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軽くいやらしい表現があるので、ご注意ください。
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「っくしゅ……」
「…くちっ…」
ほぼ同時に出たくしゃみに、視線を上げる。
暗闇に光が浮き上がり、それが瞳だと理解してすぐ、お互い起きていることに気づいた。
木の上に建てられた小屋で動物や虫の侵入の心配はないにしろ、風の遮断は完璧ではない。冷たい空気が固まりになって体にのしかかっているようだった。じっとしているだけなのに冷気の毛布はまとわりつき、体温を奪っていく。手足が冷えて頭は冴えていくばかり。
男子達は平気なのだろうか、身じろぎもせず静かにしている。囁き声で話しかけた。
「起きてる?杠ちゃん」
「うん、なまえちゃんも…眠れないの?」
「実は、寒くて寝付けないの」
「私もなんだ。困ったねぇ」
「ほんとだね。それにしてもさっきのくしゃみかわいすぎでしょ、くちってなに」
「えぇ〜なまえちゃんも似たようなものだったよ」
杠は自分の肩をさすった。なまえも釣られて身震いする。石化前にはあった布団が、毛布が恋しい。
「ね、杠ちゃん、ぎゅってして良い?」
「…うん、良い考えかも」
音を立てないように杠へにじり寄る。
「ん、…ぁっ…」
「ーごめん」
真っ暗ななか手探りで杠の身体を求めると、手が変なところに当たってしまったらしい。謝ると大丈夫、と言ってくれた。杠もそろりそろりとなまえの体をなぞってくる。
「ひゃ、…ぅ、っ…」
「ごめんくすぐったかった?」
「ん、ううん」
二人して恥ずかしさをかき消すように笑う。腕に力を込めると、同じだけ返ってくる。
「わ、あったか…」
「人肌ってこんなに温いんだねぇ」
お互いの腕が背中に回って、上半身の膨らみ部分が重なった。
あたたかくて、柔らかくて、気持ち良い。これならすぐに夢の中に入れそう。
「改めておやすみ、杠ちゃん」
「おやすみなまえちゃん」
「(おいこいつら無自覚百合か。誰へのサービスだっつの。デカブツには聞かせらんねーな、爆睡してて助かったわ)」
↑くしゃみで起こされた男。
「(こういうときは…うん。寝たフリするのが得策だ)」
↑誰かが起きている気配を察して目を閉じたまま様子見してた男。
「(………)」
↑何があっても朝まで起きない男。
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あの木の上の家って、雑魚寝だろうな…と思いまして。
森の夜って冷えますよね。
読んでくださりありがとうございます。