第9話
夢小説設定
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「親父の仇をとるついでにさっき瓶にヒビを入れた仕返しもしてやる! 死ね!!」
怪人が拳を振り上げる。
(ああ、もうダメだ・・・)
いくら傷を治せても限界があるし、致命傷を受けてしまっては治すのに時間がかかるからその間にまた攻撃を食らうだろう。
抵抗する気力もなく、楓香はゆっくりと目を閉じた。
最後に頭をよぎったのはジェノスの顔。
「はは・・・」
家族でもサイタマでもなくてジェノスの顔が浮かぶなんて。
ああ。この世界に来たのが本当に夢なら良かったのに。
そしたら覚めて家族のもとへ戻れるのに。
そろそろ攻撃が当たる頃だ。
死への恐怖のせいか、一筋の涙が頬をつたった。
(最後にひと目会いたかっ─────)
ガキンッッ
突然聞こえた金属音。
(あれ、痛くない・・・?)
そっと目を開けると、目の前に楓香をかばうようにして怪人の攻撃を受け止めるジェノスがいた。
「え・・・なんで・・・」
「なんだあ、お前?」
怪人が眉をひそめる。
「俺が誰だろうとお前には関係ない」
冷たく言い放ち、ジェノスはソーダ男爵に殴りかかる。
瓶のヒビがさらに広がった。
反撃を試みる怪人に、ジェノスはさらに拳の連打を食らわせる。
「ぐあああああ!!」
強力な攻撃を受け、怪人の瓶が砕け散った。
中の液体がジェノスへ襲いかかるが、
「焼却」
焼却砲の餌食になり、蒸発して消えた。
「楓香!!」
怪人を倒すや否やふり返って楓香の名を呼ぶ。
「ジェノス・・・」
楓香は立ち上がろうとするが体に力が入らずよろけてしまう。
それをジェノスが受け止めてくれる。
楓香は危険を伝えようと、必死に訴えた。
「ジェノ・・・にさ、化・・・炭素が・・・・・・離れて・・・」
「二酸化炭素? まさか・・・!」
楓香の様子から状況を察したジェノスがサーチアイで周囲を分析しだした。
「周囲のCO2濃度が2850ppm、通常の10倍になっている・・・!? 早くここから離れなければ!」
そして楓香を抱えて走り出す。
楓香の頭が回らなくなっているのか、それにしても尋常じゃない速さで周りの景色が変わっていく。
走っている揺れを感じながらも、助け出してもらえた安心感と疲れで楓香はジェノスに抱きかかえられたまま眠ってしまった。