Prologue
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「いってきまーす」
初夏の日ざしの中、楓香は家を出て歩きだした。
しばらく歩いてから、財布の中身を確認する。
(よし、ちゃんとある)
パステルブルーの財布の中には真新しい一万円札が3枚。
2日前に祖父母から誕生日プレゼントとしてもらったものだ。
今までは誕生日にもらえる金額は一万円ほどだったが、今年はなんでも祖父が宝くじで二十万円当てたとかで、誕生日の分のお金を三万円ももらえたのだ。
母は三万円ももらうことに反対してたけど、最終的には「もうすぐ大学生だし」ともらうことを許可してくれた。
もうすぐ、といってもまだ1年半後の話だが。
今日はこれから、この三万円でずっと欲しかったバッグや服を買いに行くつもりだ。
うきうきしながら交差点へ差し掛かると、青信号が点滅していた。
ここの信号は一度赤になると、待ち時間が長く、なかなか渡れない。
(やば、早く渡らないと!)
そう思って走り出そうとした瞬間、信号が赤に変わった。
しかし、まだ車は来ていない。
(走れば間に合うっ…!)
赤信号を無視して横断歩道を渡り、道の真ん中まで来た時、横からけたたましいクラクションの音が聞こえた。
気付いた時には自分の真横にトラックが来ていた。
逃げようとしても、脚が思うように動かない。
激しいブレーキ音を立てて近づいてくるトラックがスローモーションのように見えた。
ドンッッ!!!
鈍い衝撃が身体中を走った。
そのとたんに視界が真っ暗になる。
遠くで誰かの悲鳴が聞こえたような気がして、そこで楓香の意識は途切れた。