第1話
夢小説設定
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「楓香ちゃん、この力のことは誰にも言っちゃあいけないよ」
「なんで? おばあちゃん」
「楓香ちゃんを不幸にしてしまうからだよ」
私には、生まれつき特別な力があった。
風、水、火を操る力。
そして、傷を癒す力。
普通の人が聞いたら嘘でしょなんて笑われるかもしれないけれど、本当の事だ。
これは代々私の家系の中で希に出てくる能力だった。
この能力は、今生きている中では私とおばあちゃんしか持っていない。
お母さんはこの能力を持っていなかった。
能力のことをあまり理解していないお母さんには、私の力に関する悩みなど何一つ分からなかった。もちろん、辛いことや苦しいことがあったときは、困った顔をしながらも優しく抱きしめて、手を握って話を聞いてくれたけれど。
だから、私はおばあちゃんにしかこの力のことを話せなかった。
「楓香ちゃん、一緒に遊ぼう!」
幼い頃は、この能力で悩むことなどなかった。
まだ力は弱かったし、周りの子達も脇が “普通でない” ことには気がついていなかったから。
「ねえ、あれ見せてよ! 水が動くヤツ!」
「うん、いいよ」
「わあぁ、すごーい!」
小さい頃はおばあちゃんの言いつけを破って友達にこの能力のことを教えていた。
あの頃は、この力が自分を不幸にするなんて思ってもいなかった。
悲劇の始まりは、小学2年生の冬の出来事だった。
「寒いね」
「火、出してあげよっか?」
「いいの? やってー!」
初めは小さな火だった。
「全然あったかくなーい! もっと強くしてよ」
「えー、でも危ないよ」
「いいからやってよ」
「火を強くして」という友達の要求に、私は素直に応えた。
「あー、あったかーい」
「ち、ちょっと、そんなに顔近づけたら危ないよ」
あの時、危険を予測してすぐに火を消すべきだった。