短編
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「飛び降りる練習?」
白い機体のポッドかふよふよとなまえの周りを旋回した。
「この前手間取ってたから。慣れておいてもらわないと困る」
あの高さを思い出すだけで、肝が冷える。腕の鳥肌を服の上から撫でた。
「それは私が悪かったわ。けど、怖いものは怖いし……」
「それを克服しましょう。もう僕の首を締めなくて良いように」
「だからごめんってば……」
「いいから着いてきて」
さっとひだのついたスカートを揺らして、2Bは背中を見せた。しぶしぶ追いかける。
階段にして3、4段ほどの高さ。これならばポッドの補助などなくとも、ジャンプするだけで済む。
「これくらいなら大丈夫そうだね。次は……」
連れて来られたのは、崩れが目立つ集合住宅地。建物の2階から1階に相当する高さで、着地に失敗しても足を捻挫するくらいだろうか。したくないけれど。
なるほどこうして順に高さのハードルを上げていって、恐怖心を克服しようというわけだ。
「ポッドb、なまえの補助を」
『了解』
握力の強いほうの腕を宙に掲げると、ポッドが自ら掴まってきた。少し勢いをつけて、上に飛び上がるとポッドもそれに合わせてくれる。まるで腕の一部になったかのように思えた。プロペラもないのに、どうして浮遊しているのか構造が気になりつつ、そんなことを考えているうちに地面に着地していた。
しっかりと引っ張りあげてくれているのが体感できた。まるで太い手綱かリールで引き上げられているように、ゆったりと地に足が着くまで余裕を作ってくれる。
これならいけるかも、と自信がついたのも束の間、実際の高さを目の当たりにすると足がすくんでしまうのだった。
迫り出した崖の上で、何度も目を閉じては開いてを繰り返す。今だ、いこう、いこう、と心の中で覚悟しても、体が動かない。ポッドは何も言わず、なまえが用意できるのを待っていてくれている。2Bも突き落とすようなことはしない。
ポッドがいるから大丈夫だと頭では理解していても、体に染み付いた危険回避の本能は止めろと警告してくる。
泣きそうになっている顔を見過ごせなかったのか、後ろで見守っていた9Sが手を差し出した。
「僕も一緒に行きます」
「ナインズ……ありがとう」
その黒革の手袋に包まれた手をとった。お互い他の手はポッドたちにエスコートされて、息を合わせて崖を蹴った。
「ほら、なんともないでしょ」
「うん」
それからもう一度9Sに手を繋いでもらって飛び降り、次は隣にいてもらいつつも手を離して、最後には一人で飛び降りることに成功した。
「ポッドのおかげだわ。ありがとう」
『随行している限りユニット2Bおよび任務関連の支援をするのが当機の役目であり、謝礼は不要』
言葉こそ感情の起伏がないが、その思いやりに感謝を伝えたくて機体を撫でた。
『報告:当ポッドに対する親密度の上昇。今後も頻繁な接触を推奨』
どうやら喜んでもらえたようだ。
「親密度とかあったのね」
「ありますよ。信頼度があがりますからね」
9Sは赤い153機と拳を合わせた。かわいい。なにこれ写真撮りたい。
そういえばポッドには映像記録を保存する機能があったから、これはもしかして2B方面からの視点で映像を切り取ることが可能なのではないだろうか。後でこっそり彼女にお願いしてみよう。
「みんな、私の特訓に付き合ってくれてありがとう」
アンドロイドとポッドたちにも握手をして回った。
白い機体のポッドかふよふよとなまえの周りを旋回した。
「この前手間取ってたから。慣れておいてもらわないと困る」
あの高さを思い出すだけで、肝が冷える。腕の鳥肌を服の上から撫でた。
「それは私が悪かったわ。けど、怖いものは怖いし……」
「それを克服しましょう。もう僕の首を締めなくて良いように」
「だからごめんってば……」
「いいから着いてきて」
さっとひだのついたスカートを揺らして、2Bは背中を見せた。しぶしぶ追いかける。
階段にして3、4段ほどの高さ。これならばポッドの補助などなくとも、ジャンプするだけで済む。
「これくらいなら大丈夫そうだね。次は……」
連れて来られたのは、崩れが目立つ集合住宅地。建物の2階から1階に相当する高さで、着地に失敗しても足を捻挫するくらいだろうか。したくないけれど。
なるほどこうして順に高さのハードルを上げていって、恐怖心を克服しようというわけだ。
「ポッドb、なまえの補助を」
『了解』
握力の強いほうの腕を宙に掲げると、ポッドが自ら掴まってきた。少し勢いをつけて、上に飛び上がるとポッドもそれに合わせてくれる。まるで腕の一部になったかのように思えた。プロペラもないのに、どうして浮遊しているのか構造が気になりつつ、そんなことを考えているうちに地面に着地していた。
しっかりと引っ張りあげてくれているのが体感できた。まるで太い手綱かリールで引き上げられているように、ゆったりと地に足が着くまで余裕を作ってくれる。
これならいけるかも、と自信がついたのも束の間、実際の高さを目の当たりにすると足がすくんでしまうのだった。
迫り出した崖の上で、何度も目を閉じては開いてを繰り返す。今だ、いこう、いこう、と心の中で覚悟しても、体が動かない。ポッドは何も言わず、なまえが用意できるのを待っていてくれている。2Bも突き落とすようなことはしない。
ポッドがいるから大丈夫だと頭では理解していても、体に染み付いた危険回避の本能は止めろと警告してくる。
泣きそうになっている顔を見過ごせなかったのか、後ろで見守っていた9Sが手を差し出した。
「僕も一緒に行きます」
「ナインズ……ありがとう」
その黒革の手袋に包まれた手をとった。お互い他の手はポッドたちにエスコートされて、息を合わせて崖を蹴った。
「ほら、なんともないでしょ」
「うん」
それからもう一度9Sに手を繋いでもらって飛び降り、次は隣にいてもらいつつも手を離して、最後には一人で飛び降りることに成功した。
「ポッドのおかげだわ。ありがとう」
『随行している限りユニット2Bおよび任務関連の支援をするのが当機の役目であり、謝礼は不要』
言葉こそ感情の起伏がないが、その思いやりに感謝を伝えたくて機体を撫でた。
『報告:当ポッドに対する親密度の上昇。今後も頻繁な接触を推奨』
どうやら喜んでもらえたようだ。
「親密度とかあったのね」
「ありますよ。信頼度があがりますからね」
9Sは赤い153機と拳を合わせた。かわいい。なにこれ写真撮りたい。
そういえばポッドには映像記録を保存する機能があったから、これはもしかして2B方面からの視点で映像を切り取ることが可能なのではないだろうか。後でこっそり彼女にお願いしてみよう。
「みんな、私の特訓に付き合ってくれてありがとう」
アンドロイドとポッドたちにも握手をして回った。