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「今年のハロウィンどうする?」
切り出したのは雀田で、そのまま部活日誌にペンを走らせている。
「お菓子の美味しい季節だねぇ」
白福がちろりと舌を出す。彼女はどうも、菓子を受け取る側の気持ちでいるようだ。
書き終えた日誌を閉じて、雀田となまえが苦笑した。
「去年は業務用のお菓子パックを買ってバラまいてましたね」
「そうそう。毎年そうなんだけど」
「まぁなまえちゃんは彼氏いるし~?バレー部でなんかやっても早くふたりきりで過ごしたいよねぇ」
白福の発言には含みがある。からかうようでいて、かわいい後輩を愛でるがための冗談だ。
「バレー部のみんなとも過ごしたいですよ!全員とは難しいですけど、レギュラーメンバーくらいなら集まっても迷惑にはならないんじゃないですか?」
「ハロウィンパーティーってこと?」
「面白そう。やろうよ」
大所帯を抱える梟谷学園バレー部なので、部員全員を賄おうとすればお年玉でも足りなくなってしまう。申し訳ないが恒例通り小さいお菓子をバラまいて、ささやかながらレギュラーメンバーだけ誘ってパーティしよう、とマネージャー間で話し合いが決まった。
「お菓子食べてジュースで乾杯もいいんだけどさ~」
白福がそれだけではつまらない、とゲームをしたいと提案した。
なまえの家に招待することとなり、みんなの都合の良い日取りを選んだ。当日には1個では足りないだろうから、と女子3人で協力してケーキを複数個焼いた。
男子たちが揃ってやってくれば、マネージャー3人で幽霊のコスプレ(目抜きだけした白布を頭からかぶっただけ)してそれぞれの身長差ごまかすために床に並んで座って「Trick or Treat! どれがマネージャーの誰だか3人とも名指しで当てられたら豪華ケーキワンホール!外したらそこに置いてある布を被って列に加わってもらいます」と掲げられたノート。ちょっと世間とは違うハロウィンの楽しみ方だが部員は面白そうだと乗っかってくれた。声も出さないし、これといったヒントもないし、途中部屋を出て入れ替わって座る順番を変えられてしまえば当てるのは困難を極める。ひとりふたりと幽霊コスプレが増えていく中、赤葦がぴたりとどれがどのマネージャーか正解する。
「当ててくれてありがとう」
「なまえの彼氏として当てなきゃ恥だと思って」
ふふ、と彼女が誇らしげに笑う。差し出したのは大皿に乗せられたケーキ。ハロウィンらしくトッピングされている。
「こちらが賞品のケーキです」
「さすがにワンホールは多いのでみんなで分けましょう」
「赤葦~!信じてた!!」「さすが!」「やった~!」「おこぼれあざす!」など野太い歓声が上がる。こうなる展開も考えて、用意していたナイフを取り出し赤葦に渡す。
「頑張って焼いたんだよ。はい、正解者だから食べたいだけ切ってね」
「…これなまえが作ったの?」
「うん。前にも作ったことあるレシピだから味は大丈夫だよ」
「すみませんやっぱり分けるのやめます」
彼女の手作りと知り独り占めしようとしたら部員たちから大ブーイングを受けた。一度口にしてしまったことでもあるし、彼女からの説得もあって赤葦はしぶしぶケーキを切り分ける。
みんながケーキをつついているなか、なまえは赤葦の隣に座る。
「京治くんだけに作ったお菓子、別に用意してるから安心して」
「ありがとう。お菓子となまえ両方もらうよ」
もらう、という単語をつかったことに疑問を返した。お菓子はもらう、で合っているがなまえのことももらう、とは。すでに彼女なのだから乱暴にいえば所有するという意味でもらう、はとっくの昔のことだ。
「ん???」
京治がすっと耳元に近づいた。
「両方食べるって言った方がわかりやすい?」
フォークを口にくわえたまま、それでも彼は無表情で言ってのけていた。
**
おわります。
読んでくださりありがとうございました。
急遽思いついて書いたのでいろいろ足りない点についてはお許しください。
「今年のハロウィンどうする?」
切り出したのは雀田で、そのまま部活日誌にペンを走らせている。
「お菓子の美味しい季節だねぇ」
白福がちろりと舌を出す。彼女はどうも、菓子を受け取る側の気持ちでいるようだ。
書き終えた日誌を閉じて、雀田となまえが苦笑した。
「去年は業務用のお菓子パックを買ってバラまいてましたね」
「そうそう。毎年そうなんだけど」
「まぁなまえちゃんは彼氏いるし~?バレー部でなんかやっても早くふたりきりで過ごしたいよねぇ」
白福の発言には含みがある。からかうようでいて、かわいい後輩を愛でるがための冗談だ。
「バレー部のみんなとも過ごしたいですよ!全員とは難しいですけど、レギュラーメンバーくらいなら集まっても迷惑にはならないんじゃないですか?」
「ハロウィンパーティーってこと?」
「面白そう。やろうよ」
大所帯を抱える梟谷学園バレー部なので、部員全員を賄おうとすればお年玉でも足りなくなってしまう。申し訳ないが恒例通り小さいお菓子をバラまいて、ささやかながらレギュラーメンバーだけ誘ってパーティしよう、とマネージャー間で話し合いが決まった。
「お菓子食べてジュースで乾杯もいいんだけどさ~」
白福がそれだけではつまらない、とゲームをしたいと提案した。
なまえの家に招待することとなり、みんなの都合の良い日取りを選んだ。当日には1個では足りないだろうから、と女子3人で協力してケーキを複数個焼いた。
男子たちが揃ってやってくれば、マネージャー3人で幽霊のコスプレ(目抜きだけした白布を頭からかぶっただけ)してそれぞれの身長差ごまかすために床に並んで座って「Trick or Treat! どれがマネージャーの誰だか3人とも名指しで当てられたら豪華ケーキワンホール!外したらそこに置いてある布を被って列に加わってもらいます」と掲げられたノート。ちょっと世間とは違うハロウィンの楽しみ方だが部員は面白そうだと乗っかってくれた。声も出さないし、これといったヒントもないし、途中部屋を出て入れ替わって座る順番を変えられてしまえば当てるのは困難を極める。ひとりふたりと幽霊コスプレが増えていく中、赤葦がぴたりとどれがどのマネージャーか正解する。
「当ててくれてありがとう」
「なまえの彼氏として当てなきゃ恥だと思って」
ふふ、と彼女が誇らしげに笑う。差し出したのは大皿に乗せられたケーキ。ハロウィンらしくトッピングされている。
「こちらが賞品のケーキです」
「さすがにワンホールは多いのでみんなで分けましょう」
「赤葦~!信じてた!!」「さすが!」「やった~!」「おこぼれあざす!」など野太い歓声が上がる。こうなる展開も考えて、用意していたナイフを取り出し赤葦に渡す。
「頑張って焼いたんだよ。はい、正解者だから食べたいだけ切ってね」
「…これなまえが作ったの?」
「うん。前にも作ったことあるレシピだから味は大丈夫だよ」
「すみませんやっぱり分けるのやめます」
彼女の手作りと知り独り占めしようとしたら部員たちから大ブーイングを受けた。一度口にしてしまったことでもあるし、彼女からの説得もあって赤葦はしぶしぶケーキを切り分ける。
みんながケーキをつついているなか、なまえは赤葦の隣に座る。
「京治くんだけに作ったお菓子、別に用意してるから安心して」
「ありがとう。お菓子となまえ両方もらうよ」
もらう、という単語をつかったことに疑問を返した。お菓子はもらう、で合っているがなまえのことももらう、とは。すでに彼女なのだから乱暴にいえば所有するという意味でもらう、はとっくの昔のことだ。
「ん???」
京治がすっと耳元に近づいた。
「両方食べるって言った方がわかりやすい?」
フォークを口にくわえたまま、それでも彼は無表情で言ってのけていた。
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おわります。
読んでくださりありがとうございました。
急遽思いついて書いたのでいろいろ足りない点についてはお許しください。
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