第8話
夢小説設定
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夜になった。
サイタマが風呂に入っている間、リビングには横たわる楓香とジェノスの2人しかいない。
ジェノスは楓香の枕元に座って、額の濡れタオルを替えようと手を伸ばした。
「ぅん・・・」
楓香が声を上げる。
ジェノスは手を止め、顔色をうかがった。
楓香の顔や首元には無数の汗粒が浮き出ており、真っ赤な頬をして辛そうに息を吐いている。
(汗を拭いてやらなくては)
額のタオルを取り、氷水で濡らす。
それを固く絞ってから、楓香の額や首筋の汗を優しく拭き取った。
そっと布団をめくると、楓香のTシャツは汗で濡れていた。
これでは気持ち悪いだろうと汗を拭こうとするが、ふと手を止める。
相手は女性だ。
あまりベタベタと触っていいものではないのでは?
しかしいつまでも汗でぐしょぐしょのままというのも可哀想だ。
ジェノスは恐る恐る腕や、短パンから伸びる脚の汗を拭いていく。
「嫌・・・ぁ・・・」
突然楓香が唸り声を上げた。
(しまった! 脚はアウトか!?)
びっくりして急いで手を離すジェノス。
しかし楓香は起きている訳ではなかった。
(寝言か・・・?)
しばらく耳を澄ませていると、再び寝言が聞こえた。
「やめ、て・・・お願い・・・」
楓香の頬を一筋の涙が伝う。
どうやら悪夢にうなされているようだ。
ジェノスは以前楓香が言っていたことを思い出した。
「私、小さい頃からよく怖い夢みてたんだよね。
だけど私がうなされて泣いてる時は、いつもお母さんが手を握っててくれたの。そうすると安心して何故か怖い夢も平気になるんだ」
「・・・・・・」
そっと楓香の手を握ってみる。
(熱いな・・・)
小さな手から熱が伝わってくる。
楓香の手がピクリと動いた。
(やはり母親でないとダメか)
ジェノスは手を離そうとする。
しかし次の瞬間、楓香が僅かにジェノスの手を握り返した。
「・・・!」
楓香の眉間に寄っていたシワが和らぎ、穏やかな顔つきになる。
「じぇ・・・の、す・・・」
楓香が寝言で自分の名を呼んだ。
少し恥ずかしいが、悪い気はしない。
ジェノスはもう片方の手で楓香の頭をそっと撫でた。