第12話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
(自分の気持ち・・・・・・)
サイタマの言葉を心の中で繰り返していると、背後で網戸の開く音がした。
サイタマが戻ってきたのかと思いきや、そこにいたのはジェノスだった。
「あまり長居すると冷えるぞ」
そう言って差し出されたのは部屋に置いてあった楓香のカーディガン。
機嫌が悪いはずなのに、自分のことを心配して気配りしてくれるのが嬉しかった。でも、
「ぁ・・・・・・」
緊張で声が出なくて、ありがとうさえも言えなかった。
カーディガンを受け取ったのを確認し部屋へ戻ろうと踵を返したジェノスの背中に、やっとのことで声をかける。
ジェノスは立ち止まり、静かに振り返った。
いつもとは雰囲気の違う冷たい無表情の奥で、何かが燃えている。
闇よりも深い黒に浮かぶ金色の瞳に捉えられて、全く身動きがとれなかった。
それでも喉から絞り出すように言葉を発した。
「ぁ、あの、さっきはごめんね」
「・・・・・・」
「・・・し、心配してくれたんだよね、私の事。
なのにそれを無下にするようなこと言って・・・・・・ごめん」
目を合わせられなくなって、最後まで言う前に俯いてしまう。
沈黙が流れる。
楓香にはそれがとてつもなく長く感じた。
「・・・・・・楓香は」
やっと、ジェノスが口を開いた。
恐る恐る視線を上げる。
しかしその続きはいつまで待っても話されない。
「?」
「・・・・・・」
ジェノスは戸惑ったように視線を泳がせると、今さっき言ったことを取り消すように言い直した。
「とにかく、そいつとはもう関わるな」
「う、ん・・・」
ジェノスはそのまま部屋へと戻っていってしまった。
閉められた網戸を見つめる。
(今なんて言おうとしたんだろう)
「クシュンッ」
夜風に吹かれて身震いする。
ふと空を見上げると、もう月が高くなっていた。
(戻ろ・・・)
楓香はカーディガンを羽織ると部屋の中へと戻った。