第8話
夢小説設定
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「ふぅ」
サイタマは風呂から上がり、洗面台に置いておいたタオルで体をふいた。
髪を乾かす必要が無いので風呂に入ったあとは楽だ。
そのままタオルを腰に巻いて洗面所から出る。
(ん?)
リビングに行くと、ジェノスが眠っている楓香の手を握り、頭を撫でていた。
普段見せない穏やかな表情をしている。
「・・・・・・」
なんだか見てはいけないものを見てしまった気がする。
サイタマはリビングに入るのをためらった。
といっても他に行く部屋もないし、仕方なく黙ってジェノスの後ろを通り過ぎる。
「先生」
ジェノスはサイタマに気づいたが、手を離そうとはしない。
特に恥ずかしいとは思っていないようだ。
逆にこっちが恥ずかしくて直視できない。
(お前らはカップルか!)
「俺はもう寝るから。ジェノスも早く寝ろよ」
誤魔化すようにそう言って、布団の中にもぐった。
楓香はさっきとは打って変わって安らかな寝息をたてている。
ジェノスはほっとして、自分も寝ようと楓香の手を離した。
「や・・・離さないで・・・」
楓香が潤んだ瞳でジェノスの服の裾を掴んだ。
「っ・・・!」
ジェノスは目を見開く。
こんな楓香は見たことがない。
熱が出ているせいで不安になっているのだろうか。
「・・・わかった」
ジェノスは片手を握られたまま器用に自分の布団を楓香の隣に敷き、横たわってから楓香の手を握りなおした。
「ほら、もう寝ろ」
「うん。ありがとう」
楓香の顔は今までにないほど幸せそうで、さっきまで悪夢にうなされていたとは思えない。
(それほどまでに、手を握られると安心するのか)
しばらくすると楓香は安心したように眠りに落ちていった。
(柔らかい・・・)
楓香の手は自分のよりもずっと小さくて柔らかかった。
感触はないが、少し強く握っただけで潰れてしまいそうなほどだというのはすぐに分かる。
4年前、暴走サイボーグに何もかもを奪われてから、人肌というものを忘れていた。
だからなのか、楓香の手はどこか懐かしくて、心地良い。
ジェノスはそっと微笑んで目を閉じた。