第5話
夢小説設定
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ソニックに会った日の昼過ぎ。
「それじゃあジェノス、よろしくね」
「はい、楓香さん」
楓香は稽古の約束をしていたジェノスと、街から少し離れた場所にある、岩に囲まれた平らな空き地に来ていた。
火や水を使うにはもってこいの場所だ。
(何で敬語? 何でさん付け?)
以前から気になっていたが、楓香の方が年下のはずなのにジェノスは敬語で話してくる。
(まあいっか。後で聞こ)
今は稽古に集中するべきだ。
「最近自主練して結構火力が出るようになったんだけど、まだ怖くて全力が出せないの」
「それは、前に話してくれた小さい頃のトラウマのせいですか?」
「うん。火を使うと記憶がちらつくんだ」
楓香は握りしめた手を見つめながら言った。
「小さい頃の事だったから余計に染み付いちゃってて」
「そうですか・・・」
ジェノスは少し考えてから言った。
「トラウマをなくすまでは完璧には扱えないかも知れませんが、練習を重ねていけばある程度は扱えるようになるでしょう」
そして、実際に炎を出して見せてくれた。
「風向きに注意して、目標を完全に焼き尽くす勢いで出してみてください」
ジェノスの出す炎はいつ見ても迫力がある。離れていても熱風のせいで汗が滲んできた。
「わかった。じゃああそこの岩目指してやってみる」
楓香は20メートルほど離れたところにある、大きめの岩を指さして言った。
ジェノスが黙って頷く。
深呼吸してから、両手を目標の岩にかざした。
風はほとんど吹いていない。
(目標を焼き尽くす勢いで────)
全身に力を込め、一気に両腕へと送った。
カエルの怪人に出した時よりも格段と強い炎が岩へまっすぐと伸びていった。
(もっと、もっと強く!)
「っはぁ・・・!」
まだ慣れていないせいで、短い間しか炎を出すことは出来なかったが、岩は少し焦げていた。
「火力は前回より出ていると思います。じゃあ次は俺が石を飛ばすので、そこに火をあててみて下さい・・・・・・大丈夫ですか?」
ジェノスは楓香が微かに震えているのに気がついた。
「大丈夫・・・もうおさまったから」
やはりトラウマのせいで火を使うことに抵抗がある。頭の中で大丈夫だと言い聞かせても、体が恐怖を覚えていて拒絶反応を起こしてしまっていた。
「そうですか・・・無理はしないでくださいね。辛かったらすぐに俺に言ってください」
「うん。ありがとう」
楓香は練習を再開した。
1時間後。
楓香の体力が無くなってきていたので、練習を終わることにした。
「「ありがとうございました」」
終了の礼をする。
「ねえジェノス、ここ来る前にカップケーキ焼いたからうちに来なよ」
「いえ俺は・・・」
「今日はサイタマずっと家にいると思うよ」
「行きます!」
サイタマと口に出せば大体乗ってくるジェノス。
なんだかもので釣っているみたいだが、せっかくだから食べてもらいたいし気にしないことにした。