第9話
夢小説設定
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楓香はZ市のゴーストタウンを走り抜け、人が増え始めた商店街を通り過ぎ、川に出た。
(結構綺麗なんだな・・・)
橋の中腹の柵に両肘をのせ、水面を眺める。
少し走ったから気分が落ち着いた。
前の世界にいた時から、嫌なことがあったり頭の中がぐちゃぐちゃの時は走ってスッキリさせていた。
だが恥ずかしさはほとんど消えていない。
「はぁ・・・」
(気持ち悪いって思われてたらどうしよう・・・!
でも朝まで手握っててくれたってことは・・・・・・
でも私が離さなかっただけかも・・・)
“でも” ばかりになってしまうのは昔からの悪い癖。
色々なことを考えるが、結局はネガティブな方向へ行ってしまう。
すべて夢だと思いたい。
そうであったらどんなに良いか。
(ていうかあれきっとサイタマに見られてたよね・・・)
「あ"~~!」
後悔の念がどんどん押し寄せてきて思わず突っ伏す。
「マジやらかしたよ~・・・」
なぜあんなことをしてしまったのか。
普段の私なら絶対しないはずなのに。
やはり力のことでまだ不安があるのだろうか。
(こんな時、おばあちゃんがいたら・・・)
懐かしい元の世界を思い出してしまう。
もうこちらに来て何日経っただろうか。
(帰りたいな・・・)
家が愛しくなってきた。
家族は絶対に心配しているだろう。
学校にもずっと行っていない。
小学校でいじめられていたから、中学は知り合いのいない遠くの学校へ通った。中学と高校では力を使うことなく過ごして、たくさん友達もできた。
(きっと学校のみんなも心配してる)
「そういえばカラオケ行く約束してたの、先週の土曜だっけ・・・」
高校の友達のことを思い出す。
「裕也とすず、どうしてるかな・・・」
弟と妹のことも思い出した。
ちゃんとご飯を食べているだろうか。
すずは夜1人で寂しがって泣いていないだろうか。
裕也はまたやんちゃして傷だらけになっていないだろうか。
「会いたい・・・」
みんなのことを思い出すほど涙が溢れてくる。
この世界の暮らしも悪くは無いと思ってきている。
サイタマやジェノスと過ごす毎日は楽しい。
でも、元の世界で家族や友達と一緒に平和に暮らしていたい。
この世界の人達のように怪人を恐れることなく毎日笑っていたい。