第9話
夢小説設定
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(こんなこと考えても無駄だよね)
「帰ろ・・・」
涙を拭って、楓香は来た道を戻ろうと振り返った。
そしてそのまま固まる。
「え・・・」
目の前にはソーダの瓶の形をした怪人がいた。
「二ヒッ」
目が合うと怪人が笑った。
ゾクリと悪寒が走る。
「俺はソーダ男爵。この間はよくも親父を殺してくれたなぁ」
その姿には見覚えがあった。
一昨日倒した怪人。
たしかそいつもソーダ男爵と名乗っていた。
親父ということは今目の前にいるのはその2代目だろう。
幸い周りには誰もいなかった。
ほっとけばこいつは自分を倒そうと追いかけてくるだろう。そうなれば通行人に被害が及ぶ可能性がある。
・・・戦うしかない。
楓香は距離を取ろうと後ずさった。
ソーダ男爵は瓶の中のソーダを炎で蒸発させたら倒すことが出来た。恐らくそれが急所なのだろう。
こいつも同じ方法で倒すことが出来るはずだ。
楓香は風を起こして高く跳び、瓶の口へ向かって炎を吹き出した。
これはジェノスの螺旋焼却砲を自分なりにアレンジしたもの。
いくつもの熱線を竜巻状に回転させながら繰り出す技だ。
しかしその技はソーダ男爵の反撃によって無効化されてしまう。
「二酸化炭素噴射!!」
プシュ────!!
ソーダ男爵が瓶の口から大量の二酸化炭素を噴出させたおかげで、火力が弱まってしまった。
一瞬、息ができなくなる。
すぐに距離をとって呼吸を整えた。
(火が効かないなんて・・・!)
ならば瓶を割って中身を出すしかない。
楓香は尖った氷を思い切りぶつけてみたが、瓶は想像以上に固く、逆に氷が砕けてしまった。
今度はもっと大きい氷を作り、ぶつける。
それでも瓶は割れなかった。
しかし、ソーダ男爵の体が一瞬よろめく。
(いけるっ!)
もう一度氷を作りぶつけようとした時、急に頭痛がした。
思わず浮かべていた氷の塊を落とす。
なんだか吐き気もしてきた。
(やばい、熱ぶり返したのかも・・・)
「ハッハッハッハ!!
どうだ私の二酸化炭素は!?」
ソーダ男爵が勝ち誇ったような笑みを浮かべる。
「私の出す二酸化炭素のおかげでこの辺りの二酸化炭素濃度が通常の10倍になっているのさ!」
「!?」
楓香は目を見開いてソーダ男爵を見つめる。
そして力を振り絞ってその場から離れようと後ずさった。
(これは本当にやばい・・・!!)
体中が逃げろと叫んでいる。
このままここで戦うのは危険だ。
楓香はくるりと向きを変えて、サイタマとジェノスに助けを求めようと走り出した。