第13話
夢小説設定
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夕食は海岸沿いのログハウス風のレストランで食べた。
ホテルのチケットには無料で夕食もつけられると書いてあったが、このレストランは昼間に見つけて気になっていたのでここで食べることにしたのだ。
(サイタマは金がないからと嫌がっていたが、ジェノスの奢りという事で納得した)
新鮮な魚をつかった料理をたっぷり堪能した後、楓香はジェノスに誘われ夜の砂浜に出た。
潮風が気持ちいい。
昼間とはまた雰囲気が違い、真っ黒な海面に月の光がキラキラと反射して神秘的だった。
「あれ、サイタマは?」
並んで歩く勇気は流石に無く、少し先を歩いていた楓香が振り返ると、
「先生は先にホテルへ戻られた」
とジェノスが答える。
「ふうん・・・」
適当に相槌を打ち、足元の砂浜を見つめた。
(ジェノスがこういうの誘ってくるの、珍しいな)
少し不思議に思ったが、誘ってくれたことは嬉しかった。
ザァァ・・・と、静かに波が寄せては返す。
歩くたび浜辺に足が沈んで、サンダルに砂が入ってくる。スニーカーで来ればよかったかな、と少し後悔していると、
「楓香」
ジェノスがふと立ち止まった。
振り返ると、ジェノスは楓香をまっすぐ見つめていた。
思わず楓香も立ち止まる。
少しの間見つめ合うと、ジェノスがおもむろに目を伏せた。
そして鞄から白くて細長い小箱を取り出して開ける。
「これを、渡そうと思って」
中には綺麗なネックレスが入っていた。
「それ・・・!」
ピンクゴールドのハートにクリスタルがあしらわれたネックレス。
(私が昼間、見てたやつ・・・)
ショッピングモール内のアクセサリーショップにあったもので、値段が高くて買うのを諦めたものだった。
楓香はゆっくりと近寄り、その箱を受け取った。
中身を取り出し月の光にかざすと、ストーンがその光を反射してきらめく。
「綺麗・・・」
ジェノスはその手からネックレスをそっと受け取ると、楓香の後ろにまわる。
何をしようとしているのか察した楓香は、肩まで伸びた髪を持ち上げた。
楓香の白いうなじが月明かりに照らされる。
ジェノスは一瞬、動きを止めた。
思わず触れそうになってしまったなんて。
今までに起こったことのない衝動に驚く。
気を取り直してネックレスをつけようとするが、爪がないのでうまくつけられない。
こんなことも出来ないなんて格好悪いな、と自嘲しながらもなんとか留め具を付けると、楓香がジェノスに向き直った。
少しだけうつむいて、恥ずかしそうに笑う楓香。
「綺麗だ・・・・・・」
思わず口から溢れた言葉。
その言葉に楓香はじんわりと頬を赤らめ、ありがとうと小さな声で言った。