第8話
夢小説設定
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楓香はカーテンの隙間から差し込む朝日で目が覚めた。
昨日と比べて体のだるさをあまり感じない。
(熱、下がったかな)
額に手をあてようとするが、右手が動かない。
「ん?」
何か硬いものを握っている。
なんだろうと布団をめくると、そこには機械で出来た手があった。
その腕は隣にくっつけて敷かれた布団の中から伸びている。
その布団の枕元を見ると、視界いっぱいに映るジェノスの横顔。
「っひゃああああ!」
思わず手を離して飛び上がる。
(近っ! なんで!?)
「ん・・・起きたか」
ジェノスが起き上がって尋ねる。
「熱はどうだ?」
(なんでこんな涼しい顔してるの!?)
ジェノスは手を繋いでいたことに気づいていないのだろうか。
しかも、いつもは楓香だけ布団を離して敷いているのに、今日はピッタリとくっついている。
頬が熱くなっていくのが自分でもわかった。
「どうした?」
ジェノスは何食わぬ顔で聞いてくる。
「じぇ、ジぇノス! 私たち、その、手、つ・・・・・・・・・つないで、た・・・?」
パニックになっているせいで声が裏返ってしまった。
「ああ、昨日楓香が・・・」
ジェノスはそう言いかけて口をつぐむ。
(き、昨日? 何かあったっけ・・・!)
必死になって記憶をたどる。
昨日。
そうだ、昨日の夜、いつもの悪夢を見た。
小さい頃────あのトラウマの原因となった事件の後になってからよく見る、自分の力をコントロールしきれずに家族や学校のクラスメイトみんなを傷つけてしまう夢。
(それのせいでうなされてて・・・)
その後・・・
そのあとが思い出せない。
(んんんん?)
やっとの事で思い出したのは、朦朧とする意識の中でジェノスに言った言葉。
「や・・・離さないで・・・」
「・・・・・・」
心臓がバクバクする。
(私、本当にそんな事言った?)
もし本当だとしたら・・・
さっきまで顔に集中していた血が、こんどはサァーっと引いていく。
「ご、ごめん!!」
楓香は恥ずかしさに耐えられず、家を飛び出した。