Say those three little words.
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撮影が終わったにも関わらず、メイクアーティストさんは残ってくれていて、普段用にお直ししてくれた。サービスです、お幸せに。と添えて。
お互い好きと宣言したからには、そういうことになるのよね。なぜ現場にいないスタッフが知っているのかなんて愚問はきけなかった。
「外で影山君が待ってますよ」
「じゃ、楽しんでねなまえ」
「え、二人は来ないの?」
「デートの邪魔はできません!!」
「そうそう」
清水も谷地にも置いていかれ、外にでると本当に影山が待っていた。
「メシ食いにいきませんか」
「……行きます」
「何食います?」
「どうしよう。ヘルシーなのがいいよね?」
体が資本のアスリートだから、口にするものにも気を遣うだろう。
「なまえさんの食いたいもので」
「でも」
「普段の食生活管理してるんで別にジャンク食っても影響ないすよ」
「しっかりしてるね」
相変わらず自分に厳しいんだ。
「プロなんで」
ドヤ。と効果音がついてそう。
好き。心がパチパチと炭酸水みたいに弾けてる。
**
「乾杯」
なまえはカクテルのブラッドハウンド、影山はハイボールを手にしていた。
二人きりで飲酒したのは初めてだ。
「影山君、お酒飲めるんだ」
「なまえさんこそ」
「うん、まぁ。成人した後、冴子さんがよく誘ってくれて慣れたかな。影山君、お酒飲まなそうだなって思ってた」
「深酒はダメですけど、普通に飲めます」
「楽しいお酒の飲み方だね」
「なまえさんは、どのくらい飲めますか」
「最近はたくさん飲んでないけど、気分良く酔える範囲はワインなら半分……かな」
グラス半分か、と彼の顔に書いてある気がして、一瞬迷って、訂正した。
「ボトルのね」
影山の瞳がわずかに揺れたような。
「たぶん一本一人でいけると思うんだけど、立てなくなるだろうからやったことないなぁ」
なぜ自分に追い打ちをかけるようなこと言っているんだろう。グラスを細かく何度も傾ける。告白を受けてから後、もう自分がわからなくなっていた。
何年も保っていた壁が急に打ち砕けてしまってから、どう近づいていいのか。潔子に話すようにしているが、違う気がする。
彼氏ってどう接すればいいの。
「わざわざしなくていいです」
「……一番飲んだときだと、友達とウィスキー一本空けたことがあるよ」
この人下手したら俺より強ぇ。翌日に響くような飲み方をすることはないので限界はわからず終いで確証はないが。
さすがにそのときは吐いたけど。とこあは目を逸らした。
「こんなでも記憶失くしたことはないよ。でも……引かない?」
「ビックリははしますけど、別に」
そんだけ飲めば普通に吐くだろ。
「女性が吐いた話とか残念でしょう」
「いや、自分の許容量は知っとくべきだと思います。それから後は無茶してないならいんじゃないすか」
「良い子だね。その回答に花丸をあげる……」
アルコールが回っているからか、いつもならしないであろう子供扱いをした。
「なまえさん、もしかして酔ってたりしますか」
「このストロベリージュースで?まさか」
食事も注文したもののまだドリンクしか届いていない。確かにアルコールだけれども効いた感じはしない。緊張というよりは喜びに浮かれている。それよりどんなテンションでいればいいのか迷子になっている。最後の一口を終え、グラスには内側にうっすらいちごの赤い残骸が張り付いた。
影山が冷えた指先から空になったグラスを取り上げて、代わりに水を押し付ける。
「水も飲んでください」
「影山君、が、私の世話を焼いているなんて。何歳になったの」
「知ってますよね……。なまえさんの二個下です」
わかっててもわかってなくても律儀に答えるところ、好き。
「大丈夫酔ってないし、飲んでも2、3杯で止めるから幻滅しないで」
「してないです。……なまえさんだって、俺が鼻血出しても、引かなかったじゃないですか」
「えーと、何年前の話?和久谷南のとき?鼻血は怪我だもの、心配するでしょう」
「日向と喧嘩したときとか」
お互いにガキみたいに掴みかかって怒鳴り合っていた。
「青春してたね」
もちろんそんな簡単な言葉で片付けられる出来事ではなかったけれど、いまとなっては思い出だ。
「先輩を差し置いて1年生にして『俺がいればお前は最強だ』、だもんね」
「言いましたけど……やめてください……」
「かっこよかったよ」
家の手伝いで接客していたからか、昔から愛想の良い人だった。だがこの席では、特別気の抜けた感じで笑う。
「いまもかっこいいを更新し続けてるよ」
「アザス」
これ、酔ってんのか?止めるべきか?でもかわいいからこのままでいて欲しくもある。影山の中でのせめぎあいが続く。
「じゃあ次ワイン飲もうかな」
「混ぜんのはダメです、せめて同じカクテルにしといてください。それかメシ食ってから」
いやさっきのメシ食う前に2、3杯飲むって意味で言ったのかよ。
手にしたドリンクメニューを閉じさせて脇によける。
「え……じゃあジンリッキー」
「ベースが同じヤツって意味じゃないです。いいすけど」
カクテルについて知っているとは。メニューに材料載ってたからかな。
成人してから飲む機会がたくさんあったんだろうなぁ。周囲が体育会系だから、酔った先輩の世話とかしたりして。メディア露出じゃわからないことがたくさんある。それらを知ってしまうのか。私の心は耐えられるだろうか。
やっと運ばれてきた食事をつつき、誰々がいまどこでどうしていて、という話が尽きなかった。
「遅くなる前に送ります」
「ありがとう……じゃあ、ごめんちょっと化粧直してくるね」
「はい」
お手洗いから出て、ひとり店員を捕まえる。
「あの、お会計お願いできますか」
お会計でしたらお済みですよ。そうにっこり答えられたので、席に戻って確認した。
「影山くん、お会計……」
「終わってます」
化粧直しに立ったときに会計を済ませていたらしかった。大人版影山は高校時代よりもバレーの外でも成長している、と思わざるを得なかった。
少しくらい嫌味を言っても許されるかな。
「キミはほんとに昔TVでバレー特集やるからって送る途中で女の子をほっぽり出した影山君?」
「あのときは悪かった……です」
憮然として謝るので声を上げて笑ってしまった。
「冗談だよ。ありがとう。ごちそうさまでした」
こんなにスマートにリードされたら、お礼を言う以外にできることはなかった。
歩き出しながら、早足で並ぶ。影山が一瞬立ち止まって、そこからは歩調を緩めた。
「私のこと、いつから気になってたの?」
「自覚したのはなまえさんが卒業してからだいぶ後です。思い返せば俺が1年の途中から好きでした」
「態度にぜんぜん出てなかったよ」
「だから、自覚なかったんで。
なまえさんだって、はっきり好きって言ったり物を交換しようとしたりよくわかんねぇプレゼント押し付けようとかしてこなかったですよね」
学生時代から見てくれは良くてモテていたから珍しくはなかった。
「私と影山君の間にはバレーがあった。それで繋がってるだけで満足だったの」
「俺はもうそんなんじゃ満足できません」
「……う、ん」
彼に触れてもいないのに、口にする言葉から熱が伝わってくるようで一瞬息苦しくなった。
高校生のときに感じたときめき。また恋をしている。今度は彼も応えてくれる恋を。
幸せって、苦しいんだなぁ。
「俺、合格ですか」
「なに???何かテストしてた?」
「男として、認めてくれますか」
「……家までちゃんと送ってくれたら、100点満点にしてあげる」
嘘だよ。影山君っていうだけで上限超えてるよ。スタートから反則だもの。
「じゃあ、連絡先ください」
やっと、取り戻した。手に掴んだ。欲しかったもの。
**
おまけ。
写真撮影後の清水と谷地。
「仁花ちゃん、今日はお疲れ様」
「ありがとうございます。上手く行って安心しました~!
なまえ先輩にバレないようにってそれだけは気をつけました……!」
「なまえちっとも気づいてなかったよ」
「先輩には言わないだけで良かったんですけど、影山君がうっかりメディアに嗅ぎつけられたり周囲に漏らしたりしないか不安で……」
「隠し事できないからなぁ影山は」
そこなんです、と谷地は同意した。
「なまえも影山も幸せそうだったね」
二人並んで歩く後姿の写真を翌日にでも本人に送ってあげようと考えながら。
「はい。今度、なまえ先輩と3人でお茶しませんか?」
「いいねそれ。絶対今夜のこと聞かなきゃ」
「ですね!」
**
おまけその2。
こちらでお名前登録を済ませてからお読みください。
HQストーリー
谷地からデータで写真が送られてきた。メールに添付されたファイルを開くと、厳選されたであろう写真が出てきて、一枚一枚画面上で切り替える度に机に突っ伏していた。影山君かっこよすぎる。隣のなまえの映りも、悪くない。悪くないどころか別人のようだった。
幸せがあふれ出て止まらない、といった出来上がりで、式場の従業者にも評判は上場だった。
影山との正式なデートが近づくなか、なまえは救世主を探して連絡帳を眺めていた。ひとつの名前をタップする。
影山長編15話おまけ(東峰)
(本番デートのために服装に悩み、東峰に相談する会話です。)
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撮影が終わったにも関わらず、メイクアーティストさんは残ってくれていて、普段用にお直ししてくれた。サービスです、お幸せに。と添えて。
お互い好きと宣言したからには、そういうことになるのよね。なぜ現場にいないスタッフが知っているのかなんて愚問はきけなかった。
「外で影山君が待ってますよ」
「じゃ、楽しんでねなまえ」
「え、二人は来ないの?」
「デートの邪魔はできません!!」
「そうそう」
清水も谷地にも置いていかれ、外にでると本当に影山が待っていた。
「メシ食いにいきませんか」
「……行きます」
「何食います?」
「どうしよう。ヘルシーなのがいいよね?」
体が資本のアスリートだから、口にするものにも気を遣うだろう。
「なまえさんの食いたいもので」
「でも」
「普段の食生活管理してるんで別にジャンク食っても影響ないすよ」
「しっかりしてるね」
相変わらず自分に厳しいんだ。
「プロなんで」
ドヤ。と効果音がついてそう。
好き。心がパチパチと炭酸水みたいに弾けてる。
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「乾杯」
なまえはカクテルのブラッドハウンド、影山はハイボールを手にしていた。
二人きりで飲酒したのは初めてだ。
「影山君、お酒飲めるんだ」
「なまえさんこそ」
「うん、まぁ。成人した後、冴子さんがよく誘ってくれて慣れたかな。影山君、お酒飲まなそうだなって思ってた」
「深酒はダメですけど、普通に飲めます」
「楽しいお酒の飲み方だね」
「なまえさんは、どのくらい飲めますか」
「最近はたくさん飲んでないけど、気分良く酔える範囲はワインなら半分……かな」
グラス半分か、と彼の顔に書いてある気がして、一瞬迷って、訂正した。
「ボトルのね」
影山の瞳がわずかに揺れたような。
「たぶん一本一人でいけると思うんだけど、立てなくなるだろうからやったことないなぁ」
なぜ自分に追い打ちをかけるようなこと言っているんだろう。グラスを細かく何度も傾ける。告白を受けてから後、もう自分がわからなくなっていた。
何年も保っていた壁が急に打ち砕けてしまってから、どう近づいていいのか。潔子に話すようにしているが、違う気がする。
彼氏ってどう接すればいいの。
「わざわざしなくていいです」
「……一番飲んだときだと、友達とウィスキー一本空けたことがあるよ」
この人下手したら俺より強ぇ。翌日に響くような飲み方をすることはないので限界はわからず終いで確証はないが。
さすがにそのときは吐いたけど。とこあは目を逸らした。
「こんなでも記憶失くしたことはないよ。でも……引かない?」
「ビックリははしますけど、別に」
そんだけ飲めば普通に吐くだろ。
「女性が吐いた話とか残念でしょう」
「いや、自分の許容量は知っとくべきだと思います。それから後は無茶してないならいんじゃないすか」
「良い子だね。その回答に花丸をあげる……」
アルコールが回っているからか、いつもならしないであろう子供扱いをした。
「なまえさん、もしかして酔ってたりしますか」
「このストロベリージュースで?まさか」
食事も注文したもののまだドリンクしか届いていない。確かにアルコールだけれども効いた感じはしない。緊張というよりは喜びに浮かれている。それよりどんなテンションでいればいいのか迷子になっている。最後の一口を終え、グラスには内側にうっすらいちごの赤い残骸が張り付いた。
影山が冷えた指先から空になったグラスを取り上げて、代わりに水を押し付ける。
「水も飲んでください」
「影山君、が、私の世話を焼いているなんて。何歳になったの」
「知ってますよね……。なまえさんの二個下です」
わかっててもわかってなくても律儀に答えるところ、好き。
「大丈夫酔ってないし、飲んでも2、3杯で止めるから幻滅しないで」
「してないです。……なまえさんだって、俺が鼻血出しても、引かなかったじゃないですか」
「えーと、何年前の話?和久谷南のとき?鼻血は怪我だもの、心配するでしょう」
「日向と喧嘩したときとか」
お互いにガキみたいに掴みかかって怒鳴り合っていた。
「青春してたね」
もちろんそんな簡単な言葉で片付けられる出来事ではなかったけれど、いまとなっては思い出だ。
「先輩を差し置いて1年生にして『俺がいればお前は最強だ』、だもんね」
「言いましたけど……やめてください……」
「かっこよかったよ」
家の手伝いで接客していたからか、昔から愛想の良い人だった。だがこの席では、特別気の抜けた感じで笑う。
「いまもかっこいいを更新し続けてるよ」
「アザス」
これ、酔ってんのか?止めるべきか?でもかわいいからこのままでいて欲しくもある。影山の中でのせめぎあいが続く。
「じゃあ次ワイン飲もうかな」
「混ぜんのはダメです、せめて同じカクテルにしといてください。それかメシ食ってから」
いやさっきのメシ食う前に2、3杯飲むって意味で言ったのかよ。
手にしたドリンクメニューを閉じさせて脇によける。
「え……じゃあジンリッキー」
「ベースが同じヤツって意味じゃないです。いいすけど」
カクテルについて知っているとは。メニューに材料載ってたからかな。
成人してから飲む機会がたくさんあったんだろうなぁ。周囲が体育会系だから、酔った先輩の世話とかしたりして。メディア露出じゃわからないことがたくさんある。それらを知ってしまうのか。私の心は耐えられるだろうか。
やっと運ばれてきた食事をつつき、誰々がいまどこでどうしていて、という話が尽きなかった。
「遅くなる前に送ります」
「ありがとう……じゃあ、ごめんちょっと化粧直してくるね」
「はい」
お手洗いから出て、ひとり店員を捕まえる。
「あの、お会計お願いできますか」
お会計でしたらお済みですよ。そうにっこり答えられたので、席に戻って確認した。
「影山くん、お会計……」
「終わってます」
化粧直しに立ったときに会計を済ませていたらしかった。大人版影山は高校時代よりもバレーの外でも成長している、と思わざるを得なかった。
少しくらい嫌味を言っても許されるかな。
「キミはほんとに昔TVでバレー特集やるからって送る途中で女の子をほっぽり出した影山君?」
「あのときは悪かった……です」
憮然として謝るので声を上げて笑ってしまった。
「冗談だよ。ありがとう。ごちそうさまでした」
こんなにスマートにリードされたら、お礼を言う以外にできることはなかった。
歩き出しながら、早足で並ぶ。影山が一瞬立ち止まって、そこからは歩調を緩めた。
「私のこと、いつから気になってたの?」
「自覚したのはなまえさんが卒業してからだいぶ後です。思い返せば俺が1年の途中から好きでした」
「態度にぜんぜん出てなかったよ」
「だから、自覚なかったんで。
なまえさんだって、はっきり好きって言ったり物を交換しようとしたりよくわかんねぇプレゼント押し付けようとかしてこなかったですよね」
学生時代から見てくれは良くてモテていたから珍しくはなかった。
「私と影山君の間にはバレーがあった。それで繋がってるだけで満足だったの」
「俺はもうそんなんじゃ満足できません」
「……う、ん」
彼に触れてもいないのに、口にする言葉から熱が伝わってくるようで一瞬息苦しくなった。
高校生のときに感じたときめき。また恋をしている。今度は彼も応えてくれる恋を。
幸せって、苦しいんだなぁ。
「俺、合格ですか」
「なに???何かテストしてた?」
「男として、認めてくれますか」
「……家までちゃんと送ってくれたら、100点満点にしてあげる」
嘘だよ。影山君っていうだけで上限超えてるよ。スタートから反則だもの。
「じゃあ、連絡先ください」
やっと、取り戻した。手に掴んだ。欲しかったもの。
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おまけ。
写真撮影後の清水と谷地。
「仁花ちゃん、今日はお疲れ様」
「ありがとうございます。上手く行って安心しました~!
なまえ先輩にバレないようにってそれだけは気をつけました……!」
「なまえちっとも気づいてなかったよ」
「先輩には言わないだけで良かったんですけど、影山君がうっかりメディアに嗅ぎつけられたり周囲に漏らしたりしないか不安で……」
「隠し事できないからなぁ影山は」
そこなんです、と谷地は同意した。
「なまえも影山も幸せそうだったね」
二人並んで歩く後姿の写真を翌日にでも本人に送ってあげようと考えながら。
「はい。今度、なまえ先輩と3人でお茶しませんか?」
「いいねそれ。絶対今夜のこと聞かなきゃ」
「ですね!」
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おまけその2。
こちらでお名前登録を済ませてからお読みください。
HQストーリー
谷地からデータで写真が送られてきた。メールに添付されたファイルを開くと、厳選されたであろう写真が出てきて、一枚一枚画面上で切り替える度に机に突っ伏していた。影山君かっこよすぎる。隣のなまえの映りも、悪くない。悪くないどころか別人のようだった。
幸せがあふれ出て止まらない、といった出来上がりで、式場の従業者にも評判は上場だった。
影山との正式なデートが近づくなか、なまえは救世主を探して連絡帳を眺めていた。ひとつの名前をタップする。
影山長編15話おまけ(東峰)
(本番デートのために服装に悩み、東峰に相談する会話です。)
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