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第3話
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サイタマのあとをついてきて30分が経った。
今彼はタイムセールの肉をゲットしようと、主婦たちと壮絶な戦いを繰り広げている。
私も普段だったらこんなのんびりしている暇じゃなくてあの中に入ってなんとしてでも肉を手に入れなきゃいけなかった。
けれど今は、アマイマスクの家に行けば余るほどの食材があるのだ。
足りないものがあれば彼が食材宅配サービスを使って用意くれるし、スーパーに行くお金ももらえる。それも割引やら何やらは全く気にしなくてもいいくらいの額を。
だからこうしてサイタマを観察できているのだ。
普段の地獄のような勉強に追われることなくのびのびとしている夏休み前半の高校生の気分だ。
特売やタイムセールがサイタマの強さに関係あるのかどうかは分からない。
しかし、目をギラギラと光らせ雪崩のように押し寄せてくる主婦たち相手では、サイタマも苦戦せざるを得ないらしい。
戦士たちの中に呑み込まれたサイタマが、1パックの肉を手に戻ってきた。
見事に競争に勝ち、肉をゲットしたのだ。
サイタマが戦利品をカゴに入れている頃、ジェノスが小走りでやってきた。
店の中くらい静かに歩けないのだろうか。
そんなことを考えながらジェノスの手元を見ると、ひじきのパックを手に持っている。
そこに貼られた黄色い「50円引き」のシールを見て、サイタマは目を輝かせた。
「でかした、ジェノス!」
そうか。弟子になるからにはあのくらい出来ないといけないのか。
私は持っていた小さな手帳に『特売戦争に勝つ!』と書いた。
サイタマに褒められたジェノスがこちらを得意げに見る。
黒いぞ、顔が。
完全に私を見下している眼だ。あれは。
私は負けじと精一杯睨み返した。
その後もチラシを片手にあれが安いこれが安いと野菜やら魚やらをカゴにつめていく2人を見ていたが、セールの時間帯も終わり、そろそろアマイマスクの家に戻らなければならない時間になった。
サイタマ(とジェノス)が会計を済ませスーパーを出るのを見届けてから、私はアマイマスクの家の方面へと歩き出した。
今日はオムライスにしよう。
サイタマとお一人様1パックの卵を見ていたら、卵料理が食べたくなった。