第7話
夢小説設定
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楓香たちはZ市のヒーロー協会へ向かった。
真っ黒で窓ひとつなく、頑丈そうな建物。
怪人に襲われても崩れる心配が無さそうだ。
入口の自動ドアが開き中へ入ると、薄暗いロビーには人気が全くなかった。
「君たちがジェノス君と楓香ちゃんか」
老人の声がして振り向く。
そこには白髪でヒゲを生やしたいかにも強そうなおじいさんがいた。
「ワシはバングという者じゃ。よろしこ」
「よ、よろしくお願いします」
(バング・・・確か同じS級にそんな名前の人がいたような・・・・・・)
イマイチ思い出せない。
楓香の様子を察したジェノスが小声で言う。
「S級3位のヒーロー、シルバーファング。本物の実力者だ」
そう言われてやっと思い出す。
確かシルバーファングはどこかの拳法の師匠だったはずだ。
「協会に呼ばれて来たのだが」
ジェノスが言う。
シルバーファングはキュッと床の音を立てながら近づいてきた。
「協会の連中はみ~んな避難しちまって、この支部は空っぽじゃよ。召集かけられたS級ヒーローもワシと君ら以外は誰も来とらん」
(避難?)
嫌な予感がする。
「一体なにがあったんですか?」
「来ない奴らは何なんだ?」
「来てない奴らは場所が遠かったり他のことで忙しいんじゃろ。面倒臭がって来ない薄情者もいるがのう」
(面倒くさがる? ヒーローなのに?)
わけがわからない。それほどまでに大変な仕事なのか。
「なんせ呼び出される時はだいたい無理難題の厄介事の処理じゃからな。今回もワシらじゃ手に負えん・・・」
S級3位がここまで言うのなら相当の厄介事だろう。
楓香はシルバーファングを見つめた。
「災害レベル竜の最悪の事態を押し付けおったわ」
「さ、災害レベル竜!?」
ヒーローになってから色々と勉強したから、それがどれほどの脅威なのかはすぐ分かる。
怪人や自然災害には災害レベルというものが付けられる。
それを見てヒーローは自分が向かうべきか考え、住民も自宅待機や避難するなど適切な処置をとる。
災害レベルは5つに分けられる。
狼:危険因子となる生物や集団の出現
虎:不特定多数の生命の危機
鬼:町全体の機能が停止もしくは壊滅の危機
竜:いくつもの町が壊滅する危機
神:人類滅亡の危機
普段テレビで見るような怪人は狼や虎だから、災害レベル竜は見たことがない
そんな一大事にS級ヒーローが楓香を含め3人しかいないというのはかなり絶望的な状況だと新人の楓香でもわかる。