第1話
夢小説設定
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「はぁ」
(何でこんなこと思い出しちゃったんだろう)
暗い天井を見つめながら考える。
(もし今もこの能力が使えてたら、こんな事思い出さなかったのかな)
きっと今も力が使えていれば、怪人に襲われたあの時も自分の力で何とか出来たかもしれない。
でも、怖い。
力を使うのが恐ろしい。
「もう寝よう・・・」
震える右手を握りしめて目を閉じたその時、部屋のテレビ台の辺りでカサっという音がした。
「!?!!」
バクバクと鳴る心臓。
息をのみ、音のした方を見つめた。
カサカサカサッ
「ひっ・・・!」
テレビ台の下から “何か” が這い出てきた。
平べったくて、小さくて、黒光りしているアレ。
「・・・っきゃあああああああああ!!!」
楓香は猛ダッシュで部屋から逃げた。
「サイタマ! サイタマ助けて!!」
サイタマの部屋のドアをドンドン叩く。
「んああ・・・なんだよ」
サイタマは欠伸をしながらのんびりと出てきた。
「へっ部屋に・・・!!」
「なんだ、怪人か!?」
一瞬険しい顔になるサイタマ。
「いやちがう。Gが・・・! ゴッ、ゴキブリが!! ちゃんと部屋掃除したのに!」
「・・・・・・」
「そんな可哀想なものを見るような目で見ないでっ」
「お前なぁ・・・」
目に涙を浮かべる楓香をサイタマは部屋に入れてくれた。
「そんなに虫嫌いなのか? いやまあ俺も好きではないけどさ」
「嫌い。大っ嫌い。この世で1番嫌い!!」
楓香はサイタマに貰った麦茶を一気に飲み干して言った。
「サイタマ、やっぱりここで寝る」
「いいけど、布団は?」
「向こう・・・・・・」
うるうると見つめてくる楓香を見て、その意味を悟ったのかサイタマは深くため息をついた。
「わかったよ、取ってくるから大人しく待ってろよ」
布団を持ってきてもらい、サイタマと楓香は並べた布団の上に寝転んだ。
「今度こそちゃんと寝ろよー」
「うん、おやすみ・・・」
サイタマに背を向けてぎゅっと目を瞑る。
しばらくすると、サイタマのいびきが小さく聞こえてきた。
楓香はほっとして、そのまま深い眠りに落ちていった。