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第3話
名前変換
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俺がレイに出会ったのは、10年以上前のことだった。
薄暗い森の中。
ソニックは1人で手裏剣を投げる練習をしていた。
目標に設定した細い木のまわりを駆け抜けながら次々と手裏剣を投げていく。
「ちっ、一発外したか」
手裏剣を持つ手の甲で額の汗を拭う。
練習を再開しようとしたその時、近くの茂みがガサガサと音を立てて揺れた。
「誰だっ!?」
咄嗟に手裏剣を構えた。
茂みを睨みつける。
そこから出てきたのは、まだ十にも満たない幼き少女だった。
「お前、里の者ではないな。どこから来た?」
「・・・あずさ村ってところ」
梓村の名は知っていた。
ここからいくらか離れたところにそんな村があると聞いたことがあるのだ。
しかしそんなに近くはないはずだ。どうやってここまで来たのだろうか。
「お兄ちゃん、だれ?」
不安そうにこちらを見つめてくる少女。
迷子にでもなったのだろうか。
ソニックは思案するのをやめて少女の問いに答えた。
「俺は音速のソニックだ」
「へえ、なんだかよくわからないけれど、かっこいい名前だね」
そう言って少女は笑う。
そんな事、初めて言われた。
ソニックは目を見開き、恥ずかしそうに横を向いた。
「わたしはね、レイって言うの!」
「レイか。迷子になったのか、お前?」
レイと視線が合うようにしゃがむ。
顔や服は薄汚れて、手足には切り傷擦り傷もあった。
レイはしばらくどうしたらいいか分からない、という表情で視線を泳がせていたが、ぽつりぽつりと話し始めた。
「あのね、まいごじゃないんだけどね、ヒロとさんぽしてたらね、いつの間にかはぐれちゃって、かえり道がわからなくてここまで来たの」
それを迷子って言うんだがな。
ソニックは思わず突っ込みたくなったが、迷子と言ったらレイを不安にさせてしまうかもしれないと思い、言うのをやめた。
「ヒロというのは、兄弟か?」
「ううん、友だちなの」
そう言ってレイはヒロのことを得意げに語りだした。
会ったこともない知らない奴の話を聞くのはあまり楽しくない。ソニックは何となく聞き流して、レイの話が終わると、そのご自慢のスピードで救急箱を取ってきた。
練習をサボっていたと勘違いされたら面倒くさいし、レイを怖がらせてしまうかもしれないので、里には連れて行かずここで傷の手当をしようと思ったのだ。
顔や手足の泥を濡らした布でふき取ってから、傷の消毒をした。
普段から怪我の手当はやっているのでこんなことも慣れっこだ。
特に血が滲んでいる所には絆創膏を貼る。
これで手当は完璧だ。
確か梓村というのはここから西にいくらか進んだところにあると聞いた。
村に近づけばレイの見知った場所にたどり着くだろう。
ソニックはレイの手を引いて西へ歩き出した。
これがソニックとレイの出会い。