第13話
夢小説設定
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部屋に入るとまず廊下があり、右側にはドアが1つついていた。おそらくバスルームだろう。
奥へ進むと大きな窓のある部屋に出た。テーブルと椅子、テレビ等が置いてある。
一般的なホテルルームと同じ造りだ。
ただ一部を除いて。
楓香とジェノスは固まった。
1つしかなかったのだ。ベッドが。
(えっと、これはどういう・・・)
キングサイズだかクイーンサイズだか分からないけれど、とにかく大きくてふかふかそうなベッド。
この大きさだから、間違えて1人部屋に招待されたわけではないのは分かる。
2人は顔を見合わせた。
とりあえず鞄を部屋の隅に置くと、ジェノスも楓香の鞄の隣に自分の荷物を置いた。
「・・・仕方ない。俺は床で寝るから楓香はベッドを使え」
「えっ、いいよ。私は床でも全然平気だから、ジェノスがベッドで寝て」
「そういう訳にも行かないだろう。身体を痛めたりしたらどうするんだ」
自分のことを気にしてくれるのはすごく嬉しい。だが、だからといってジェノスを床で寝かせるのも嫌だ。
「・・・とりあえず、支度してフロントに行こ」
ベッドのことは後で考える事にして、楓香たちは出かける準備をした。
楓香とジェノスがフロントへ下りると、ちょうどサイタマも来たところだった。
「お、楓香、着替えたのか?」
「うん。さっき買ったばっかりのやつ。せっかくだからちょっと着てみようかなって思って」
一目惚れして買った花柄のワンピース。
どうかな? と言ってくるりと回ってみせる。
「へぇ、いいじゃん。なぁジェノス?」
サイタマがジェノスに目配せをする。
ジェノスは少し目を細めて楓香を見た。
「そうですね。・・・すごく似合ってる」
(あ・・・まただ・・・)
ジェノスのすごく優しい目。
機械でできた目だけれど、その奥に温かいものを感じる。
最近何度かこの顔をするようになって、ずっと気になっていた。
(ジェノスの目に、私はどういう風に映ってるの────?)
見つめ合う2人に、サイタマは深い溜め息をついた。
多分この2人の気持ちにはすれ違いがある。
2人はそれに気づいていない。気づいているのはサイタマだけだ。
(どうしたものか・・・)
だがこういうのは自分たちでなんとかするものだと思う。
「ほら、行くぞ」
結局サイタマは何も気づいていないふりをした。