第9話
夢小説設定
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「ご、ごめん!!」
真っ赤な顔で家を飛び出す楓香に、ジェノスは無意識に手を伸ばす。
ドアがバタンと閉まって、伸ばしていた手をゆっくりと下ろした。
「・・・・・・」
(高熱の後で頭が混乱しているのか?)
少ししたら戻ってくるだろう。
そう思って師の方へ振り向く。
(さっきから先生の心拍数が上昇している)
「先生、起きていらっしゃいますよね?」
顔を背け息を殺している様子などから、彼がすでに起きているのはわかっていた。
「・・・バレてんのかよ」
サイタマは起き上がって布団の上にあぐらをかく。
そして、ジェノスの様子を見た。
ジェノスは朝食の支度をしようと立ち上がり台所へ向かう。
「・・・お前、なんとも思わねーの」
「? 何がですか?」
「わかってねえのかよ」
サイタマは苦笑する。
「楓香の事だよ。
一晩中、手つないでたみたいだけど?」
野菜を切る手を止めて黙り込むジェノス。
しばらくすると、顔を上げて言った。
「それは、昨晩楓香がうなされていたため少しの間手を握っていたのですが、俺が寝ようとしたときも『離れないで』と言われたので・・・」
「いやそうなんだけど、そうじゃなくて、その・・・」
「ああ、おそらく高熱で精神が不安定だったのかと」
「マジかぁー・・・」
予想以上に鈍感な弟子の様子にサイタマは頭を抱える。
(普通なんでもない奴に手繋いだまま “離れないで” なんて言わないっつの)
野菜を切っているジェノスをぼーっと見つめながらサイタマは考えた。
ザクリ、ザクリとみずみずしいレタスを切る音が聞こえてくる。
(てか楓香もイマイチ自分の気持ちに気づいてないよなぁ。ジェノスは全くもって何も分かってないし、俺だけ1人で色々考えちゃってんじゃん)
今度は何かを焼く音が聞こえてきた。
(こいつら、相当時間かかりそうだな)
布団をたたもうと立ち上がり、また苦笑いをした。
「・・・・・・楓香、帰ってきませんね」
「ああ」
目の前のテーブルには3人分の朝食。
3人揃えばすぐにでも食べはじめられる状態だが、楓香がいない。
「今日は比較的気温も低いですし、楓香は病み上がりだからまた風邪をぶり返すかもしれない・・・・・・。ちょっと俺、楓香を探してきます。
先生は先に召し上がっていてください」
ジェノスは立ち上がって玄関へ向かう。
「おー、よろしくな」
サイタマは目の前の朝食を見た。
今日の朝食はトースト、目玉焼き、ベーコンにサラダ。
別に冷めても普通に食べられるものだし、楓香とジェノスが帰ってきてから食べようと、手はつけないでおくことにした。