!
子犬みたいでかわいいです♡
花子さん、ここまでお読みいただきありがとうございました!!
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