第2話
夢小説設定
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その日の夜。
楓香は乾いた洗濯物を取り込みながらサイタマに言った。
「ねえ、あのジェ・・・ノ、ス?って人、本気で弟子になるつもりなのかな?」
「さあ? でも本気ならそのうち来るんじゃね?」
サイタマは3つ折りになった布団に上半身を傾け、漫画を読んでいる。
「めんどくせー」
「サイタマがうっかり『うん』とか言っちゃうからじゃん」
取り込んだ洗濯物をサイタマの横に積み上げる。
カーディガンは捨ててしまったし、自分の服はここに来た時に着ていたワンピースと、サイタマにもらった無地のTシャツと男物のダボダボのジーパンしかない。
貰えるだけありがたいのだが。
(早くお金貯めて新しいの買わないと。
サイタマのTシャツ、これ以外は「OPPAI」とか「ブルズ」とか意味わからないことが書いてあるのしかないし)
洗濯物をたたもうとした時、台所からシューシューと沸騰したお湯が溢れる音がした。
「やばっ、温めすぎた!」
急いで火を止め、鍋の中に味噌汁の具材を入れる。
今日の味噌汁は豆腐と油揚げだ。
(忙しいっちゃ忙しいけど、私の家よりはマシかな)
父も母も仕事をしているため、長女の私はいつも中学生の弟と小学生の妹の面倒を見なければならなかった。
学校が終わると夕飯の材料を買って家に帰り、朝に干していた洗濯物をたたみ、妹の宿題を見て、夕飯の支度に取りかかる。
夕飯を食べたあとは洗い物をして、妹の学校の支度ができているかを確認し、前日のうちに父と弟と自分の着るワイシャツにアイロンをかけておく。
妹を寝かしつけてからは仕事から帰った両親にご飯を出し、自分の宿題や予習・復習を簡単に済ませ、お風呂に入ってから寝る。
朝は5時に起きて洗濯物を洗濯機で洗い、母と一緒に朝食と父・母・自分の分の弁当をつくる。
父と母を見送ってから洗濯物を干し、自転車に乗り30分かけて学校へ行く。
部活のある日は弟と妹のために朝に夕飯を作り置きしておいていた。
漫画でよく見る放課後に友達と寄り道なんて夢のまた夢。
学校でつい寝そうになってしまうこともあった。
それと比べたらここの暮らしはなんてことはない。
(私が普段から家事とかやってなかったらきっとここにいさせてもらえなかっただろうなぁ)
前の暮らしのせいで、ここに来たときは家事をやっていない時にソワソワしてしまったが、もう慣れてきた。
「ここに来て1週間かぁ」
(なんかこの夢すごく長くない?)
長すぎる夢に違和感を感じる。
夢だと自覚している夢を明晰夢と言う、とどこかで聞いたことがある。
自分の好きに行動できているわけだし、明晰夢の可能性が高い。
(あれ? でも明晰夢って空飛べたりもできるんだよね?)
自分の意志で行動は出来ているけれど、あいかわらずあの能力は使えないし、身体能力や頭脳も現実とさほど変わらない。
そういう明晰夢もあるのだろうか。
そういった事には詳しくないのでよく分からない。
「・・・ま、いっか」
目覚めようと思って覚められるものでもないし、楓香は気にしないことにした。