第5話
夢小説設定
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ジェノスは楓香の少し後ろをついてきた。
歩くたびにガシャン、ガシャンと鳴る音に、こんなに生身らしい動きをしているけれどやっぱり身体は機械なのだな、と感じさせられる。
後でサイタマから聞いた話だが、自己紹介をした時にジェノスが語り出した過去の話は明るいものではなかった。
4年前、暴走したサイボーグに家族を殺され、街をめちゃくちゃにされたらしい。
だからその暴走サイボーグを破壊するために、強さを手に入れようと、サイタマへ弟子入りしたらしいのだ。
サイタマはまだ弟子と認めていないみたいだが。
(そんなに辛い思いして・・・弟子にしてあげればいいのに)
2人でサイタマの家に向かって無言で歩く。
(あ、そう言えば・・・)
「ねえ、ジェノスってなんで私より年上なのに敬語で話してくるの?」
気になっていた疑問をぶつける。
「えっ、それは」
ジェノスは当たり前のように言った。
「先生の妹様なら敬意を払うのは当然です」
「・・・・・・ん?」
(イモウト?)
予想外の言葉にきょとんとする。
(私とサイタマってそんなに似てるか?)
「違う違う違う」
楓香は両手を振った。
「妹なんかじゃないよ?」
「違うんですか? それじゃあ、もしかして恋人・・・」
「はっ!? 何でそうなるの??」
「先生と一緒に住んでいる女性なんて、家族か恋人くらいしか考えられません」
「いや、それは、その」
(確かにそうだわあああ)
「私はそういうのじゃなくて、家賃払って家事やってる、いわば住み込みのお手伝いさんみたいなもんだから!」
動揺のせいで必死に誤魔化しているように見えたかもしれない。
嘘だと思われたらどうしようと焦る。
「そうなんですか?」
しかしジェノスは信じてくれたようで驚いた顔をする。
「うん、だから敬語じゃなくていいよ? 名前も普通に楓香でいいし」
「・・・じゃあ・・・・・・楓香」
突然名前を呼ばれてドキッとした。
整った顔に見つめられて身動きが取れない。
顔が熱くなっていくのが分かる。
楓香は咄嗟に目を逸らして言った。
「う、うん、そっちの方がいい! は、早く帰ろう! サイタマ待ってるし」
「そうだな」
(イケメンってずるい・・・!)
楓香は家に帰るまでジェノスの顔をまともに見ることが出来なかった。