第5話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
体力試験も筆記試験も終わり、控え室で汗を拭きながら待っていると、スタッフに呼び出された。
(あれ? 他にテストあったっけ?)
天井の高い薄暗い部屋へ案内される。
奥の机の前に、厳格な顔つきの大人が数名座っていた。
その手前に、1脚の椅子がポツンと置いてある。
「楓香さんですね?」
「はい」
「まあ座ってくれたまえ」
そう言われて、楓香は大人しく椅子に座った。
(怖・・・)
目の前の人達の威圧に押され、自然と背筋が伸びる。
(やっぱ能力使うのダメだったのかな)
大人達を見回すと、1人の男が口を開いた。
「いきなりだが、体力テスト中に負傷した者の怪我を一瞬で治したというのは本当か?」
「あ・・・」
それには心当たりがる。
反復横跳びで勢い余ってコケて足を捻挫した人がいたから、治癒能力を使って治してあげたのだ。
「やりましたけど・・・ダメでしたか・・・?」
恐る恐る聞く。
「いや」
男は首を振った。
今度は隣のメガネの女性が話しかける。
「あれはどんな怪我でも出来るものなんですか?」
「あんまりひどい怪我だと治すのに体力使っちゃうんですけど、あのくらいなら全然平気です」
「・・・・・・」
女性は驚いたように楓香を見た。
(まあ、普通そうなるよね)
「・・・ここに骨折している人がいる」
1番端に座っていた男性が喋った。
楓香が入ってきたのとは違う扉から、松葉杖をついた人が入ってくる。
「ぜひ君の力を私達に見せてくれ」
品定めをするような目で楓香を見る大人達。
(ここでやらなかったらインチキだと思われそう)
楓香は格好つけて座ったまま松葉杖の人に全神経を集中させた。
(こんな遠くから治したことないけど)
いつもは怪我をしている部分に手をかざして治すのだが、念じるだけで直せないこともない。
「終わりました」
ニッコリと笑って言う。
思ったより上手くいったようだ。
「え? あれ? 治ってる!」
松葉杖の人は一瞬で骨折が治ったのに感動したのか、近くを歩き回ったりぴょんぴょん跳ねたりしている。
「!?」
驚く大人たちを頭の中で鼻で笑う。
(どう? 驚いた?)
「これは・・・」
初めに話しかけた者が、机の上の書類を見、それからその上に大きな判子を押した。